スーパーカブ110(C110)のパーツリストを入手したので、改めて詳しくみてみました。
同系のエンジンを積むWave110iのパーツリストも手元にあったのですが、今まであまり興味がわかなくてちゃんと確認していませんでした。
まずWave125のクランクケースとの違いです。
半透明に薄くなっているのがWave125です。 カウンターシャフトを基準にして重ねてみると、3本のマウントボルトのうち1本はほぼ一致しますが、あとの2本は位置がずれてしまいます。 またクランクシャフトとの軸距も違いますね。
おそらくカブ110にWave125のエンジンを載せるのは、不可能とは言いませんが物理的に難しいと思います。 PGM-FIなので電気的な難しさもあります。
その他、ざっと目を通して気になったところを羅列します。
・ヘッド、シリンダはWave125とぜんぜん違う。エキパイ取り付けのスタッドボルトがM8になっている。
・ヘッドはFIカブ50に近い構成だが、それとも互換性はない。 ロッカーアームやカムも。
・カムスプロケットは32T(14321-KWB-600)。 カムチェーンは90L(14401-KWB-601)。
・カムシャフトはWave110iと同じ(14100-KWW-710)。 ただ点火やFIのセッティング、排気系の違いでWave110iと出力が異なる可能性はある。 ちなみにKWWはWave110iのこと。
・シリンダのスタッドボルトは7mm。 Wave125は8mm。
・オイルポンプは、Wave100と同様にカムチェーンガイドローラーから駆動。 ストローク55.5mmのWave110では、クランクから直接だった。
・オイルポンプ内のローターはGF6なので、吐出量はWave100と同じ。
・クランクベアリングはWave125と同じ63/22。 旧型は6304。
・クラッチはWave125とも100とも互換性なし。 クラッチプレートやフリクションディスクもKWB(CZ-i110)で新規に起こされている。
・プライマリードライブギヤー(23120-KTL-740)は、なぜかWave100と互換性あり。
・ピストンピンは13mm。
・セルモーターからの駆動はギヤドライブだが、Wave125とは違う。
・ミッションギヤは旧型と互換性なし Wave125と似ているけどちょっと違う。
などなど。
まとめますと、カブ110/Wave110iのエンジンは、Wave125とも、Wave100とも、FIカブ50とも違います。
強いて言えば、Wave125にFIカブ50の新技術を取り入れた、と言えなくもないですが、基本的に全く新しい系列のエンジンと考えるべきでしょう。 まさしく新時代のカブ用エンジンです。
プライマリードライブギヤーのように流用部品があるのは、単に「問題なく流用できるなら、その方が安いから」でしょう。
ところでプレスリリースには「二段クラッチ」と表現されていますが、単にC100EXと同様の二次側遠心クラッチのことです。 日本のカブ乗りは二次側遠心に馴染みがないので、四輪のツインツラッチと間違えている人も多いようですが、使い勝手は一次側遠心と変わりません。
いずれこのエンジンをベースにボアアップした、125cc超バージョンが発売されるのかもしれません。 ただシリンダのスタッドボルトが7mmなので、あまり排気量は大きくできないかも。
それと、基本的に上セルエンジンしか成立しなさそう。 下セル版は不可能でしょう。
ちなみに、1速 2.615、2速 1.555、3速 1.136、4速 0.916 という変速比は、これまでの自分の経験からすると「理想的」な変速比です(一次減速比は4.058で従来と同じ)。 特に1速が高いのがいいですね。
ところで、やはり気になるのはマレーシアのEX-5の今後です(しつこい?)。
現行EX-5もモナカフレームなんで、次期FMCではカブ110と同様にパイプフレームになるんでしょうね。 デザインはカウル次第でどうとでもなるので、フレームはカブ110と共通になるのかも。
だったら日本でも売ってくれないかなぁ。 カブ110はシングルシートの実用車、EX-5はダブルシートのスポーツ車(?)的な立ち位置で。
かぶや
嗚呼、無理でございますかぁ
ご検証ありがとうございました
そろそろ部品、考えておいてください
そういえば某国でも新型110パーツ、手にはいるようになりました(笑)
ダブリン市民
かぶやさん、こんばんは。
上部のマウントボルトが、一番ズレが大きいです。 後ろ側2本だけなら、なんとかなるかもしれないですが。
部品リストは出来てますので、あとでメールで送ります。
ごきげんカブ
ダブリン市民さん、こんばんは。
昨夜コメント投稿しかけたのですが、手違いで消えてしまって(笑)
完全互換、難しそうですねえ。
手に入れたら旧式に戻して125化しようかと思っていたんですけど、残念!
これで、50カブ、2種カブ、アセアン系125とまったく別物になったわけですか。
新時代の始まりですね・・・
ダブリン市民
ごきげんカブさん、こんばんは。
FIカブ50は、しばらくは継続されるでしょう。 でも10年後に、今のカタチのまま存続しているかというと、半々ですね。 郵政やプレス用途は、電動化されている可能性が高いですし。
今やデリバリー系は3輪のジャイロが主流だし、集金などの営業用途だって、スクーターがあります。 カブがビジネスバイクとして使われる場面は、ずいぶん前から少なくなっています。 お年寄りが畑に通う交通手段くらいですかね?
カブ110もカテゴリ上は実用車なんですが、ホンダは「1つの魅力あるモビリティー」として、カブを再構築したんだろうと思います。 そうしないといずれ絶滅する運命にあったでしょう。
いまカブに乗っている人は、大事にした方がいいと思います。