サムソンは“引き算上手”

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“引き算上手”にならないと韓国勢には勝てない:日経ビジネスオンライン

サムスンの強さの1つの理由は「リバース(反転)・エンジニアリング」にあります。ライバルの製品を入手して分解し、それを参考にして自分たちの商品を開発する手法で“模倣”というイメージが強いのですが、サムスンの場合はそれを乗り越えた極めて高い次元に到達している。
 
ライバルの製品を単純に真似するのでなく、世界の様々な国や地域で要求される「機能」にまでさかのぼって考えています。目の前にある「モノ」ではなく、機能というさらに上位の概念から見ているのです。(中略)
 
日本メーカーは“足し算”は得意ですが、サムスンは“引き算”が優れている。
 
現地の人が何を求めているのかを徹底的にマーケティングし、不要な機能は削ぎ落としたうえで、必要な機能だけを加える。とりわけモノ作りの観点からは日本の電機メーカーはサムスンからは引き算をもっと学ぶ必要があるのかもしれません。

「差別化」という名目で機能をどんどんと積み上げていくと、「高価格で不要な機能がたくさんある商品」になってしまう訳ですね。

これは自動車産業にとっても、他人事ではありません。

電機の次に恐ろしいことが起きるのが自動車だと思っています。技術の集積が大きいと、それが不要になる時のインパクトは大きい。家電のデジタル化より大きな変化です。自動車産業の蓄積してきた技術を用いないクルマが出てくる。電気自動車や新興国向けの低価格車が典型です。
 
インドのタタ・モーターズが発売した20万円台の小型車「タタ・ナノ」。これまでにあるクルマの延長線上ではなく、要求機能で見て、あればいいものから考えて開発している。
 
移動手段としては、多人数を一度に運べて、好きな場所に行けるという機能は不可欠です。しかしパワーステアリングは要りませんし、冷暖房、カーナビゲーションがなくても問題ない。そんなクルマが現地では求められています。

「ナノ」はちょっとムリをし過ぎた感がありますが、「走る・曲がる・止まる」という機能をゼロベースで考えたクルマが必要なんでしょう。