【元麻布春男の週刊PCホットライン】 外付けHDDをUSB 3.0にする意味を検証する
2.5インチドライブの結果を表3に、3.5インチドライブの結果を表4に、それぞれまとめたが、すべてのドライブに共通しているのは、USB 2.0では完全にI/Fがボトルネックになってしまっている、ということだ。CrystalDiskMarkの結果が分かりやすいが、ドライブ7台すべてでシーケンシャルリードが30MB/sec前後に、シーケンシャルライトが21MB前後になってしまっている。本来性能(記録密度)が異なるドライブが、全部同じようなパフォーマンスになるということは、I/Fがボトルネックになっているということにほかならない。どうやらSATAのドライブであれば、ほとんどの場合、USB 2.0ではパフォーマンスが不足すると言って間違いなさそうだ。
ではHDDを外付けにする場合、eSATAとUSB 3.0のどちらが良いのか。表3と表4の結果を見る限り、性能面で大きな差はない。どちらのI/Fでも新しいドライブになればなるほど性能は向上していく。I/Fがボトルネックになっているという印象はない。
ウチでも最初はUSB2.0の外付けHDDを使っていましたが、容量が1TBを超えてくるとバックアップ取るのに時間が掛かり過ぎて使用に耐えませんでした。
それで現在はeSATAに統一しているのですが、いま話題のUSB3.0だとどうなんでしょうか?
ではeSATAとUSB 3.0で何が違うのか。筆者は電源供給とブートが両者を使い分けるカギではないかと思っている。上述したように、USB 3.0では900mAの電源供給が保証される。これは2.5インチHDDを利用するのに十分な電力だ。eSATAもPower over eSATAと呼ばれる電源供給規格の策定を2008年1月に発表したものの、いまだに正式規格化に至っていない(SATA 3.1で盛り込まれる可能性もあるが)。手軽にケーブル1本でデバイスを接続したければ、USB 3.0ということになるだろう。
なるほど。 2.5インチHDDを利用したポータブルHDDなどは、USB3.0が適しているでしょうね。
逆にUSB 3.0でできないことは、Windowsのインストールと起動だ。Microsoftはポリシーとして、USBで接続されたHDDにWindowsのインストールをサポートしていない。今回用いたIFC-PCIE2U3も、マザーボードBIOSではサポートされないし、カード上に拡張BIOSを搭載してもいないが、システムの起動に使わないのであれば、これで大きな問題はない。USBメモリやUSB接続の光学ドライブから起動したい場合は、チップセットが提供するUSB 2.0ポートを利用すれば良い。
これに対してeSATAのHDDにWindowsをインストールすることは可能だ。ただしこれはあくまでもWindowsのポリシー上の問題であって、実際にeSATAのHDDにWindowsをインストールし起動できるかは、マザーボード(のBIOS)にも依存する。たとえば、今回用いた「DP55KG」の場合、eSATAポートはMarvellのチップで提供されているが、BIOSが起動をサポートしているのはRAIDモード時のみである。一方で、以前取り上げたMini-ITXマザーボードの「DH57JG」の場合、eSATAポートを内蔵SATAと同じチップセットが提供しており、WindowsのインストーラはeSATAのHDDを普通に認識する。
もちろん、eSATAの外付けHDDをブートデバイスにしてしまうと、そのドライブは取り外せなくなってしまう。おそらく Microsoftの意図としては、手軽に着脱するデータディスクにはUSB 3.0を、RAID 1により冗長構成を行ない、ホットスワップによる交換をサポートするといった用途にはeSATA、という使い分けなのだろう。MarvellのeSATA がRAIDモードだけBIOSでサポートしているのは、こうした用途を想定しているからだと思われる。
デスクトップPCなら、チップセット内蔵SATAポートから変換ケーブルでeSATAポートに引き出すことも出来ますから、ブートドライブを外付けできるのはメリットです。 でも最近はUSBブートをサポートするBIOSを持つPCも多いですからね。
個人的には、コマンド変換によるオーバーヘッドは少ないと思うので、今後もeSATAでいきたいと思います。