富士通クーデター、糸を引いたのは証券会社?

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謎深き富士通元社長辞任:日経ビジネスオンライン

しかし富士通が裁判所に提出した“事実”は、大きく3つの点で野副氏の主張と異なる。
 
2009年2月9日、野副氏はニフティ株の売却スキームを社内で説明、出席した同社幹部は大筋で同意した。しかしその後、サンドリンガムが反社会的勢力と関係があるとの疑いを示す情報が会社に複数寄せられた。このため同月下旬から3月初旬にかけて秋草相談役が野副氏に忠告すると、同氏はこれを受け入れ、ニフティ株売却計画に同ファンドを絡ませることを一度は断念した。
 
つまり野副氏はファンドの風評について認識があったというのだ。

そりゃ最高実力者の秋草相談役から言われたら、内心「そんなことはない」と思ってはいても、一旦は従わざるを得ないでしょう。

この記事では、富士通側が提出した資料についても書かれてあります。

野副氏が「シロ」と断定するサンドリンガムについての見解も異なる。(1)ニフティ株売却計画に関与した複数の証券会社から「サンドリンガムが関わるのであれば手を引く」と言われた(2)調査会社2社による報告書でも好ましくない企業との指摘があった(3)野副氏の代理人を務める弁護士が面会した大手証券会社幹部と富士通幹部が昨年10月に面会した際、証券会社幹部は野副氏側に対して話した内容とは全く違う発言をした録音データがある――を根拠に、「反社会的勢力との関係があると疑われる」とする。
 
もっとも「捜査権がないのでファンドの正体は分からない。それは代理人の弁護士が大手証券会社から聞いた話だけで『シロ』と断定する野副氏も同じだ。ただ大事なのは『シロ』か『クロ』かではなく、そういう風評が数多くある相手と富士通の社長がつき合うのは問題ということ。野副氏に忠告したが、聞き入れなかったため辞任を求めた」(間塚会長)とする。

サンドリンガムはかなりアグレッシブな活動をしていたようですから、業界の秩序を乱すとして同業他社からのやっかみは強かったのではないでしょうか?

ニフティ売却はかなり大きな案件だったはずで、どこの証券会社も関与したかったでしょう。 通常はこのような大きな案件は、つきあいの深い主幹事証券会社が担当するものです。
ニフティ売却に食い込みたい大手証券会社幹部が、秋草相談役を動かしてサンドリンガム排除を狙ったあげく、野副氏解任にまで至ったということではないのかな?

ちなみに富士通が2007年に実施した、5年物国内普通社債の発行においては、みずほ証券、JPモルガン証券、UBS証券を主幹事として指名しています。

野副氏側はこうだ。辞任させられた後、執務室に戻ることも許されずに東京都新宿区の京王プラザホテルに幽閉された。辞任の理由が病気だと知ったのは翌日で、その後、富士通から病院通いを強要されたとする。
 
富士通の主張は違う。マスコミの目から逃れるために用意した京王プラザホテルに幹部が野副氏を連れていくと、野副氏が「辞任理由は病気ということで徹底するしかないな」と言うので、「通院先は聖路加国際病院がいいか、慶応義塾大学病院がいいか」と聞いた。すると野副氏は赤坂見附前田病院を指名したので、それに従った。
 
その前田病院で、野副氏は「何で(辞任要求の動きを)教えてくれなかったのか」と幹部に呟いた。幹部が「ああしなければ、つき合いが続いていたのでは」と聞くと、「そうかも」と答えた。

これはどちらも違うように思います。
野副氏が公開した解任劇のテープに、「対外的には病気ということで発表させていただく」とハッキリ残っていますから。

富士通・野副元社長解任劇、録音テープを全文掲載 - ニュース:ITpro

大浦:今の色々な質問の中で、いろいろ考え方がお分かりになったと思うんですが。野副さんと「人物A」氏の関係は非常に深い。ところが「人物A」氏が参加している「ファンドA」というのは、あなた自身もこの「ファンドA」というのは怪しいとおっしゃると言っていることはあるわけで、(野副:はい)反社会的勢力とのつながりが非常に濃厚なファンドであるということがはっきりしております。
 
あなた自身、どの程度とそれを認識していたかは知りませんけれども、金融業界は金融市場、証券市場から、反社会的勢力を完全排除するということで、いろんな手をうっている。おとついの新聞にもでておりましたが、そういう噂のある企業の融資や株の引き上げというようなことまでいっておるわけでありまして、そのために、警視庁、金融庁、証券取引等監視委員会、東証、金融業界がお互いに情報交換をして、反社会的勢力とつながりがあるファンドか否かを一生懸命調べて判定しているわけです。私どもが得た情報では、金融業界の判定のなかでは、「ファンドA」は完全なブラックだと。「ファンドA」がブラックだということは「会社A」のアドバイザーだった「会社名」からの情報としてですね、あなた自身「人名」君からその情報を得たんではないかという風に思っています。警視庁からの情報では、先ほど山室先生が仰ったように「ファンドA」は「暴力団名」と関係しているということが伝えられています。
 
あなたは今年の2月に秋草さんから「ファンドA」というファンドは危ないよと聞かされ、あなた自身も、さっきもお話の中にもありましたが、そういう怪しいファンドはやめようということでやめられた、最終的に。聞かされてですね、あなた自身もやめようと、黒川さんや小倉さんにおっしゃったと(野副:はい)、そういう風に聞いてます(野副:はい)。
 
したがって、「ファンドA」というファンドが、当社がつきあってはならないファンドだという認誠は十分あったはずだ、もし情報が不足してるのであれば、あなた自身もっとそれを調べるなり、誰かに調べさせてですね、はっきりとそこを正しく認識すべきではなかったかという風に思います。
 
それにもかかわらず、「ファンドA」の「会社名」の社長、「人物A」さん、「ファンドA」という名前をつけた会社の社長ですから、その「人物A」さんと現在も密接な関係を続けているということは問題ではないかと。あなた自身は「人物A」氏個人と付き合っているつもりかもしれませんけれども、世間はそうはとりません。「人物A」氏と付き合っていることは、「ファンドA」と付き合っているという風にとられます。
 
「会社名」の「人名」がどうしてあんな程度のことで徹底的に犯罪者として取り扱われたかというのも、その影に反社会的勢力の力が及んでいたということがあったために、ああいう風に厳しい取締りが追求がされたということだそうであります。
 
あなたが「ファンドA」と関係があるという情報は、すでにわれわれだけではなく、業界や東証あるいは総務省、経済産業省などの人も知っておりまして、公知の事実になりつつある。場合によっては、司法機関の調べが入るおそれもある。それをわれわれが恐れているわけです。
 
企業、特に当社のような社会インフラを支える大企業は、絶対にですね、こういう反社会的勢力あるいはそれとつながっている者、あるいはそれにつながっていると思われるような者と、一切のかかわりを持ってはならない、知らずに取引を行った場合には即刻取引を中止しなきゃならんという事態に追い込まれると思います。トップは率先して会社のガバナンスとして実行し、従業員に指導する立場にあるわけですから、その辺は大いに反省しなければいかんのではないかと思います。したがって、当社の社長自らが、反社会的勢力に何らかのかかわりがある人物、あるいは、その疑いがある人物と親密な関係にあるなど、絶対に許されないことだとわれわれは思っています。「会社名」の例をみるまでもなく、現在は、反社会的勢力とのつながりがある企業について、司法機関は調べて徹底的にたたいてくるそうです。金融機関は、先ほど申し上げましたように融資や持ち株の引き上げなどを行い、東証は上場廃止等の措置をとるそうです。特にこの7月からより厳しく、反社会的勢力排除を求めるようになってきています。つまり、反社会的勢力とかかわりをもったという、そのことだけでその企業は倒産してしまう。当社をそのような危険にさらすわけにはいかないとわれわれは思っています。
 
もし辞任してもらえるという場合には、対外的には病気ということで発表させていただくし、病名、入院先等はプライバシーを理由に、一切公表しない。実際に入院してもらってもいいし、しばらく東京、日本を離れてもらってもいいのではないかと思っています。マスコミがご自宅にどっと押しかけるというおそれがありますし、それと、先ほど申し上げた「ファンドA」の背後にある反社会的勢力がですね、なんらかの動きをして野副さん自身の身辺に危害を及ぼすことをわれわれはおそれているわけですし、まあそういうわけで不在にしてはどうかというのがわれわれの結論であります。あなたの身分は相談役ということにして生活は保証していくという考えです。特例ではありますが、来年6月までは現在の月額報酬を支給するつもりであります。その後は相談役ということで所定の相談役の報酬を支払います。ただし、「ファンドA」関係者との付き合いはやめてもらうし、富士通に敵対的な行動をとったりしないということを条件にしていただきたい。細かいことはあとで安井さんから聞いてほしいと思うのですが。どうでしょうか。
 
もし辞任してもらえないという場合には、残念ながら、この後の取締役会であなたの代表取締役の解職が最初の議題として決議されることになります。そうなればですね、対外的にもあなたの解職を解職理由とともに公表せざるを得なくなるわけでありまして。あなたの名誉も傷つくし、富士通も痛みを受けますので、できればそういうことは避けたいと思うわけです。ご家族やお母様も心配されるでしょうから、ぜひですね、穏便にすませたい。あなた自身は、個人的に信頼する人物があなたの知らないところでたまたま反社会的勢力とつながりがあったということで、悪意はまったくなかったのかもしれませんが、しかしそれは世間には通用しない。それが大企業のトップの立場というものなんだと思います。富士通を思う気持ちが強いと思いますが、そういう愛社精神があるならば、ぜひですね、この場で思いきって辞任してもらいたいし、それが社長としての立場ではないかという風に私は思うのですが、いかがでしょうか。
 
野副:まあ、それは、私自身が、そういうところと付き合ったことがですね、そういう風に皆さん方のご決定であれば、それをお受けするしかないと思いますし、会社のためだっていうことであれば、私自身の軽率な行為がそういったことで富士通を大きく傷つけたということについては、責任をとるべきだと思います。ただ、何回も申し上げておりますように、私はその、バックにそういうファンドがいるという前提で付き合ったつもりはありませんし、私自身は、ニフティという会社のあり方なり、富士通という企業というものをやっぱり、できるだけシンプルな構造にしていく、強さを作りたいという思いで、そういうことをやったつもりでございますので、この問題について、私自身は、本当にこう、自分自身が指示を間違ってやったとか、悪いことをやったというつもりは全くございませんので、まあ、それが皆さん方のご決定なら、私がそれに対して逆らうというつもりはございません。まあ。それが私が選択する唯一の道だというふうなご指摘だと思いますけれども、秋さんそれでよろしいでしょうか。
 
秋草:残念です。山室さん、大浦さんがおっしゃったように、主観的な問題はありますが、客観的には非常に今危ない状態にあります。わが社は。にらまれています。仕手株の対象になりつつあって、その背後にはこういった会社がいるのではないかというのは感じてます。そういう意味で、最悪、司法の手が入る可能性も大きいと思います。上場廃止とならざるを得ないとそれまで覚悟しなければならないと思うんですよね。野副さんには、非常にがんばっていただいて、ここまでもってきて、残念だが、やむをえないと思う。
 
野副:ひとつ質問していいですか。私自身の行動が、そういったリスクを持っていたということ、まあ、事前に教えていただく訳にはいかなかったでしょうか。「人物A」さんとの付き合いが、そういったような危険なものであるということをですね、それから、マスコミとか、特定の人間にそれだけいろいろ密にコンタクトしていたことがですね、やっぱりとるべき相応しい態度ではなかったというようなことを、事前に教えていただくような道はなかったんでしょうか。
 
山室:2月のニフティの問題のときに、かなり強い警告があったのではなかったのですか。
 
秋草:「人名」君だとか、そういう人たちは、この件、「ファンドA」はいかにあやしいところだと重々承知しています。
 
野副:そうですか。
 
秋草:知っていますから。たぶん野副さんには、私、サラリーマンとして言っていないと思います。周りには「人名」君から言っていると思います。野副さんのまわりのスタッフが野副さんに対する本心を完全に排除している。非常に残念です。日ごろ言っていることなんですが、全然なされず残念です。
 
野副:まあその、私自身は、言い訳になるかもしれませんけれども、そのはっきり申し上げて、「ファンドA」が裏にいるということについて、一時、そういう情報を、秋さんから教えてもらった以降はですね、そういったファンドは一切使うことはないようにと指示したつもりですが、そういったことになってなかったということについては今はじめてお聞きして、きわめてやっぱりそれは残念だと。もう少し強い。
 
安井:「ファンドA」のファンドを遠ざけろと仮に仰ったとしても、「ファンド A」の日本法人の、「人物A」さんは社長なんです。で、その人と、野副さんが個人的にお付き合いをされていたということが、やはり取締役会、あるいは世間からは、そうはやっぱり見てもらえない、ということだと思います。それから、あの、村島さんも私も、野副さんからお聞きした話だと、やっぱり「人物A」さんに対するものすごい信頼感、これはもう個人としてのたぶん信頼感だと思いますが、これは、これだけ強い信頼感のことをこう公言されるということは、やはり我々下の人間から言っても、これは切れないと。「人物A」さんとの関係は、やはり我々下の人間、たぶん「人名」も同じだと思うんですが、切れないと思ったんではないかと。それくらしい、やっぱり、強い信頼感というのを示しておられたと。で、「人物A」さんは、日本法人の、「ファンドA」の代表であったと。ここがもう、やはり取締役会としては、判断、決断のしどころであったという風に、私は皆さんと話をしていて思いました。本当に残念です。

武富士の場合は、盗聴事件があったりして捜査が入ったのですが、富士通は何を心配しているのでしょうね? 何もやましいことがなければ、端然としていればいいと思うのですが。 何か後ろめたいことでもあるのかな?