AppleがiPhone OS上でFlashを認めない理由

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【元麻布春男の週刊PCホットライン】 Appleの成功から今後を占う

AppleとAdobeは、iPhone OS上でのFlashのサポートについて、綱引きを続けていたが、正式にAdobeは同OSへのFlashの移植を断念した。それは、Appleがそれを認めないからであり、それを望むユーザーがいないからではない。また、AppleはiTunes Storeで販売するアプリケーションやコンテンツに関して、ポルノを認めない方針であることを明らかにしている。こうした方針を貫けるのは、プラットフォームからサービスまで、垂直統合されているからだ。ハードウェアからサービスまで、すべてひっくるめてiPhoneやiPadという商品であると、Appleは考えているのだろう。Appleといえども、MacでのFlashサポートを禁止しない/できないのは、Macがパーソナルコンピュータである証(自由を認めている証)であり、iPadとは異なるジャンルの製品であるからだと筆者は思っている。 (中略)
 
AppleはiPhone向けにデータ/コンテンツ販売サービスであるiTunes Storeを垂直統合し、それを自らの管理下におくことで、iPhoneのデータ通信市場を自らの手中に収めた。通話とメール以外について、キャリアが関与する余地はほとんどない。データ通信に関して、回線費用を負担せずに、一種のMVNO的な存在となることに成功している。iPadはそれをより純化させた端末だ。3GやWi-Fiといった回線サービスを誰が提供しようと、最も付加価値の高い部分はiTunes Storeを持つAppleが握る。それがAppleの事業戦略だ。(中略)
 
それでもGoogle TVが興味深いのは、この計算家電において、今までPC以外に成功例のない水平分業モデルを導入しようとしていることだ。Intel製の SoC(CE4100)、Googleのソフトウェア(Android OSおよびChromeブラウザ)、Adobeのアプリケーションプラットフォーム(Flash)、独立したハードウェアメーカー(ソニーおよび Logitech)、独立したネットワークサービス(米衛星放送サービスのDISH Network)、そして量販チャネルであるBestBuyだ(そういえば、Appleはわが国でのオンライン販売を、事実上自社の直販に絞ったことでも話題になった)。もしこの試みが成功すれば、x86系の組み込みプロセッサとAndroid OSを基盤とした計算家電が続々と登場する可能性がある。果たして、またもやの失敗に終わるのか、ついに成功を遂げるのか、その答えは1~2年以内に出るだろう。

ちょっと長いですが、とても深く分析された記事です。 こういうのは元麻布氏しか書けないですね。 年に1本くらいですが。 もっと書いてくれればいいのに。