こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから (文春文庫)
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荒井 千暁
文藝春秋
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メンタルヘルスケアの教科書精神疾患の原因は「上司」にあり。
関係ないと思わないで
自分の部下ではないですが、メンタルヘルス疾患で休職中の人がいるので、どんなものかと買って読んでみました。
著者は産業医をしてらっしゃるということで、最初に過労で倒れてしまった方の事例が4つほど出てきます。 これが見てきたような迫真の内容なのですが、後からこんな風に亡くなった方の心象風景まで分かるのかしらん?(特に事例1)とちょっと信ぴょう性に疑問を感じました。 まあ、これは交通事故のKY事例と同じようなもので、フィクションが入っているからといって、問題であるという訳ではないのでしょうが。
本書の題名通りに「部下を追いつめる上司たち」の例が挙げられていて、身につまされるところなのですが、それより印象的だったのは「部下がつまづく要素」でした。 あんまり使いたくない表現ですが、「これが『ゆとり』というものか」と思った次第です。
「第二部 倒れそうな部下をどう救う?」というところは、素直に業務に生かせそうな気がしました。 もっとも、そういう機会が起こらないようにしたいですが。
面白かったのは、交感神経系をフル活動させるタイプ(Aタイプ)の人と糖尿病との関連性です。 野心的でバイタリティにあふれる人は、確かに糖尿病にかかり易いイメージの人にダブるのですが、接待が多いなど生活習慣だけでなく、その性格から糖尿病になり易いというのも可能性としてはあるかもしれません。