連載「日本事業と向き合う」(4)危機の副産物|GAZOO.com
「リーマンショック以前の製作所は国内向けと輸出を組み合わせることで、全車種をバランス良く生産・供給することが出来ていた。ただ危機によって、その事業構造は崩れた。今後は日本の販売で製作所を支えていかないといけない」(ホンダ・日本営業本部長 小林浩取締役)。経済危機以降、自動車メーカーの幹部たちは国内販売の重要性を強調するようになった。円高による逆風が「日本で作り、日本で売ること」の意義を大きくしている。(中略)
危機からヒントを得たホンダと系列販売網は一歩踏み出し、現在は新車効果が切れた車種をバランス良く販売する“計画販売”にチャレンジしている。輸出によって解消していた車種ごとの出荷のバラつきを、国内販売のみで実現しようという試みだ。(中略)
メーカー各社が生産から販売まで一貫して国内事業を維持することに集中すれば、成熟市場で事業を持続的に運営するモデルを構築出来る可能性がある。「危機以前はメーカーと販社のベクトルが合っているようで、合っていなかった部分も多い」(日産・片桐常務執行役員)ためだ。そのズレを修正することは、市場ニーズの吸収や顧客へのアプローチをさらに高度化することにつながる。
ただ、メーカーの思いも、立場の異なる地場販社や現場スタッフなどから見れば、製造者のエゴに映るかもしれない。危機後の構造変化に対応した体質転換を販売網全体で共有することは容易ではない。今後は、エコカー補助金制度の終了によって環境悪化が見込まれる販売現場に対し、メーカー側がどのような支援策を打ち出せるかが当面の課題だ。それを通じて改めて製販の連携を強化することが、国内事業を再構築するための第一歩となりそうだ。
そうは言っても、量が見込めない日本市場に最適化した新型車の開発は、現実的にはなかなか難しいです。 売りにくいクルマを押し付けられる販売店も気の毒です。