「『何が分からない』かも、分からない」ということが分かっただけで進歩

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「『何が分からない』かも、分からなくなりました…」|就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌|ダイヤモンド・オンライン

授業が半ばに差し掛かった5月か6月のある日のこと。「ここは分かって欲しい」という内容を説明し終えて、教室を見渡すと不安な顔のポワンちゃんを見つけた。
 
「どう? 分かった? 顔に分かりませんって書いてあるけど?」
「はい、分かりません」
「どこが分かりにくかったかな?」
「うーん…(沈黙)」
「どこが分からないか、分からない感じ?」
「はい、ここまでは何となくついて行けたんですけど(と言ってレジュメを指差す)、この後は何が分からないかも分からなくなりました」
 
「分からない」と「分かろうとしない」は大いに違う。多くの学生は分かろうとしない。しかし、彼女は分かろうとして分からなかったのだ。それでも、授業で「分からない」と発言することは勇気がいる。恥ずかしいし、講義を聞いていなかったと誤解される恐れもある。(中略)
 
実はこういう発見をもたらしてくれる存在は、ビジネスにおいて非常に重宝する。チームで仕事をするときは、メンバーの誰かが分かったフリをして進めると後で必ず失敗する。分からないときに分からないと言うことは、他のチームメンバーにとってもプラスなのだ。「分からないんです」、「困っているんです」、というボイスを発してくれる存在は非常に貴重である。
 
勇気を持って「分からない」と発言できる人物ならば、組織や仕事で何か気づいた点や提案があるときは、もっと楽にボイスを発することができるだろう。ボイスを発することができる、これは彼女の気づいていない彼女の強みだ。

何においても初心者というのは、自分がどれだけ知らないかということすら把握できていない状態です。 到達すべき目標もわからなければ、自分のレベルも把握できていないのでは、どうしたらいいのかわからないのは当然です。
ですから講師をする際には、受講者自身が「いかに知らないか」を分からせるようにしています。

結局、「王様は裸だ」といえる人はなかなか居ないのです。 みんながそう出来れば、童話になんてならないですから。

結局、彼女は自分の行動に対してキチンとコミットができるのである。
これは、ビジネスで非常に重要だ。バンバン遅れる電車に人は乗るだろうか、納期が守れない工場に製造を依頼するであろうか。どんな優れたスキルを持っている人物であったとしても、遅刻する人には仕事はお願いできない。自分の仕事にコミットしていれば遅刻はしないはずだ。そういう人物は信頼してもらえる。これは仕事上どんなスキルよりも重要なことである。かくいう私自身、これを書きながら猛省する次第だが…。
 
私は残念ながら、社会人になるまでそんな基本的なことに気づけなかった。最初に勤務した外資系証券企業では毎日明け方まで働いていたので、遅刻常習犯であり、それが職場でもある程度許容されていた。しかし、クライアントとの宴会が終わったある夜に当時の上司にこう言われた。「明日の朝は絶対に遅刻するな。飲んで遅刻するようなだらしない人間が一番使い物にならない」。あまり厳しくモノを言わない上司だったが、その後の自分の経験に照らしても、このとき頂いたセリフはなるほどその通りである。(中略)
 
就活はビッグマウス(Big Mouth)選手権みたいな側面がある。
 
「時速300キロで走れます、でも、しょっちゅう遅れます」という新幹線と、「時速60キロです、でも、絶対に定刻運行します」という急行は、どちらが評価されるだろうか。就活では時速をアピールすべきと考える学生が多いが、企業は「定刻運行ができれば、後は企業に入ってから鍛えて徐々にスピードを上げれば良い」と考える。

あまりに当たり前すぎて見過ごされがちですが、「ちゃんとしている」というのも立派な個性で強みなんですね。

昔のプロ野球選手などでは、「朝まで飲んでて酒臭いけど、試合になるとホームラン打ってしまう」なんて無頼派がいて、自分も若い頃はそんなのに憧れていましたが、多くの場合は正しい態度で仕事に臨まなければ、良い結果は得られないものです。

採用で企業が重視するのは「伸びしろ」なので、こういう人の方が適切な環境と機会さえ与えてあげれば、自分で気付きをして成長していける可能性が高いですね。
でも、「肩の強さ、足の速さ、ボールを遠くに飛ばす能力は生まれつき」というように、絶対的なポテンシャルというのもあったりするんですけど。