「NOという奴は去れ」と言ったら幹部の9割が交代

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9割の幹部が交代「NOという奴は去れ」の本意:原田泳幸 | キーパーソン図鑑

2004年に私がCEOに就任したとき、マクドナルドは、既存店売上高が7年連続対前年比マイナスと、まさに最悪といっていい状況でした。景気後退や世の中の健康志向が低迷の理由なのだから、誰が舵取りをしても劇的な業績の改善は難しい。巷ではそういう見方が多勢を占め、しかもその空気は社内にも蔓延していました。
 
しかし、私は経営者です。しかも、変革を期待されて就任したのですから、そんな評論家のようなことをいっているわけにはいきません。(中略)
 
もちろん、そういうドラスティックな変化に異を唱える人もいます。その場合はとにかく話を聞くことです。リーダーは常に右から左、上から下までできるだけ幅広く意見を聞く姿勢をもつべきであり、それを怠れば容易に裸の王様と化してしまいます。
 
しかし、話を聞いたうえで、どの意見を信じるかというのは、あくまで私のジャッジです。180度違う意見も聞くけれど、最終的に決めるのはリーダーだということは忘れてはなりません。そして、いったんこれでいくと決めたら決してぶれないこと。
 
「これからは新しいバスを走らせる。乗車券を買うかどうかは自分で決めてください」。私は就任直後、役員にこういって決断を迫りました。全員が納得するまで話し合うなどという悠長なことでは、改革など実行できません。ノーという人には去ってもらう。結果、上層部の9割が入れ替わりました。しかし、危機的状況では、こうした厳しいリーダーシップが必要なのです。

まるで橋下・大阪市長の話みたいですね。 でも危機的状況の中で変革を起こそうとしたら、結局はこうせざるを得ないのでしょう。 それはビジネスも政治も同じです。

「1日2時間の空白」日本マクドナルド 原田泳幸社長【1】 | 社長の仕事術

だいたい、社員が長時間労働に耐えることで製品のコスト競争力を上げるというのは、戦後の復興期の政策です。これからの日本企業はインテレクチュアル・プロパティー(知的財産)やクリエーティビティーで差別化を図っていかなければなりません。労働時間を延ばすというのは明らかに時代に逆行しています。
 
そうはいっても反発はありました。それまで毎月100時間も残業してようやくこなしていた量を、6時までに終わらせられるはずがないというわけです。
 
しかし、アップルコンピュータ・ジャパン時代に残業ゼロを実現していた私には、それが可能だということや、そのために徹底的に無駄を排除し、スピードを上げ、密度を濃くすれば、延々と残業をしていたときよりむしろ、仕事の質は上がるということもわかっていました。
 
それに、ファストフード・ビジネスというのは、わずか0.5秒で食べるか食べないかを決めるお客さんを相手にしているのですから、時速300キロメートルのF1マシンを運転するスピード感がなければ、し烈な競争に勝ち続けることはできません。それを社員に教えなければならないという思いもあったのです。
 
だから、絶対に無理だとは言わせませんでした。サービス残業でいいと言っても認めません。こっちは仕事の質とスピードを要求しているのですから。

単純に「残業代がコスト増だから」というのではなく、「仕事の質を上げる為に、スピードと密度を高める」ということのようです。

「1日2時間の空白」日本マクドナルド 原田泳幸社長【2】 | 社長の仕事術

こうして全社一丸となって残業ゼロに取り組んでいると、資料の1ページ目から読み上げるような会議や、パワーポイントにワープロの文章を貼り付けて読ませるといったプレゼンテーションは自然と減り、その分生産性は確実に高まってきました。いまでは全社員の平均残業時間(月間)はひと桁です。しかも、2009年1~6月期には96億3600万円という過去最高の営業利益を叩き出しました。仕事は時間ではない、質とスピードなのだということを、当社の社員は見事に証明してくれたのです。

でも一歩間違うと、サービス残業の温床になったりするんですよね。 「名ばかり店長」とか。

あと、

こうして、無駄は排除しますが、どんなに忙しくても必ず1日2時間の空白時間をつくります。経営者としての判断を誤らないためには、ひとりになって仕事の中身を一つひとつ検証したり、整理したりする時間が不可欠だからです。といっても、社長室でじっと目をつぶって思索に耽るようなことはあまりなく、たいていは会社のなかをぶらぶら歩いたり、店舗でコーヒーを飲んだりしながら、いろいろなことに想いを巡らしています。

30分でいいので、こういう時間は必要ですね。