時代の風:危機は必ず中心部へ=同志社大教授・浜矩子 - 毎日jp(毎日新聞)
「人々が『無事だ。安全だ』と言っているそのやさきに、突然、破滅が襲うのです」
この言葉、聖書の中の「使徒パウロのテサロニケの信徒への手紙」の一節である(日本聖書協会発行「聖書共同訳」より)。テサロニケは、現テッサロニキ。ギリシャ北部に位置するマケドニア地方の港湾都市だ。
こういう書き出しができる人って、本当に凄いと思うわ。
それはさておき欧州危機です。
引くと思えばまた寄せる財政危機の大波は、どうも、寄せるたびに欧州中心部の高台に接近する雰囲気がある。元来、中心部の高台は災害知らずの安全地帯であるはずだ。だが、ここに来て、本当に大丈夫かという思いがつのる。
端的にいって、フランスまで大波が及ぶことには、誰もあまり驚かないだろう。財政再建を巡るフランスの腰のふらつきぶりは、イタリアとさほど変わらない。サルコジ大統領は、いざとなれば支持率確保のために何でもする。君子豹変(ひょうへん)して、財政再建から成長確保にカジをいつ切り替えるか分からない。この危うさが、危機の大波を自ら呼び込む面がある。
問題は、危機が鉄壁の高台であるはずのドイツに及んだ場合である。まさか、そんなことはないだろう。そう誰もが思いたい。だが、実際問題として、状況はそれなりに厳しい。(中略)
いかにパワフルなメルケル首相といえども、魔法のつえも打ち出の小づちも持ってはいない。しがみついてくる沈没者たちの重みに耐えかねて、ついに高台から転落する日が来ないという保証はない。それを意識してのことか、ドイツ国債に関するデフォルト保険のマージンがジワッと上がる場面がみられたりする。
解決に時間をかければかけるほど、国家財政や銀行の体力は落ちてきます。
「危機の大波」が収まることを期待して、時間稼ぎをするのは得策ではないと思いますけどね。