LUTに代えて伝達関数を使う、といっても全部を伝達関数だけでやるのは結構骨である。たとえばグラフ1は前回も紹介した、適当に作った伝達関数を基にしたデジタルマップもどきであるが、実際に試作してみたら、どうも3,500~4,500rpmの間にトルクの谷ができてしまうので、ここをちょっとだけ濃い目にしよう、なんて話があったらどうするか?(中略)
そこで伝達関数を使う場合、「補正マッピング」と呼ばれる方法が採用されることなった。つまり燃料吐出量のメインの計算は伝達関数で行うが、このあとで補正をデジタルマップで掛ける、というものだ。(中略)
この補正マップを、後付けの形で実現したのがサブコンである。サブコンの定義は色々あるが、要するにメーカー純正のEFIとインジェクションの間に挟みこむ形で装着され、EFIの出力する吐出量の信号と、必要ならいくつかのセンサー信号を元に、あらためてデジタルマップを使ってガソリン吐出量を決めるという仕組みである。
なるほどねー。 どうやって後付の装置で吐出量を変化させているんだろうと不思議に思っていたんだけど。
カブ110やWave110iのPGM-FIも基本的には同じかな?
世間一般で言われる、チューニングパーツとしてのサブコンは、勿論TAG-310Bほど高機能なECUを相手にするものではないし、そこまでの機能も要求されないから、おおよそ図2に示す程度のものであることが普通である。完全に元々のEFUを外してしまう事も可能な場合もあるが、最近の車は盗難防止などのシステムの中にEFIも組み込まれているのが普通なので、EFIを外してしまうとそもそもエンジンが掛からなかったりする。
またエンジン起動時の振る舞い(特に寒冷地域におけるオートチョークまわりとか)などまでチューニングパーツにお任せされると荷が重いので、ある程度スポーツ走行を考慮したエンジン回転数未満は、サブコンは何もせずに信号をスルーといったインプリメントになっているものも少なくない。チューニングパーツのサブコンの目的は、ある程度ブン回して走るときによりパワー/トルクを出すとか、旋回時のレスポンスをよくするとかそういう話である事が多いので、それ以外はオリジナルのEFIに任せたほうが得策という訳だ。
こうしたサブコンの場合、やはり調整は補正マップ方式になっていることが多い。もっと進んだものは、マップそのものを幾つか用意しておき、どのマップを使うかを選択するだけ、というものもある。サブコンを使おうとするドライバーが、必ずしもエンジンの特性などに詳しいとは限らないので、変に補正マップをいじくりまわして大変なことになるよりも、ある程度特性の確定したマップを選ばせるだけにしたほうが無難、というキットパーツショップ側の事情もここからは透けて見えてくる。
O2センサからのフィードバックで、ある程度の範囲内ならボアアップに対する補正はしてくれてるんだろうな。
でもおなじエンデュランスのボアアップキットでも、カブ110用はサブコン付きでWave110iは無しだったりするので、許容範囲に差があるということでしょう。