衆院代表質問:野田首相、増税「公約違反でない」 早期解散を否定 - 毎日jp(毎日新聞)
野田佳彦首相は26日の衆院本会議で始まった各党代表質問で、消費増税が09年衆院選の民主党マニフェストに違反するとの批判に「衆院議員任期中に消費税率の引き上げは行わない。従って公約違反ではない」と反論した。「やり抜くべきことをやり抜いたうえで国民の判断を仰ぎたい」と早期の衆院解散・総選挙には否定的な考えを改めて表明。自民党の谷垣禎一総裁に「改革の方向性、考え方に大きな違いはなく、ぜひ協議に応じてほしい」と与野党協議への参加を要請した。
谷垣氏は消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革について「マニフェスト違反は明らかだ。民主党政権に(消費増税法案)提出の権限は与えられていない」として、衆院解散・総選挙で国民に信を問うよう迫った。首相は「一体改革も(自公連立の)前政権から引き継ぎ、避けては通れない与野党共通の課題として実現を目指している」と強調。「政策の是非については次の選挙で国民に判断いただく」と消費増税を争点とする解散の可能性にも言及した。
野田氏は自分のことを「信念の人」だと思っているんでしょうが、単に「自分の過ちを認めない人」にしか見えませんね。
社説:首相と谷垣総裁 協議は十分可能では - 毎日jp(毎日新聞)
ネックになっているのは、やはりマニフェスト違反問題だ。その点、野田首相の答弁はお粗末だった。首相はこう答えた。09年の衆院選で民主党が言ってきたのは次の衆院議員の任期中に消費税は上げないという話であり、任期は13年夏までだから、14年4月にまず8%に引き上げるという案は公約違反ではないと。
だが、強弁を弄(ろう)するとはこのことだ。大多数の有権者はそうは受け取っていない。そもそも「政権が代わって政治が変われば、いくらでも財源は出てくる」と財源の手当てを怠ったのが間違いの始まりだ。マニフェスト自体がいいかげんだった点、約束を果たせなかった点をもっと素直に認め、何度も謝罪すべきである。そうでないと前に進まない。
また当面の社会保障政策だけでなく、所得比例年金と最低保障年金を組み合わせるという将来の年金抜本改革についても早急に示す必要がある。そうすれば自民党も対案を示さざるを得なくなるはずだ。
民主党の機関紙たる毎日新聞の社説も、さすがに今回は擁護できなかったようですね。
衆院代表質問:「公約破り」で応酬 谷垣氏「命懸けで実行、撤回するか」/首相「状況に応じ優先順位を判断」 - 毎日jp(毎日新聞)
「総理は当時の演説を撤回するのか、マニフェスト違反を正直に認めるのか」
谷垣氏が激しく問いただしたのは、首相が09年衆院選で行った街頭演説の内容だ。
首相がマニフェストについて「書いてあることは命懸けで実行する。書いていないことはやらない。それがルールです」と訴え、当時の与党・自民党を「書いていないことは平気でやる。マニフェストを語る資格がない」と批判する映像が動画共有サイト「ユーチューブ」で話題になっていることを取り上げた。
「私の選挙中の発言に行き過ぎや言葉足らずの点があったとすれば、率直に反省し、国民におわびもする」
首相は一応の陳謝を口にしつつ「政府の政策は状況の変化の中で国民の声を聞きながら優先順位を適切に判断することも必要」と開き直った。当時の民主党の公約については「衆院任期中には消費税の引き上げは行わない、引き上げを行う際は国民に信を問うということ」と説明。衆院議員の任期は13年8月までで、8%への引き上げ時期が14年4月に設定されていることを理由に、谷垣氏の「偽りに満ちた国民との契約」との批判を突っぱねた。
「あったとすれば、おわびもする」というのは「ないから、謝る必要はない」と言っているのと同じです。
クローズアップ2012:代表質問 名ばかり「一体」改革 社会保障、具体像なし - 毎日jp(毎日新聞)
野田政権が突然、社会保障の全体像の提示を急ぎ始めたのは、自民、公明両党が消費増税をめぐる与野党協議に応じないなか、公明党が全体像の提示を求めたことに、これ幸いと飛びついたためだ。(中略)
これを受け、26日の代表質問では自民党の谷垣禎一総裁が「輿石氏の発言も踏まえ、新年金制度の詳細設計、費用、財源の政府・与党案を消費増税法案の国会提出前に明らかにしてほしい」と質問。輿石氏と歩調を合わせる民主党の樽床伸二幹事長代行も「特に年金制度について全体像を示さなければならない」と表明する展開になった。だが、首相は「一体改革の意義や具体像をわかりやすく伝えたい」などと述べるにとどまり、具体的な答えは示せなかった。
そもそも、新年金制度をめぐっては、民主党は昨春、政権公約(マニフェスト)にある最低保障年金7万円を前提に、消費税率を10%への引き上げとは別に最大で7・1%引き上げる必要があるという試算をしている。だが、影響を恐れて試算は公表されず、「全体像」の検討は事実上放置されたままだった。党幹部は「野党が示せと言うから示すことに、ここ数日でなった」。首相が前向きな考えを示しても内実は「泥縄」だ。
政権側のご都合主義には樽床氏も代表質問で「野党の皆様からは『都合のいいことを言うな!』との声が聞こえてまいります」と認めざるを得なかった。年金問題は民主党が政権交代を果たす原動力になったが、いまは首相の足もとを揺るがしかねない懸念材料になっている。
政権交代のダメ押しになったのは、「消えた年金」問題でしたね。 有権者が民主党に一番期待したのは、持続可能な年金制度の構築だったはずですが、余計なことばかりやっていてほとんど進んでいません。
新年金制度:民主、財源試算 消費税換算、最大11.2% 75年度に61.3兆円必要 - 毎日jp(毎日新聞)
民主党が開示を渋る同党の新年金制度案に関する昨年3月の試算は、75年度に最大61・3兆円の財源を要するとの内容だ。消費税率換算で11・2%分。新制度への移行が始まる前年、15年度の所要額は4・1%分なので、新制度のために税率を7・1%アップしないといけない。7・1%分は「15年10月に消費税率10%」を目指す税と社会保障の一体改革案には含まれず、一体改革とは別に必要な増税という位置づけとなる。
民主党案に大幅増税が不可欠なのは、「月額7万円」の最低保障年金を全額税で賄う予定だからだ。今の「月額約6万6000円」の基礎年金は税と保険料半々。基礎年金の段階的廃止に伴ってその分の保険料収入が減っていく以上、穴は税で埋めざるを得ない。
なぜ増税が必要なのかは、大概の有権者は理解していると思います。 でも、政治家たちは「増税したお金をどう使うのか、何をするのか」を明確に答えるべきです。
「増税分は、まるまる社会保障に充てる」なんて言い草は信用できませんけどね。