例のアンケート調査とハシズムの“善意”:日経ビジネスオンライン
最初に答えを言ってしまうと、私は、このアンケートは、失敗だと思っている。
「失敗」の意味は、アンケート調査のもたらす結果が、市当局ならびに橋下徹大阪市長が企図した通りの結末には結びつかないだろう、ということだ。(中略)
冷静な口調(文体)で、アンケート調査の意図を擁護している人たちは、当調査が手段として無理筋である点については、ある程度認めている。彼らの主張の主眼は、アンケートが正当で立派な手続きであるというところにはない。彼らが言わんとしているのは、現状の大阪市役所のような著しい腐敗をただすためには、多少とも「無茶」な手段が必要だということだ。(中略)
が、それでもなお、私は、アンケートには賛成できない。
つまり、冒頭で述べた「アンケートは失敗する」という予断を引っ込めて、「アンケートは案外効果的に機能するかもしれない」というふうに前提を書き換えたのだとしても、やっぱり私はこのようなアンケート調査を強行することには、どうしても同意しかねるのだ。
いつもは歯切れのいい小田嶋さんですが、今回はイマイチですね。
個人的には、このアンケートは一種のブラフだと思いますよ。
自分はケンカは強くないですし、というかほとんどしたことがありませんが、機先を制するのが大事なのは分かります。 殴り合いも辞さずにとことんやる気なら、「最初の一発」が肝心です。
このアンケートが示しているのは、そういう橋本市長の意思表示なんでしょう。 実際に異分子を排除できるかどうかは問題ではありません。
ひとつたとえ話をする。詭弁だと思う人はそう思ってもかまわない。
独裁をめぐる議論は、「効果」と「正統性」の対立であるという意味で、体罰の論争と大変に良く似ている。(中略)
為政者による恫喝を含んだ思想調査は、教師の体罰に似た効果を持っている。すなわち、上の立場の者が下位の人間に脅迫を加えれば、職場からは、ゆるんだ空気が一掃されて、緊張感と秩序が回復するということだ。
と、この「効果」は、慣性を獲得する。市役所は「より忠実な職員」を優遇し「より同調的な組合員」をリーダーに選ぶみたいな組織に向けて自動運動をはじめ、リーダーはリーダーで、「恫喝」の「効果」に嗜癖することになる。
ナチスの独裁においても、その初期には、蜜月の時代があった。すなわち、ワイマール体制のもとで停滞していた懸案事項や、古い体制に取り付いていた腐敗を一掃して、秩序と清潔という目に見える「効果」を顕現していた時期があったということだ。だからこそ彼らの党は、正当な選挙を通じて圧倒的な議席を獲得することができたのである。そうでなければ、あれだけの勢力を獲得することはできなかったはずだ。
個人的な苦い記憶が切れ味を鈍らせてしまったのかな?
ファシズムは民主主義から生まれるものです。
「独裁」という言葉を持ちだして橋本市長を論評しても、まったくダメージを与えられないと思いますけどね。