ホンダとソニーを一緒にするな

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従業員への眼差しに見る企業の死角:日経ビジネスオンライン

この会見の終盤、ある記者から質問が出た。
 
「間もなく春闘の季節です。今期は増配も計画しているようですが、春闘に対するスタンスはいかがでしょうか?」
 
これに対するホンダの池史彦・専務の回答は、
 
「昨年の震災、タイの洪水での従業員の頑張りには応えたいが、単独の業績は…」
 
と、歯切れの悪いものだった。(中略)
 
一方でホンダは今期、前期から1株当たり6円多い、60円の通期配当を予定している。これは中長期的な配当性向のバランスを考慮したものとしている。確かに、業績の絶頂期にあった2008年3月期に通期で86円の配当をしていたことを考えれば、その回復は道半ばと言えよう。
 
しかし、春闘に向けた歯切れの悪い回答と、この増配にはどこか企業としての矛盾がないだろうか。ステークホルダーとして従業員よりも株主を優先した、そう受け止められてもいたしかたない。

いや、普通そうでしょ? 従業員は大切だけれども、株主よりも優先しちゃダメでしょ? なんかおかしいことあるの?

話は代わって、

ここで、2月2日に決算発表および社長交代について会見したソニーを振り返りたい。同社の2012年3月期の連結純損益は約2200億円の赤字の見通し。そして、ハワード・ストリンガー社長兼CEO(最高経営責任者)が同職を後任の平井一夫副社長に譲ることになった。
 
トップとしての7年間を総括したストリンガー社長は、「CEOとして責任はある」としつつも、「過去7年は紆余曲折があったが、改革と勝利を成し遂げたことに誇りを持っている」と語った。しかし、同社は今期で4期連続の最終赤字となる。記者はストリンガー社長を直接取材した経験がないため、その真意は測りかねるが、公の場で発した言葉として、違和感を抱かずにはいられない。(中略)
 
ではソニーはどうか。業界全体の構造転換の波に飲まれ、海外企業の攻勢に押し負けている結果の4期連続最終赤字。ストリンガーCEOの「改革と勝利」という言葉、そして高額の報酬は、この現実とあまりにも矛盾していないだろうか。果たして、ソニーの従業員1人1人は、この事態を看過できるのだろうか。

じゃあ、その矛盾を退任まで何で指摘しなかったのかな? ライバル誌の『ダイヤモンド』の方は、少し早くに指摘していたけれど。

ホンダとソニーに焦点を当てたのは、2社の抱える矛盾に共通点があると記者は考えるためだ。
 
冒頭にも書いたように、この2社はイノベーションによって世界的なブランドを構築してきた。今や産業史の伝説ともなっている、それぞれの創業者の間に親交があったことでも知られる。しかし、現在はいずれも「個性」「らしさ」を失ったと言われて久しい。(中略)
 
少々強引かもしれないが、簡潔に言えば、イノベーションへの投資とはすなわち人への投資だ。むろん、これは研究開発に限った話ではなく、営業でも生産でも調達でも人事や経理でも、全く同様だ。(中略)
 
改めてホンダ、ソニーの2社に目を向けると、両社の創業理念の冒頭には「人間尊重」(ホンダ)、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき」(ソニー)との金言が掲げられている。
 
いたずらに賃金を上げることが、これらの言葉の実践ではないのだろうが、2社の会見から感じ取れた矛盾は、やはりこうした考えと相反する気がしてならない。従業員への眼差しに死角はないのか。2社に限らず、日本企業がイノベーションの活力を取り戻すために、改めてその原点に立ち戻ってはどうだろうか。

いつもは経営者マンセーの論陣を張る日経にしては、めずらしく労働者寄りの視点ですが、相当にピンボケな記事ですね。 こういうのを牽強付会というのでしょう。 慣れないことをするものではありません。

多くの矛盾を抱える人間が運営するのが企業ですから、矛盾があるのは当たり前です。 その矛盾から逃げたり、安易に一刀両断しないで向き合うのが大事だと思いますけどね。