コンテナ輸送への先見性が仇になった、貨物列車の残念な歴史

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Business Media 誠:杉山淳一の時事日想:トラックに負けた、貨物列車の残念な歴史

日本の鉄道コンテナの歴史は古い。実は船舶用コンテナの普及より早かった。国鉄が最初に提供したコンテナは1931(昭和6)年に登場したという。1トン積みの小型コンテナで、屋根のない貨車(無蓋車)にそのまま載せるタイプだった。(中略)
 
11ftコンテナ、12ftコンテナのアイデアは良かった。先見性もあった。しかし、たから号運行当時、すでに始まりつつあった海上コンテナ規格化を察知すべきだった。12ftサイズに固執してしまったために、時代の変化についていけなかったのだ。もっとも、当時はコンテナを積み替える機材(フォークリフト)の性能面の制約もあっただろう。(中略)
 
国鉄やJR貨物も「12ftのままでよし」と看過していたわけではない。独自規格の大型コンテナの投入もあったし、1967(昭和42)年には海上コンテナの鉄道輸送の試験を開始した。翌年からは本格的に取り扱いを始めた。1969年に40ft海上コンテナのISO規格が制定され、これに対応すると宣伝して、順調に荷扱いを増やしたという。(中略)
 
もうひとつの新しい流れとして「31ftコンテナ」がある。こちらは日本のトラック輸送事情に配慮したコンテナだ。日本で普及している10トントラックの荷台とほぼ同じサイズで、基本は妻面扉。ただし、側面をウィング式に大きく開くタイプもある。その扉の開閉はトラックの電源を利用できるという。鉄道側からの移行も容易で、国鉄型12ftコンテナ5個積みの貨車に2個積める。(中略)
 
12ftコンテナはまだまだ使える。しかし、宅配便の普及など荷物扱いの多様化によって、トラック運送会社に委託するケースが増えるのではないか。むしろトラック運送会社は、小口の荷物をまとめて、大型鉄道コンテナに都市間を委託する傾向もあろう。ならば、いつまでも鉄道都合の12ft規格にこだわらず、トラックと親和性の高い31ftコンテナ、世界共通規格のISOコンテナへの投資をすすめるべきだ。

なかなか勉強になりました。