津波は非常に「想像しにくい」災害

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第4回 車は危険! すぐに高台かビルの上階へ:日経ビジネスオンライン

実際、津波というのは、非常に「想像しにくい」災害なのだという。
 
「実は、沿岸部に我々が立ちますと、5メートル、場合によっては今回のような10メートル級の津波が来ても、水面がちょっと高い状況にしか見えないんですよ。周期が長くて通常の波ではないですから。しかもスピード感がわからないんですね。時速200~300キロで来ていても、遠くだと凄みを感じない。実際に感じるところまできた時には、もう足で逃げるには遅い。かといって、車で逃げようとしても、渋滞していると」
 
高台や建物の上で、住民が撮影したビデオが動画サイトなどに、たくさんアップされている。今村さんは、それらの多くに目を通し、この「実感のしにくさ」をまさに実感したという。
 
「よく住民の方が津波を見ているのも一緒に映った動画があるんですけど、津波が目の前に来てるのに、皆さんその場に立っているんですよ。あんまり怖さを感じないんですね。そして、もっと近づいてくると、「おお、おお、おお、おお、おお」っというふうなかんじになって、目の前に通過する段階になってものすごい悲鳴を上げるところまでいくんです」
 
そのような映像はビルの上や高台で撮影されたものなので、撮影した人、撮影された人は、津波を生きのびている。しかし、遠巻きに見ている間は、まだ実感が湧かず、町が破壊され始めて、おおっ、と声をあげ、足下を水流がさかのぼり始めて悲鳴に変わる。「ああ、ここもやばいかも!」と。

3・11が近くなり、テレビで震災時の映像を目にする機会が増えてきました。

先日のNHKの番組でも、丘の中腹から100mくらい先の津波の様子をビデオに撮っていた人が、急に慌てて丘を駆けのぼったかと思ったら、振り返ると5m下まで津波と押し流されたクルマが迫ってきていました。 この間、10秒も掛かっていません。 それくらい津波は速いということです。

ところで、

なお、車での避難が、危険なことが多いことについて、今村さんは強調した。
 
もちろん渋滞になる前の早期の避難なら、問題なかろう。しかし、いざ津波が来た段階で、車を使うと大抵は悲劇が待っている。
 
「車での移動では、とにかく渋滞が起きる可能性があるということですね。あと、車は閉鎖空間なので、津波が真横や後ろから来たとしてもわからないんですよ。音が聞こえない。視野も、前しか見てないので。それこそ、水が来て、浮いてしまって初めてわかることもあるわけです」
 
というわけで、一般論として語られる「車では逃げるな」というのは非常に正しいようだ。また、よく言われるように、自由に移動できないお年寄りや、病気・障害を持っている人たちが優先して自動車を使い、渋滞に巻き込まれないように、ということも。
 
もっとも、まわりに高い所がなく、かつ、交通量が少ない所では、自動車での移動が有利なこともあるだろうし、実際にそれで助かった人もいるだろう。「定性的」にも、おそらく「定量的」にも自動車の利用は危険なのだが(それこそ、個人にとっても、避難する集団にとっての最適な行動という面でも)、「例外」は自分の感覚でつかみ取るしかないのだろうから、その点、非常に難しい。

そうは言っても仙台沿岸で地震に合ったら、徒歩で仙台東部道路まで行けというのはちょっと大変です。
行けるところまではクルマで行って、詰まったら乗り捨てて避難するしかないでしょうね。