Part 4:軽自動車用エンジンは燃費勝負 - クルマ - Tech-On!
三菱自動車は軽自動車「i」のために、「3B20」を開発した。スズキのR06Aが、ロングストロークありきだったのに対し、三菱の3B20はφ65.4×65.4mmという完全なスクエアエンジン。冷却を強化することによって燃費を向上させた。
まず、シリンダヘッド先行冷却という水の流し方にした。ラジエータで冷やした水をまずヘッドに送り、次にブロックに落とすやり方だ(図5)。水温はヘッドでは低く、ブロックでは高い。このため燃焼室を十分に冷やし、耐ノック性を上げることができる。
この順番が有利なことは分かっていた。しかし量産車で実行するメーカーはあまりいなかった。水ポンプはブロックに取り付ける。そのフランジを水の流路にするのが素直な配置である。ヘッド先行では、ポンプからヘッドに向かう配管が別途必要になり、部品が増えてしまう。
当たり前のことを、面倒臭がらずにやってるというのが素晴らしいですね。
他にも
次にウォータジャケットを深くしてシリンダライナを十分に冷やした。最近、ブロックのウォータジャケットを浅くするエンジンが目立つ。これは爆発行程に着目したものだ。クランク軸が上死点から15度も回れば、燃焼はほとんど終わってしまう。それならばウォータジャケットは浅めにして、上を重点的に冷やした方がよい。水の量は減るしブロックの剛性も上がる。それはそれで説得力がある。
これに対し、三菱は吸入、圧縮行程を重視した。ライナの温度が高いと、吸気を暖めてしまう。そのためウォータジャケットの深さを71mmにした(図6)。ストロークが65.4mmだから、下死点までしっかり冷やすことになる。ライナの表面温度は数℃下がる(図7)。
これによって、吸入中、圧縮中にライナから伝達する熱が減る。2000rpm、スロットル全開で比較すると、圧縮終わりで20~30℃は温度が低くなる(図8)。このためノッキングしにくくなり、点火時期を早めることができる、結果としてトルク、燃費を向上させることができた(図9)。
この浅いウォータジャケットは、日産のエンジンなんかでよく見かけます。 ホンダは深いタイプですね。