EV・PHV「伸び悩み」のなぜ リチウムイオン電池の量産化がネックか :日本経済新聞
「売る気満々なのになぜ……」。首都圏に拠点を置くトヨタ系の大手ディーラー幹部は首をかしげる。同ディーラーはEV「リーフ」を販売している日産自動車の本拠地に近いということもあり「全国で一番EVが売れているこの地区でPHVで迎え撃つ」と対抗心をむき出しにする。しかし、その熱い思いとは逆に「メーカー(トヨタ)から思うように車が回ってこない」という。
1月末に発売した「プリウスPHV」の1カ月間の販売台数は1900台強。年間の販売目標3万5000~4万台と比較すると自慢できる数字ではない。EVと違って「電欠」の心配がなく航続距離も長いPHVはトヨタが開発に最も力を入れてきた車種の1つだ。(中略)
むしろ、問題なのは「メーカーからの販売圧力はあまりなく、拍子抜けしていること」(トヨタの都内大手ディーラー)にあるという。「こんな素晴らしい車を放っておく話はない。なぜだ」(別の首都圏ディーラー)とまで話す販売店もある。
販売現場とメーカーとの大きなギャップ。関係者の話を総合すると「バッテリーの量産がうまくいっていない」ことが大きな理由のひとつのようだ。
パナソニックがリチウムイオン電池の開発に失敗した(プリウスPHV発売までに歩留まりを上げられなかった)というのは本当なんでしょう。
特定の電池メーカーと結びついて事業を行うのは、コケたときのリスクが大きいですね。
当のトヨタは、プリウスPHVはEVとHVの「いいとこどり」と表現する。具体的には、プリウスのニッケル水素電池(容量1.3kWh)をより高性能なリチウムイオン電池(同4.4kWh)に置き換え、回生ブレーキによる充電性能も強化することで、EV走行の距離を延ばしている。蓄電池の強化に加え、外部電源(交流100V/200V)からも充電できるようにした。(中略)
従来のプリウスでは、電池の容量が小さいため長い下り坂などでは電池がすぐに満充電となってしまう。このため回生を放棄し、わざわざエンジンを始動してエンジンブレーキを掛けるという制御をしていた。モーター兼発電機と電池を持つクルマとして、これはもったいない。
プリウスPHVでは、電池容量を約3.4倍にしたことと、充放電時の電流密度が高いリチウムイオン電池を採用したので、かなり長い下り坂でも回生の放棄が起きなくなっている。例えば、箱根峠などの長い下りでもエンジンブレーキを使う必要が一切なくなった。箱根峠では、摩擦ブレーキだけだとフェード現象(高温になると摩擦係数が低下すること)やベイパーロック現象(ブレーキ系の作動液が高温で蒸発し、気泡を生じて踏力が伝わらなくなること)を起こす危険性があるため、一般的な自動車ならエンジンブレーキが必須である。
そう考えると日本では、麦草峠からの下りでフルに回生ブレーキを効かせたときに、電力を受け止められるバッテリー容量があれば、とりあえず無駄がないということになりそうですね。