トヨタとBMWの「呉越同舟」

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トヨタ、BMW遺伝子で「HVガラパゴス論」封じ :記者の目 :企業 :マーケット :日本経済新聞

 「どちらが得で、どちらが損という話ではない」。あるトヨタ幹部は、BMWと環境分野で広範囲な技術交流を始める狙いをこう話す。中でもHVはトヨタが世界をリードする“お家芸”。巨額の研究開発費を投じて育ててきた結果、小型HV「アクア」の燃費は燃料1リットルあたり35.4キロメートルと世界最高水準にまで到達した。実質的にBMWへ持ち出しになるのを覚悟で技術交流に踏み込むトヨタが抱える苦悩は深い。
 
その一つが欧州のHV市場の伸び悩み。トヨタの11年のHV販売は、日本の32万台、北米の19万台に対して欧州は8万台にとどまった。欧州では業界でこそ「HVのトヨタ」との認識が浸透しているが、消費者にとってはまだまだ存在感は小さい。BMW車にトヨタのHV技術を載せ、欧州の消費者に「BMWに載っているトヨタのHV技術」と認知してもらうことが、HVで欧州攻略をする近道になるとトヨタは判断した節がある。

「運転する喜び」にもっとも重点を置くBMWが採用するのだから、HVだって退屈ではないよと示したいのでしょう。

誤算が迫ったBMWの決断、環境車はトヨタと攻める  :日本経済新聞

BMWに環境戦略で足踏みしている余裕はない。高級車で競合する独ダイムラーは、10年4月に仏ルノーと日産自動車の連合と資本提携し、小型車やEVなど事業協力の分野を一段と広げている。独アウディも親会社の独フォルクスワーゲン(VW)と部品共通化を拡大。アウディは4月の世界新車販売台数でBMWブランド車を上回るなど、激しく追い上げてきた。
 
高級車世界一の座から滑り落ち収益力が衰えてくれば、環境技術への研究開発資金も思うように確保できなくなる。前途に暗雲が垂れこめるなか、BMWにとって希望の光となったのがトヨタだったわけだ。
 
南欧景気の不振で業績が悪化するPSAに比べ、トヨタの技術開発力は資金力の面から見ても圧倒的に優位。将来の環境車がEVなのか燃料電池車なのか依然見えてこない中で、トヨタの力があれば、万全の備えができる。(中略)
 
年間新車販売が150万台前後のBMWだけではコスト削減にも限界がある。しかしここにトヨタの規模が加われば、計算の仕方も変わってくる。BMWは20年までに新たな戦略小型車を開発・投入する計画も進めている。ダイムラーがルノー・日産連合の力を借りたように、BMWがトヨタと様々な分野で協力する選択肢も浮上してくるだろう。新たな日欧自動車大手の提携は、他の大手連合の戦略にも大きな影響を与えそうだ。

BMWとしても困ってたんでしょうね。