ベンチマーキングはするべきか否か?

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ライバルは見るな! 「日本撤退寸前」が、売上3倍になった理由|口紅は男に売り込め!―有名ブランド再生人の非常識な3原則―|ダイヤモンド・オンライン

他とは違う独自のアイデアを生み出したい。こう考えた時、まず気になるのは、競合ブランドの存在です。
 
多くのビジネス本にも、「ライバルの戦略を分析せよ」という指南が書いてあると聞きます。同じ路線に向かうことをあらかじめ排除するためにも、ライバルの動きを知ることは非常に効率的だと感じる人も多いでしょう。
 
でも、私はあえて「ライバルの動きは無視しなさい」と言いたい。人はいったん知ってしまうと、いくら自分では気にしないといっても、その情報を完全に忘れてしまうことはできません。(中略)
 
一度覗き見してしまうと、常に動向が気になって、見続けずにはいられなくなってしまう。そして、いくら違うことをしようと思っても、無意識のうちにライバルの成功談が脳裏に刻み込まれて、片隅から離れなくなってしまうのです。
 
そうすると、思い切ったことをしようと考えても足かせとなり、思考に制限がかかってしまいます。

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」といいますし、普通はやっぱり彼我比較して強み・弱みをハッキリさせて対策を考えますよね。

似たような話を最近読みました。

他社の話なんて聞きたくない 「絶対価値」とは(後編) :日本経済新聞

筆者は、将来のホンダの安全戦略について、本田技術研究所で久米是志・ホンダ専務(当時。後の3代目ホンダ社長)に、先輩技術者と2人で報告することになった。3カ月かけて準備をし、15回リハーサルをして報告会に臨んだ。ホンダでは若い方がプレゼンテーションをする決まりなので、筆者が話すことになった。ところが、である。
 
プレゼンが始まって数分。いきなり久米さんの顔つきが変わった。怒っている、いや激高している。しかし、なぜ怒っているのか分からない。何しろ、まだ報告はほとんど始まっていない。背景説明として、トヨタ自動車や日産自動車、米General Motors社、米Ford Motor社の取り組みの概要を説明し、「従ってホンダの戦略は…」と話しただけ。肝心のホンダの取り組みにまでたどり着いていないのだ。
 
久米さんの怒りが一向に収まらないので、足がガクガク震えた。しかし、延々と続いたので、じっと聞いていると、久米さんの話の内容が少しずつ理解できるようになってきた。
 
言いたいことはただ1つ。「他社の話なんて聞きたくない。それは相対的な話にすぎない。あんたは今、ホンダの安全の方向性を決めているんだ。そのときになぜ他社の顔色を見るのか。なぜ自分たちがこうなりたいと、絶対価値を言えないのか」ということだった。入社2年目の新米技術者に対して専務が気色ばんで真剣に怒ったのである。これが結局30分間続き、具体的な報告内容まで進めず、再報告になった。
 
相対価値ではなく「絶対価値の実現を目指す」と話すのは簡単だが、ここまで徹底的にこだわり、実際の行動に反映させないと、その意味を腹の底から理解したとはいえない。

先入観を持たずに独創的なことをやろうと思えば、あえて情報をシャットアウトして自分のアタマで考えろということなんでしょう。

でもそれだけじゃ「井の中の蛙」や「車輪の再発明」になってしまうので、答え合わせとしての彼我比較はやっぱり必要なんだと思います。