中古車市場が新車価格を下支えしている

昇る日産自動車、沈むガリバーインターナショナル そこに自動車業界共倒れの構図を見る|公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略|ダイヤモンド・オンライン

子どもがゲームソフトを購入するときは、大人が車を買うときよりも、もっと合理的な発想をしているようだ。「このゲームソフトを買ったら、中古ソフトとしていくらで売れるだろう」と考えている。小学生といえども、将来の売り値(公正価値)を考えて、いまの買い値(取得原価)が妥当かどうかを頭の中で計算しているのである。
 
これを車の購入に応用するならば、実質的な新車価格というのは、取得原価から公正価値を差し引いた金額(評価差額)に等しいことになる。つまり、新車価格(取得原価)というのは、中古車の公正価値の分だけ「下駄を履かせてもらっている」ことになる。
 
中古車市場や下取り価格制度などがない場合、自動車メーカーは「下駄の高さ」に相応した収益を削られる。自動車メーカーや下請け企業からすれば、実は「中古車市場さまさま」なのである。

北米市場なんかまさにそうです。
新車のインセンティブが多いと中古車価格も下がり、さらに新車のインセンティブを止めにくくなるという悪循環が働きます。
かつてのホンダや現在のスバルの状況はその逆ですね。

それにしても相変わらず自説の押し売りばかりで、無駄に長い記事ですね。 かいつまんで

12年6月下旬の日本経済新聞で、ニッサンやトヨタが国内生産能力を縮減するという記事(ニッサン15%減、トヨタ10%減)が掲載されていた。その北関東版では、自動車業界は「だが縮小均衡に向かうわけではない」というコメントが掲載されていた。
 
しかし、〔図表 1〕を見ると、リーマン・ショック後の収益ゾーン(約5兆円の幅)は、それ以前の収益ゾーン(約7兆円の幅)よりも縮小している。トヨタの収益ゾーンも、約18兆円から約8兆円へと縮小していることを、筆者の手許の資料で確認している。新聞で報道されているのとは裏腹に、自動車業界が「縮小均衡」に向かっているのは明らかだ。データは正直である。(中略)
 
リーマン・ショック前の基準固定費は4兆円前後で推移していたが、現在では3兆円前後にある。単純に解釈するならば、材料費や外注費といった変動費が増加していることを意味する。〔図表 1〕の「収益ゾーン」が縮小している要因の一つとして、ノックダウン生産方式(部品の外製化と組み立ての特化)へのシフトを指摘できるであろう。

モジュール化とサプライヤーパークの導入、輸入部品の増加で、内製比率は下がってきているでしょうね。

先ほど、新車市場は、中古車の公正価値や評価差額によって「下駄を履かせてもらっている」と書いた。ガリバーの業績が右下がりになっている点について、新車を扱う自動車メーカーは、中古車市場を「対岸の火事」とせず、自らの市場価値を支える存在として相応の注意を払うべきかもしれない。
 
もちろん、トヨタやニッサンが、国内生産能力を10%、15%と減らして海外へと脱出するのであれば、「対岸の火事」など気にする必要はないのだが。国内に取り残された中小下請けメーカーは、エコカー補助金終了に伴う新車販売不振に悩まされ、それに中古車市場の低迷が拍車をかけて、国内の自動車産業は共倒れになりそうな予感がする。

ガリバーってもはや古いタイプの中古車屋なんじゃないの? 中古車業界全体として不振なのかはよくわかりませんね。

筆者も、その人気車種に買い換えたいな、とは考えている。しかし、街中で数多くの同一車種を見かけると、たとえ「新古車」として安値販売されていたとしても、購入には二の足を踏む。
 
つまり、公正価値や埋没費用というのは、数値例だけでは説明できない面もあるということだ。拙著『[決定版]ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』438頁では、その一例として「愛」を取り上げている。損得抜きで、目をつぶって配偶者を選ぶ場合があるということだ。そのときに見えなかったものが、埋没費用になる。
 
そして数年後、「あのとき、もっとちゃんと見ておけばよかった」と後悔することを、機会損失という。第80回コラム(JT編)のときに紹介した通りである。
 
メーカーとしては、巨額の研究開発費を投入したのだから機会損失を発生させることは許されない。モジュール生産で一気呵成に市場を制覇する、という経営戦略を選択する必要があるのだろう。
 
配色を変えただけの同一車種が数多く通り過ぎるのを見るたびに、手堅く売れる商品は、手を変え品を変え「売り尽くせ」という印象を受ける。一度ヒットした映画のシリーズもの(パート2やパート3)を見る思いだ。

その結果、消費者としては安くて一定の品質のモノが購入できる訳です。