日産株が安値圏から抜け出せない理由とは

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日産株が安値圏、ゴーン社長「変心」が一因:日本経済新聞

日産自動車の株価が700円台前半の安値圏を抜け出せないでいる。年初からの値上がり率は約3%と自動車大手3社の中で最も小さい。主力の中国市場の減速懸念などに加え、市場では同社が投資家の増配期待に応えていないとの声が上がる。背景にはカルロス・ゴーン社長の心変わりがある。

これだけ絶好調なのに、なんで株価が上がらないのかな?

理由は配当のようです。

6月26日に開いた日産自の定時株主総会。「ネットキャッシュを業界平均まで増やさないといけない」。ゴーン社長はこう言明し、自社の売上高に対するネットキャッシュの比率が7%と、業界平均の12%を下回っている点を強調した。
 
ネットキャッシュとは手元資金から有利子負債を差し引いたもの。自動車各社は財務の健全性や安定性の物差しとして、販売金融を除いた本業のネットキャッシュを重視している。日産自はかねてネットキャッシュの積み上げ目標を5000億~6000億円に置いており、6198億円に達した前期末にクリアしたはずだった。
 
だが、総会での発言はゴーン社長がそれでは足りないと軌道修正したことを意味する。手元資金の積み上げが一段落すれば、日産自がより積極的な配当政策を打ち出すとみていた投資家は肩すかしを食った格好だ。(中略)
 
もっとも、ゴーン社長は単に配当を出し渋っているわけではない。手元資金をさらに増やすと表明した背景には、欧州販売の落ち込みなど経営環境の悪化への備えが必要との思いがあるとみられる。ある日産自幹部は「仏ルノーのトップを兼務するゴーン社長だからこその危機意識があるのではないか」と解説する。

もともと日産の手元資金が少なかったのは、配当として親会社のルノーに吸い上げられていたからじゃないの?

【グローバル投資】日産自動車に注目!利益額は業界トップ - 経済・マネー - ZAKZAK

好調な業績から、増配も期待できます。もともと、同社は資本が入っている仏ルノーの意向で、一株あたり40円もの高配を出していました。
 
しかし、金融危機で無配に転落。その後、業績回復に沿って、前期は10円に復配、今期は20円が予想されています。一株あたり利益がさらに伸びていけば、再び40円配当も目指せるでしょう。

もっとも、ルノーの業績悪化に備えなければならないのは理解できます。 プジョーのリストラは他人事ではありません。

ゴーン氏が知る欧州危機の「深刻度」  産業部次長 中山淳史 :日本経済新聞

恐らく、日本の企業で最も早く米金融界の変調をかぎ取り、動いた経営者はゴーン氏だった。危機から6カ月後に直接聞いた話では、日産はリーマン・ショックの半年前には北米での減産と雇用調整を進めていた。米メディアには「(減産やリストラは)日産特有の事情」と書かれたらしいが、ゴーン氏は米国での事業を縮小すべき「確実な情報があった」と、当時を振り返っていた。
 
もっとも、世界経済への打撃については、あれほど大きくなるとは想像していなかったようだ。自動車ローンを前提にクルマを売っている自動車メーカーは、数兆円の単位でお金の流れを常につくっておかないと事業を維持できない経営構造になっている。リーマン・ショックではそうした資金が世界中で一気に凍りつき、トヨタ自動車の販売金融子会社でさえ、コマーシャル・ペーパー(CP)が発行しにくくなって騒がれた。
 
日産も似たような状況に追い込まれ、ゴーン氏が主要国の政府、中央銀行首脳らと会い、企業の資金調達難を訴える場面があった。キャッシュ・イズ・キング(現金こそすべて)。ゴーン氏が当時、繰り返していた言葉で最も印象的だったのは、それだった。
 
今回、違いがあるとすれば、日産も新興国ではまだ積極的に投資している点だ。しかも、日産はルノーに代わって韓国のルノー子会社の再建にまで近く協力する。

日産九州と絡めて生産コストの削減に取り組むみたいですね。

日産車を韓国で生産: 国沢光宏

快進撃を続ける韓国勢ながら、全てのメーカーが好調と言うワケでもない。もっと正確に言えば、現代自動車と傘下の起亜自動 車だけ。大宇というメーカーは立ち行かなくなってGMに買収され『韓国GM』になり、サムスンもルノーに買収され『ルノーサムスン』というメーカーになった。当然のことながら日産も関係してます。
 
さてさて。好調な日産に対し欧州地盤でしか販売されていないルノーは(大昔にアメリカから撤退した)、欧州経済の混乱で絶不調になってしまった。かといってルノーが作るクルマときたら、デザインも商品力も徹底的に普遍性無い。韓国だって売れておらず。今まで何とか欧州に輸出してやりくりしてきた。
 
ここにきて工場稼働率もガックリ落ち、いかんともしがたい状態に。こうなると70%の資本を持っているルノーだって足を引っ張られてしまいます。日産とルノーの総合社長であるゴーンさんが「何とかしろ」という命令を下したことは想像に難くない。どうやら売れ行き好調な日産車を韓国で生産する方向になるようだ。

頑張れ、日産! ルノーのために。