シャープはどこで間違えたのか、栄光と挫折の10年――好調時の振る舞いがアダに【上】 (東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース BUSINESS(ヤフーニュースビジネス)
ほんの1年前まで優良企業と目されていたシャープ。なぜ崖っ縁に追い込まれたのか。
「2000年代はシャープにとって夢だった」。シャープ関係者の多くはそう振り返る。確かに、家電メーカーの中位だったシャープは00年以降、トップメーカーに躍り出た。
原動力となったのが液晶だ。
自分のように40代以上の人からすると、シャープは二流とは言わないまでも1.5流の家電メーカーというイメージが強かったです。
というか家電メーカーというよりも電卓メーカーか?
家電メーカーとしては、松下、東芝、日立、三菱あたりまでが一流メーカーで、次が三洋でその次くらいにシャープが来る感じかな? ソニーは音響機器メーカーであって、家電メーカーの範疇ではなかったです。
何が言いたいかというと、身の丈を超えるギャンブルは身を滅ぼすということです。
フリーキャッシュフローは、営業益が過去最高を更新した07年3月期もマイナスだった。純利益が拡大していた00年代前半も一貫して純資産比率が低下していることから、莫大な投資がシャープの財務体質を悪化させていたことがわかる。
結果論で非難するのは簡単だが、一方で、シャープの積極戦略がすべて間違いだったとは言い切れない。
液晶パネルは半導体と同様、最先端設備の導入で生産数量が大幅に増加すると同時に、生産コストは大きく下げられる。こうした産業で投資を躊躇すれば、たちまち競争から置いていかれる。「熾烈な競争に打ち勝つためには、競合に先んじた、果敢な投資が絶対に必要だった」とのシャープ幹部の言葉は真実だ。
確かにそうなんだけど、規模拡大競争から降りてIPを売って生きていく方向もあり得たのではないかしらん?
42インチ換算で年間1300万台もの生産能力を持つ堺工場新設を決断したのは、パネルという部材で世界一の夢を描いたからだ。安定需要家を確保するために、08年2月、シャープは液晶テレビ世界2位(当時)のソニーと手を組んだ。堺工場にシャープが66%、ソニーが34%を出資、出資比率に応じたパネルの引き取り義務を設けることで合意した。
液晶パネル事業のハイリスクは覚悟のうえ。ならば、リスクマネジメントが最重要となる。「強いパートナーがいなければ、巨大な堺の新工場はリスクが大きすぎる」(片山前社長)。ソニーとのパートナー戦略がそのカギとなるはずだった。(中略)
ソニーの元役員は振り返る。「06年以前にシャープと液晶事業の合弁交渉をしていた。当時、片山さんを訪ねると、『どこの誰だ?』といった偉そうな態度でげんなりした」。自社工場を持たなかったソニーに対し、交渉はシャープ優位で進み、嫌気の差したソニーはサムスンと合弁会社を設立した。だが、思うようにパネルを調達できず、08年に堺工場への出資を決断する。
しかし提携後もシャープはソニーを大事にしなかったようだ。堺が稼働した直後の09年秋、国内ではエコポイント制度導入で液晶テレビが売れに売れた。そんな中、シャープはアクオス用のパネル生産を優先し、納入遅延をたびたび起こした。当然、ソニーは態度を硬化。ソニーのパネル購入量は大きく増えることがないまま、現在はほとんど取引がない。(中略)
東芝などほかの有力顧客に対しても、液晶パネルの需給が逼迫していたとき、シャープは納入遅延を起こした。需給が緩和されると顧客の多くはシャープの元を去った。堺工場の外販は年を追うごとに減少。12年3月期の堺工場の外販比率は約1割しかない。「堺工場を作った時点で、シャープはアクオスを捨ててでもパネルの外販に集中すべきだった」と、業界関係者は一様に指摘する。
それだけテレビに対する執着が強かったということでしょう。
それにしても、まさに「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響あり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす 驕れる者久しからず」といった感があります。
特集ワイド:シャープの苦境なぜ ツケ、一気に噴出- 毎日jp(毎日新聞)
シャープの「テレビへの執念」には別の理由もある。そもそも1953年、国産第1号となるテレビを発売したのがシャープなのだ。だが、ブラウン管を自前で生産せず、他社からの供給に依存していたため、同等の性能でもソニー、松下電器(現パナソニック)、日立などより一段低い評価を受けることが多かった。4代目社長の町田勝彦・現相談役は08年の著書「オンリーワンは創意である」で、その「敗北感」をつづり、テレビ事業への思いをこう表現している。<テレビで一流にならなければ企業イメージはアップしない。「テレビを制するものは家電を制す」だと、強く教えられた>。「ある意味、会社全体に、自前のテレビで勝つことへの渇望があったのでしょう」と津村編集長は分析する。
今のシャープはルノーと提携する直前の日産のようです。
相当な荒療治をしなければ、三洋と同じ運命を辿ることになりそうです。
日立などが選択した戦略は、シンプルだ。弱い事業を縮小し、強さを持つ事業に集中した。
過去の経緯や大手電機メーカーとしての体面など、様々な雑音を無視して舵を切った。会社がこのままでは保たないという、かつて無い危機感が総合電機という巨体を動かした。(中略)
経営危機を無事に潜り抜けた会社は、必ず姿が変わる。シャープが直面する危機は、今の事業構造を温存したままで乗り越えられるほど甘くはない。
工場の統廃合や本社機能のスリム化といった小手先の改革で問題を先送りにすれば、再び危機は訪れる。しがらみを断ち、明確な方向性を打ち出して、迅速に改革を実行する。シャープ復活の成否は、そう遠くない時期に決まる。
いま目に見えている強みだけでなく潜在的な力も勘案して、今後の主力事業を定めないといけませんね。