人件費における中国の優位性が薄れてきた

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中国では、金融引締めが思うように緩められない状況で、国有企業は銀行から優先して融資を受けることができます。一方で、融資を得られずに倒産する中小企業が相次いでいます。銀行から融資を受けられる中小企業は、全体の1割しかないとも言われています。
 
こうした中小企業の資金繰り難を背景に、政府の規制が及ばない非合法な高利貸しが増加傾向にあります。不動産や株式市場に流入していた余剰マネーが、より高利回りを求めて、高利貸しの資金源として流入しました。驚くべきことに、個人の余剰マネーばかりでなく、国有企業の余剰資金や役人の賄賂を貯め込んだお金までもが、その運用先として非合法な高利貸しに投じられているのです。(中略)
 
すでに国民の不満は増大し、地方を中心に小規模なデモは頻繁に起こっています。政府はネットの規制などあらゆる手を使ってデモの拡大を抑え込もうとしているようですが、国民の7割が携帯電話を持つといわれる環境の下では、情報の統制などうまくいくはずがありません。
 
中国は今後数年のうちに、地方政府系投資会社の破綻やそれに伴う銀行の不良債権の増大、中小企業の大量倒産と雇用情勢の悪化、格差の拡大による政情不安など、これらの諸問題が一気に押し寄せる危険が迫っていると言えそうです。

日本でもバブル崩壊でヤミ金が流行って、中小企業の経営者が首をくくるという事件が多発した時代があります。

そういう経済状況で、賃金は上がり続けています。

中国が「世界の工場」として発展・成長を遂げてきた背景には、先進国と比べて圧倒的に安い人件費にありました。これは極端な例かもしれませんが、数年前までは、2~3年雇って人件費が少しでも上がったところで、その労働者を解雇して新たな労働者に切り替えるという経営者もいたといいます。13億の人口を抱える中国では、労働者を「使い捨て」できるほど、次から次へと安価な労働力が提供されてきました。(中略)
 
ここ数年、中国の工場労働者たちが賃上げを要求してデモやストライキをくり返し行うようになりました。経営側は労働者側の要求を受け入れ、大幅な賃上げを認めざるをえない状況となっています。したがって、熟練度が要求される分野においても、人件費における中国の優位性が薄れてきてしまっているのです。(中略)
 
今や中国の労働者の多くは、1980年以降に生まれた「一人っ子政策」の世代です。この世代は、幼い頃からすでに経済成長の真っただ中にあり、貧困や苦労をまったく知りません。おまけに、「小皇帝」や「小皇后」と呼ばれるほど甘やかされて育てられたため、差別や格差に敏感で非常に権利意識が強いのです。
 
だから、この世代の労働者たちがどこかの工場でデモやストライキを起こし、賃上げの成果を勝ち取ったとしたら、それはインターネットを通してあっという間に広がり、他の工場の労働者たちもすぐにデモやストライキを行い、賃上げを要求するようになるのです。こうして、中国各地で賃上げデモが次々と拡散していき、同じ工場で起こるデモやストライキの周期も短くなっていきます。この繰り返しが中国全土で起こっていて、労働者の賃金が加速度的に高くなっています。この傾向は、2010年に広東省から中国各地に広がった賃上げ要求デモ以降、顕著になっています。

そういう肥大した自尊心が、反日デモなどに向かうのでしょうね。

今後は輸出するために中国で生産する量は減り、国内需要を満たす分に生産量を合わせていくことになるかもしれません。
そうすると外貨を稼げなくなり、中国の体制を揺るがすような事態になる可能性もありますね。

それでも(リトルを除く)スーパーカブの生産が日本に戻ってくることはないでしょうけどね。