ホンダN-ONE G・Lパッケージ(FF/CVT)/N-ONE Premium Tourer(FF/CVT)【短評】
ハイパワーなターボエンジンの軽は今までにいくらでもあったが、どれもめいっぱい回転を上げて力を絞りだすタイプだった。速く走るためには加速のたびにアクセルペダルを底まで踏み込む必要があり、苦しげなエンジン音に慣れなければならなかった。
N-ONEは、まったく違う感覚である。アクセル開度を加減して加速の度合いを操作する余裕がある。実のところ、1.3リッター並みというフレーズは眉につばをつけて聞いていた。この種の言い回しを信用してがっかりした経験は山ほどある。でも、乗ってみたら誇張のない正直な看板だと納得した。
テストを担当したエンジニアに話を聞くと、開発段階で実際に指標としていたのが「フィット」なのだという。3000rpm以下でトルクの厚みを増すことにより、むやみに回転を上げることなく十分な加速を得ることができたのだ。それにCVTの制御を加えることによって、フィットのパワーの特性に近づけようとした。アクセルのオンオフを繰り返さなければならない軽の宿命から逃れて、大人っぽい走りを目指したのだ。
1.3Lのフィットは100PSのパワーがあるんですが、それと同等の動力性能を持たせるのが目標だったんですね。
確かにそんなふうにして開発された軽のターボ車は、いままでなかったかもしれません。