中流の貧困化が始まっている

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中流が消える:日経ビジネスオンライン

老後資金が十分に貯められず「非常に不安」――。山崎さんのような「老後難民」予備軍が現役世代の約4割を占めることが、「日経マネー」の老後資金1600人アンケートで明らかになった。老後難民予備軍の平均年齢は46歳、平均年収は554万円。自ら用意する老後資金の目標額は2700万円ほどだったが、実際にはせいぜい1600万円ほどしか貯められそうにない。約4割の人は月々の家計は赤字で、今の仕事を失う不安を感じている。
 
老後難民予備軍の大半は、ごく平均的なサラリーマン。老後の資金が「見込み違い」となる最大の要因は、中年期を迎えての思わぬ「収入減」だ。(中略)
 
なかでも中高年の家計は大きな打撃を受けている。90年代後半から、年功型賃金を支えきれなくなった企業は、中高年社員の給与を引き下げ始めた。定期昇給の見直しや、成果主義の導入などによるものだ。厚生労働省の労働白書をみると、1990年のバブル絶頂期からリーマン・ショックの2008年にかけて、中高年の給料は25%超下がっている。

就職難民や年金が期待できない若者からすれば、贅沢な悩みに聞こえるかもしれませんね。

でも中間層の可処分所得が減ることで内需が減少し、回りまわって若者の仕事も減るんですよね。

「男性不況」――。第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣さんは、90年代後半以降の男性社員の給料ダウンを、こう表現する。男性比率の高かった製造業・建設業はいま急速に雇用を減らしている。2011年までの9年間でこの2つの業界で約350万人の雇用が失われたが、その6割を男性が占める。一方、雇用を伸ばすのは医療・福祉分野。女性中心で給与水準が低めの産業である。国内で仕事を失う男性社員。男性の給与水準の低下には、こうした構造的な変化があるという。給料が上がりにくいなかで、食糧やエネルギーといった生活必需品の価格はじわじわと上がっていく。「中間層の貧困化が静かに進んでいる」(永濱さん)。
 
雇用制度に詳しいリクルートキャリアのフェロー、海老原嗣生さんもまた、「中高年の収入ダウンをみると、中流の崩壊が始まっていることが見て取れる」と言う。給与引き下げはここ5年ほど加速しており、今後さらに動きが強まると予測する。2013年4月以降の「60歳以降の継続雇用」義務化により、総人件費が膨らむ。これを中高年社員の給料引き下げで調整するというのだ。
 
収入が減る、老後資金造りの思惑が狂う。ふと気づいたときには「老後難民」予備軍に――。その背景には、こんな構造変化があったのだ。

んで自己防衛のために家計の消費を抑えるので、ますます国内景気は冷え込むという悪循環ですね。

そうなると、老後資金はいくらあればいいんでしょうか。

寿命が延びたいま、夫婦二人で「1億円」と考えたい。総務省の家計調査に基づき、60歳から平均寿命までの基本生活費を積み上げると約7200万円。これに介護や医療、自宅の改修費など年100万円ほどの余裕資金を足すと、約1億円となる。ただし、全額自力で用意する必要はない。このうち6割強は、公的年金と退職金で賄うことができる。では残りをいかに自力で用意するか。日経マネー編集部では60歳までにおよそ「3000万円」の老後資金を自ら用意することを提案したい。
 
とはいえ、冒頭に登場した老後難民予備軍たちは、公的年金に自力で上乗せできる額は1000万円未満、せいぜい2000万円弱。打つ手はないのか。
 
やはり、老後の収支を改善する最大の源は「稼ぎ力」だ。永濱さんは、男性不況を生き抜くには「共働きを続ける、あるいは男性も女性中心のサービス産業に参入する」ことを勧める。またリクルートキャリアの海老原さんは、中高年のポスト不足のなかでは「管理職にならなくても、現場でしっかり実務を続ければ60歳以降も職場に居場所を確保できる」と説く。

やはり死ぬまで働けということですかね。