「サムスンからパネルを調達したくない」。そんなアップルの意をくんで後釜に座ろうとしたのがiPhoneやiPadの組み立てでアップルと付き合いの深い台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業だった。鴻海は2010年に台湾液晶大手の奇美電子を傘下に収め、液晶事業に進出した。
しかし奇美のパネルはアップルのお眼鏡にはかなわなかった。「アップルが食指を動かすパネル技術は、台湾にはない」。そう判断した鴻海の郭台銘会長は日本に照準を合わせた。
最初に狙ったのはシャープではなく日立。10年秋にはパネル事業の切り離しを模索していた日立に接近し、パネル子会社、日立ディスプレイズを傘下に収める方向で交渉を進めた。アップルは重要なパネル戦略を鴻海任せにせず、自らも動いた。アップルが目を付けたのはシャープだ。
高精細で省エネ性能に優れた新型液晶パネルの「IGZO(イグゾー)」やタッチセンサー機能を内蔵した「インセル」型。先端技術に魅せられたアップルはシャープが亀山工場をテレビ向けの大型パネルからスマホ・タブレット向けの中小型パネル工場に衣替えする際に投じた1千億円の過半を拠出したとされる。
なるほどねー。 唐突に感じた鴻海とシャープの提携ですが、そういう経緯があったのですね。
それにしてもシャープはなぜ「計画通りに製品を供給する」という最も基本的なオペレーションさえまともにできないほど、体力が劣化してしまったんでしょうか?
だがこのときアップルは一抹の不安を感じたはずだ。シャープは確かに先端技術を持っているが、アップルが求める量とコストでパネルを供給するだけの体力がない。本当にこの会社を軸にパネル調達を考えていいものか。同じ頃、鴻海と日立の交渉が決裂する。日立は日本の政府系ファンドが2千億円を出資するJDに加わる決断をしたのだ。日立という選択肢を失った鴻海は矛先をシャープに向けた。
アップルの懸念は現実のものとなった。12年3月に発売した新型iPadではシャープのIGZOを採用したが、半年近く納期が遅れた。亀山工場でインセル型液晶の量産が始まったのは、アップルがiPhone5の発売を発表した9月12日だった。
「シャープだけに任せるのは危ない」。2度の苦い経験からそう考えるようになったアップルにとってシャープと鴻海の提携は願ったりかなったり。シャープが開発したピカピカの先端パネルを、体力のある鴻海が安く量産する。そのパネルがあればグーグル・サムスンをねじ伏せられる。
もちろんシャープの苦境は自ら招いたものなのですが、アップル・鴻海とグーグル・サムソンの戦いに巻き込まれて、さらに混乱してしまっているようです。
でもこのままでは時間だけが過ぎていって、タイムアップになってしまいそうですが、大丈夫なんでしょうかね?