景気後退? いえ既に回復が始まっています:日経ビジネスオンライン
嶋中:米国では劇的なことが起きています。失業率が急速に低下しているのです。失業保険の新規申請件数が減少すると、9カ月くらいの時間差を置いて失業率が改善する傾向があり、まさにこれに沿った動きになっています。
米連邦準備理事会(FRB)は12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2%のインフレ率を前提に、失業率が6.5%程度になるまで事実上のゼロ金利政策を続けることを決めました。6.5%は2013年にも視野に入ってくる可能性があります。そうなると、逆に金融引き締めが早まるとの観測で長期金利が上がる可能性が出てきます。これはドル高を引き起こす要因になります。
--日本企業は円高で苦しんできました。円安・ドル高傾向は定着するのでしょうか。
嶋中:円高で電機産業が大きな打撃を受けました。特に韓国のウォンが安くなり、太刀打ちできないところまで追い込まれてしまいました。基本的に円高を放置した民主党政権の不作為があったと言わざるを得ません。それと同時に、日銀の金融政策も円高に対応する方向に向いていなかった。円高是正の観点を持っていなかったのです。
大胆な金融緩和を公約に掲げた安倍晋三・自民党総裁が政権を担えば、日銀も金融政策をしっかりやることになるでしょう。米国経済も堅調に推移すれば円安・ドル高になり、ようやく日本経済にも恵みの雨が注がれることになります。円相場は2013年末にかけて1ドル=92円程度までは想定していますが、場合によってはもっと円安が進むかもしれません。
「時すでに遅し」かもしれませんけどね。
そもそもなんで経済がパッとしない日本で、こんなに円高が続いたんでしょうか?
2008年9月を100として各国のマネタリーベースの伸びを見ると、日本は今年11月時点で142.1。これに対して米国は290.4、ユーロ圏は186.2です。外国人投資家はこういう数字を見ているのです。リーマンショック後にほとんどの先進国の中央銀行がバランスシートを大幅に拡大してマネタリーベースを増やしたのに、日銀は初動が遅れた。日本は金融危機ではないからマネーを増やさなくてもいいというスタンスだったんですね。
その結果が急激な円高です。金融危機ではない日本が立派だと受け止めて円を買った人もいるかもしれませんが、日銀が他の中銀に比べてマネーを出していないから通貨が上がる。そこを狙って市場参加者が円を買ったのに過ぎないのです。為替市場は要するに美人投票なのです。
円高が日本企業の競争力を著しく落とし、日本経済の停滞を招いた。そしてデフレが加速してしまったのです。ハーバード大学のジョルゲンソン教授も円の過大評価が日本経済の落ち込みの最大の要因であると指摘しています。円高を是正しないといけませんが市場介入は難しい。それなら金融緩和をするのは当たり前の話なのです。
遅きに失したという感じも受けますが、日銀の金融政策は思い切った転換をしなければいけません。
この辺りは、高橋洋一と同じ意見のようです。
FRBの議長は実体経済全体についてどうあるべきかと考えているのに対し、日銀総裁は中央銀行としての自らの狭い役割の中でしか考えていないんじゃないかという気がします。
だから過度な円高をこれだけ放置してしまったんでしょう。
ところで、一部には早くも円安警戒の声もあります。
自民・石破氏「極端な円安よくない、適度な相場ある」:日本経済新聞
自民党の石破茂幹事長は20日朝のテレビ朝日番組で、外国為替市場での円相場の動きについて「確かにいままで円が高すぎた。(足元で円高が)是正傾向にあるのはいいことだが、極端に円安に振れることは本当にいいかというと、それはそうではない」との認識を示した。
理由として「日本の産業構造からいって外需で稼ぐ(割合)というのは(ドイツや韓国など)他の国に比べ低い」と述べた。「円安は確かに輸出産業には恩恵だろうが、適度な為替相場がある」と説明。「適度な為替水準を保っていくことが大事なことだ」と強調した。
石破氏は「極端な円安」について指摘している点も強調し「注意してものは言っているつもり」とも語った。
じゃあその「適度な為替水準」というのは、1ドル何円から何円までなんでしょうね?
現在の84円/$というのは「円高」なのかな? それとも「円安」?
口先介入があまりに効果的だったので、円が暴落するんじゃないかと不安になったんでしょう。
日本自動車工業会の豊田章男会長は12月20日の定例会見で、円相場が対米ドルやユーロで弱含みとなっていることについて、「今の水準は円高が是正されてきたということであり、円安という表現にはまだ遠い」と評価した。
やっぱり90円台が適正で、100円台なら円安、80円台なら円高というのが座りがいいのでは?