円安は4-6月期の企業収益の押し上げにも寄与:日経ビジネスオンライン
「Jカーブ効果」とは、どのような現象のことを指すのだろうか。
まず、円安になれば、外貨建ての輸出価格は不変でも、円換算した輸出額は増加するため、当初、輸出金額は増える。また、輸入品の円建て価格が上昇するため、一時的に輸入金額は増加する。我が国の輸出の外貨建て契約比率は約6割であるのに対し、輸入は約8割である。このため、輸出価格よりも輸入価格の上昇幅が大きくなる。
一方、円安になると、円建て取引額を維持しつつ、外貨建て契約価格をある程度切り下げて価格競争力を上げ、現地での販売数量の増加につなげることができる(輸出数量の増加)。また、円安により輸入品の価格が上昇すると、競合する国内産品の価格競争力が増すため、徐々に輸入品は国内品に代替されるようになる(輸入数量の減少)(図2)。
当初は数量が変化せず、価格の変化が起きるので、これによる輸入金額の増加が輸出金額の増加を上回り、むしろ円安は貿易赤字を拡大させる。このように、為替レートが変動した時に、短期的に予想される方向とは逆の現象が起こることを「Jカーブ効果」と呼ぶ。時間の経過に伴う貿易収支の推移をグラフに表すと、いったん下がってから上がり、グラフ上に描かれる曲線がJの字を描くことから「Jカーブ」呼ばれる(図3)。
日本人は現状を改善しようとチャレンジする人の足を引っ張るのが好きですが、そのくせ対案は出さないことが多いです。
個人的には「アベノミクス」と呼ばれている政策が成功するかは50:50だと思っています。 でも、民主党政権のようにデフレ・円高を放置していたら、もっと酷いことになっていったでしょう。
「輸入品の価格が上がる=物価が上がる」というのはデメリットですが、それで国内産品の価格競争力が上がるなら、産業的にはプラスになるのかもしれません(燃料や飼料価格も上昇するので、一概には言えませんが)。
内閣府では、2012年11月の水準で円ドルレートを一定とした場合の貿易収支をベースラインとし、2012年12月から2013年3月まで実際の為替水準(11月の水準から14円、約15%の円安)を与え、4月以降は3月の水準で一定とした場合の貿易収支をインパクトケース(円安効果が発現したケース)として、その差から最近の円安の貿易収支への影響を試算している。
それによると、当初、鉱物性燃料などの円建ての輸入価格が上昇し、貿易収支の赤字幅拡大に寄与するが、価格競争力向上により、徐々に輸出数量が増加し、逆に国内での輸入数量が減る(収支にはプラス)ことによって、2013年4月には反転し、8月には貿易収支の赤字幅縮小に寄与するという(図4)。(中略)
以上が従来のJカーブ効果の議論であるが、近年では企業のグローバル展開が進み、企業が海外から得られる収益の源泉は、輸出だけでなく、海外子会社からの受取配当金などの投資収益が相対的に大きくなっている。
最近の経常収支の動きを見ると、2013年1-3月期の貿易収支赤字幅は拡大している一方、所得収支の黒字幅が拡大していることから、経常収支の黒字幅は貿易赤字ほどに悪化しておらず、上記の想定通りの動きとなっている。
円高で海外法人から日本への送金(配当)を控えていた企業が、送金を増額する可能性もありますし、為替のプラス分も含めると所得収支は増えるのでしょう。