2500年前、孔子という魯の国に生まれた思想家がいた。孔子は大変な実務家であったので、「処世術」に掛けて彼の右に出るものはいない。
その彼が次のような言葉を残している。"道同じからざれば、相為(あいため)に謀(はか)らず。"
現代文の意味は、「そもそも、価値観が違えば、話し合うのはムダだよ」という意味だ。
「聞き上手」かどうかはこれを理解しているかどうかに尽きる。
初めから「ムダ」と切り捨ててしまうのもどうかと思うけどな。 価値観が違ってもお互いに相手を尊重できれば、話し合いから何か生まれるかもしれないし。
ただ「相手を尊重できれば」というところが難しいんだけどね。
人から聞く物事には必ず、「事実」とセットで「判断」が添えられる。
事実⇒判断
「今日、こんなことがあった」⇒「だから私はこう思う」
「今、こういう状況だ」⇒「私はこうしたい」
そして、「判断」の部分については価値観が異なれば、話は平行線、もしくは論争となる。だから、「聞き上手」は、判断の部分について、私情を挟まない。
小手先のテクニックでなく、「相手の価値観を尊重する」、「自分と考え方の違う人を認める」ことだ。
「だから私はこう思う」についての判断を保留し、一旦自分で咀嚼する。そして、相手の価値観に合った発言ができれば発言し、そうでなければ相槌を打つにとどめる。
これが「聞き上手」の人々が行っている行動だ。
ある種の「諦めの境地」ですかね。
お互いにその方が平和かもしれません。