「増税派駆逐」の解散がクライマックスだったハラハラなき総選挙のわずかな見どころは? (現代ビジネス) - Yahoo!ニュース BUSINESS
では、ドラマはまったくなかったかといえば、実はあった。マスコミがしっかり伝えないから、多くの国民の目に見えなかっただけだ。11月14日付けコラムや21日付けコラムで書いたように、安倍首相は増税を目指した財務省とその応援団の与野党議員、ポチ・マスコミを解散によってなぎ倒してしまった。
だから、私は今回の解散を「増税派なぎ倒し解散」と名付けている(東京新聞12月1日付け「私説」)。もしも解散を言わずに増税先送りだけを言っていたら、最終的に政権が倒れていた可能性もあった。安倍首相が解散を宣言するかどうかが、天下分け目の勝負どころだったのだ。
解散なしだったら、与野党とマスコミが一体となった増税派の大抵抗に遭って結局、安倍首相は先送り撤回=増税に追い込まれただろう。その結果、首相の求心力は低下、景気は崖から転落状態になって内閣支持率は急降下したに違いない。
いまになっても、まだ「与野党そろって増税先送りに賛成なのだから、先送りで解散をする意味はなかった」などという解説が流れているが、まったく事実を歪めている。
前にも取り上げましたが、財務省を中心とする増税派と上げ潮派政権の戦いという構図なんで、庶民からしたらよく分からない総選挙に見えてしまうのでしょうね。
なんで解散が必要だったかというと、
安倍首相が解散を宣言する前は、自民党内は増税派が勢いを増し、民主党も増税賛成、マスコミも東京新聞を除いて、みんな賛成論を唱えていたではないか。私に言わせれば「寝ぼけたことを言うな」という話である。首相が解散を宣言したから、増税派は飛び上がって驚いて「先送りやむなし」と方針転換したのだ。
首相からみれば「解散宣言だけで最大の獲得目標だった増税先送りを確実にした」のだから「戦う前から完勝」である。その後のアベノミクスをめぐる選挙戦は、いわば碁や将棋でいう「感想戦」のようなものではないか。
戦っているプロ同士から見れば「あそこで解散を打たれたら、もう野党が打ち返すタマはない」と分かってしまうのである。
「景気悪くても増税する」と言って選挙を戦うバカはいないですからね。 あの野田元首相ですら、解散後は「延期やむなし」とか言ってるくらいですから。
で、選挙の後のことですが、
まず、民主党の行く末である。いまの海江田万里体制は続かないだろう。民主党は海江田代表の下で結局、何も変わらなかった。歌っているのは、2013年参院選とまったく同じ歌だ。同じ歌手が2回も同じ歌を歌って拍手をもらえなかったら、歌手は交代せざるをえない。
民主党は次の新しいスターを擁立できるか。できるとは思えない。だから民主党は結局、分裂に向かう。これが1点だ。
維新の党も立て直しが急務である。まだ選挙戦の最中だが、多くの人は橋下徹共同代表が出馬しなかったから勝てなかった、と言うだろう。だが、私はむしろ橋下が今回、勝負しなかったからこそ、チャンスが残っているとみる。橋下は負けたわけではない。勝負しなかっただけだ。そこを見るべきだ。勝負の機会はまだ先にもある。
民主党は純化が中途半端で止まってて、党内の意見集約が出来てないのが一番の問題です。 選挙前に駆け込みで民主党入りした人たちも、選挙が終わったら当選しようがしまいがまた離れているのではないかな?
橋本の賞味期限はとっくに切れているけれど、負け戦(自分は当選しても党としては負ける)で勝負しなかったところが勝負師の嗅覚かもしれないね。
ただ、次の勝負のタイミングが来るまで、ジリ貧の党勢を立て直せるかは疑問です。