新型アルト、新プラットフォームで60kg軽量化 最軽量で610kg

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【スズキ アルト 新型発表】燃費トップ奪還…新プラットフォームなどで60kg軽量化 | レスポンス

スズキが12月22日発売した新型『アルト』は、先代モデルに比べて60kgの軽量化を実現。これにより前輪駆動、手動変速仕様車の重量は610kgと、現在販売されている4人乗り軽自動車で最軽量を達成している。
 
スズキの本田治副社長は「約60kgにおよぶ軽量化はボディを中心に全域で行い、その中心になったのが新開発のプラットフォーム」と明かす。
 
新プラットフォームは滑らかな形状にすることで補強部品を減らし、板厚も薄くするとともに骨格部を連続化することで十分なボディ剛性を確保しているのが特徴で、先代に比べて曲げ剛性、ねじり剛性とも約30%向上しているという。
 
本田副社長は「新型アルトを最初として、このプラットフォームを展開していく。軽量化は燃費の経済性はもちろんだが、剛性の向上もあいまって軽快な走りなどお客様が運転された時のうれしさにもつなげていく」との方針も示した。

完全新設計の「ミラ・イース」(最軽量で730kgで35.2km/L)に、既存を手直しした「アルト・エコ」(710kgで35km/L)で戦ってきたスズキが満を持して出した新型「アルト」。
デザインは「昔のスズキ」らしさ全開で、好き嫌いは別としてアリだと思います。 特に真横からのシルエットはとてもいいですね。 後ろから見ると初代ホンダZの水中メガネに見えますが。

軽はエンジンなどパワートレインの重量は似たようなものでしょうから、車重の違いは主にボディー・艤装によるものです。 610kgという数値もすごいですが、実際のフロア写真を見ると「ここまでシンプルにしないと達成できないのね」と感心してしまいます。
これでスモールオーバーラップ対応ボディだと凄いんだけどね。

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新設計のプラットフォームは室内空間の拡大にも貢献している。スズキの軽では最長の2400mmというホイールベースをもち、室内長はクラストップとなる。

これは大嘘で 2,400mmというのは「アルト・エコ」のW/Bで、新型アルトは2,460mmです。 ワゴンRのW/Bは2,425mm、ダイハツ新型ムーブが2,455mmですからそれよりは長いですね。

ちなみに3年前に発売されたN BOXのW/Bは2,520mmですから図抜けてます。 トーボードを前に出すにはエンジンも同時に刷新しなけばならないので、当時「ライバルは当分追いつけない」と開発者が言っていたのも頷けます。 N BOX以前のライフは2,420mmでした。
昨年発売された三菱自・日産のEKワゴンは2,430mmでしかありません。 N BOXから2年遅れで、全くの新プラットホームを設計するチャンスだったのに、攻めた設計をしていないのがよく分かります。 残念ですね。

そもそもダイハツがタントで始めたのですが、最近の軽は設計が厳しいスーパーハイトワゴンのFMCでプラットホームを刷新することが多いです。 ホンダもN BOXからスタートさせましたしね。
ただそれだと軽量化が難しいということで、ダイハツは「ミラ・イース」でとことん軽量・シンプルなプラットホームを開発しました。 スズキも今回同じ手法を取りました。

でもタントやスペーシアのようなスーパーハイトワゴンだと900kg以上の車重になります。 300kg以上の重量増の大半が車体によるもので、しかも重心高が上がる訳ですから、新型「アルト」同じプラットホームを展開するといっても実際には別物に近いフロアになるでしょうね(RRスライドドアだし)。

燃費で差をつけられたダイハツですが、次期「ミラ・イース」を「アルト」のCVTモデルと同じ650kgまで軽量化できれば、37km/L以上の燃費性能は達成可能でしょう。 FF・CVTで最安76万円から(新型アルトのCVTは89万円から)という価格競争力も健在です。
低コストに軽量化するのは大変ですが、スズキが実際にやってるのだから出来ない理由はないです。 全バラして部品同士で彼我比較すれば一目瞭然。 ターゲットが明確なのであとはやる気です。

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それにしても「アルト」では40kg軽い5MT仕様(27.2km/L)よりCVT仕様(37km/L)の方が燃費がいいというのが面白いですね。 停止前アイドルストップなどの技が使えなくなるからかしらん? JC08モードの軽自動車の重量区分は最軽量が601kg~740kgなので、その中だと重量の差が出ないのかもしれません。 「CVT仕様で600kg以下」を実現出来たら、とんでもない低燃費になるでしょうね。

今のところこの分野は2大巨頭のガチンコ対決ですが、ホンダなど第三勢力の参戦はあるのでしょうか? インドや東南アジアなど進展国でのエコカー技術にも繋がる技ですので、頑張って頂きたいところです。