マツダの販売なぜ急上昇しない?(12月22日) | 自動車評論家 国沢光宏
ちなみに2010年の11月までの販売台数みると、マツダは16万7千台。それが良いクルマをズラリと揃えたクルマになった2014年11月の販売累計15万4千台です。トヨタもホンダも同じような推移。この間スバルは7万4千台から11万6千台に伸びている。アイサイト効果ですね。
マツダの2010年の数字は十分に伸びる余地を残していたと思う。クルマの仕上がりからすれば大幅増になって当然であります。まぁマツダも理由は解ってるでしょう。マツダの人に聞くと「累積赤字を一掃してから」と言うけれど、そろそろ「夢」を見せて欲しいと思う。
「モータースポーツをやらないからだ」と言いたいのかもしれませんが、そんなのは関係ないと思いますけどね。
新型デミオは「10月26日時点で累計受注台数が19,233台」というプレスリリースがあったので、もう2ヶ月経ちますから5万台くらい受注されててもおかしくないですね。
1~11月までのデミオの販売台数は41,145台です。 9月までが26,153台ですから、10月、11月の2ヶ月間で14,992台売った計算です。 今月でようやく初期受注を吐ききる感じでしょうか?
ちなみにマツダの登録車全体では暦年(1-11月)累計で 140,470台で前年比で97.3%です。 4月からの消費税率アップで業界全体が低迷しているとはいえ、登録車のマーケットが前年比101.7%なので弱いのは確かですね。 年度累計(4-11月)だと126,499台(前年比86.9%)で計画の23万台に届くか微妙な感じです。
デミオ以外の機種の暦年累計を見てみると、
アテンザ 10,845台( 51.0%)
プレマシー 11,068台( 66.0%)
ビアンテ 5,401台( 67.8%)
CX-5 27,781台( 77.9%)
アクセラ 40,752台(272.1%)
となっています(括弧内は前年比)。 マツダの国内販売はアクセラが支えていたというのがよく分かりますが、そのアクセラも11月単月では2,067台で前年比 57.1% です。
もちろん発売一周年で前年比でマイナスになるのは当然なのですが、ラインナップ間の共喰いの影響も大きいのではと思います。
CX-5とアテンザは競合しなかったのですが、アクセラが出たことでCX-5とアテンザの販売が影響を受けたのは確かでしょう。 でもアクセラのディーゼルは高めの値付けにしたのでまだマシでした。
でもデミオはアクセラとかなり被るので、アクセラの販売が急落するのは避けられません。 さらに今後CX-3が発売されれば、CX-5とデミオも影響を受けるでしょう。
アテンザとCX-5をMMCでテコ入れしたように、マツダもその辺りは分かっていると思いますが、上級車とコンパクトカーで質感を同じにすれば、モデルミックスが低価格の方向に引っ張られるのは必然です。
基本的なデザインテーマやイメージカラーを共通化して、消費者に強いイメージを刷り込むことに成功したマツダのPR戦略ですが、良い面もあれば悪い面もあります。
でも一時的にバカ売れするよりは、こうやって新機種が出る度にバトンタッチしながら企業体力やブランド力を付けていくのは悪くないと思いますけどね。 「山高ければ谷深し」です。
ところで11月のデミオは8,890台売れたんですが、PET/DIEの販売比率は
PET 2,640(29.7%)
DIE 6,250(70.3%)
となっています。 CX-5より低いのは価格に敏感なコンパクトカーだからかな?