エクストレイルで日産がハイブリッドに本気:日経ビジネスオンライン
このように構造のシンプルな日産のハイブリッドシステムだが、だからといって実現が簡単だったわけではない。当初フーガハイブリッドを開発した時に大きな問題になったのは、エンジンとモーターをクラッチでつなぐ時の衝撃が大きいことだった。これは当たり前の話で、回っているモーターと、止まっているエンジンをいきなりクラッチでつなげば、大きな衝撃が発生するに決まっている。
そこで日産は、このショックを吸収するための手法として、モーターを利用することにした。クラッチをつなぐ瞬間に、モーターの出力をエンジン始動に必要なだけ上げるという制御を加えたのである。計算上は、エンジンをつないだ瞬間に、モーターにかかる負荷の増加分だけモーターの出力を上げれば、クラッチをつないだショックは吸収できるはずだ。
理屈ではそうなのだが、実際にはクラッチの製造上のばらつきや、モーターの制御の遅れ・ばらつきなど、ちょっとした条件のずれで、吸収すべき衝撃は変動する。こうした変動があってもそれを打ち消すことができる制御を開発するため、日産のエンジニアはかなり苦労したようだ。
なるほどね。
実際にどうかというと、
さて、今回も前置きが長くなったが、エクストレイルハイブリッドで走り出してみよう。まず気付くのが、エンジン始動のスムーズさだ。日産の1モーター式は、先ほどから説明しているように、制御をうまくやらなければ、エンジン始動のショックが伝わりやすい構造なのだが、実際には、いつエンジンがかかったのか、注意していなければ気づかないほどだ。エンジン始動の振動や騒音の抑えこみは、方式は異なるものの同じ1モーター式を採用するホンダのシステムよりもうまいと感じる。ホンダのシステムでは、エンジンが始動すると、振動・騒音が明確に伝わってくるからだ。ホンダが1モーター式のハイブリッドシステムを搭載するのは「フィット」を中心とするBセグメントの車種なので、一回り大きいCセグメント車のエクストレイルと同列で比較するのは酷かもしれないが、エクストレイルでは、エンジン音そのものが低く抑えられているのもエンジンの始動が気にならない1つの要因だろう。
ということで、ショックについては日産の勝ちですね。
では肝心の燃費はどうでしょう?
期待以上だったシステムの動作のスムーズさだが、残念ながら期待ほどではなかったのが燃費の伸びだ。今回借りたモデルは4輪駆動仕様だったのだが、横浜・みなとみらい周辺で、だいたい高速道路半分、一般道半分を40kmほど走った平均燃費は、燃費計の読みで13.7km/Lだった。これはe燃費(6月16日現在)の14.1km/Lとほぼ同じで、ガソリンエンジン仕様のエクストレイル(4輪駆動仕様)のe燃費が11.64km/Lなのに対して、約18%の向上(e燃費の値同士の比較では21%の向上)にとどまった。だいたい2割の向上と思っていいだろう。
これについては他の試乗記でもだいたい同じような評価ですね。
日産エクストレイル ハイブリッド これでトヨタ、ホンダに勝てるのか? - 【小沢コージの勝手なる提言】正直、総合力勝負のハイブリッドSUV 日経トレンディネット
だが、実際に街中を走ってみると、これまた少々拍子抜けだ。特に最初の試乗当日は渋滞しまくりで横浜市内しか走れなかったところ、なんとメーター計測実燃費は11.0km/L。ガソリン車より多少は 良さそうだが、ハイブリッドとしては大したことない。
しかし、後日別に借り出し、流れる街中を時速60km前後で走ってみたところ、最初の20kmで12.1km/Lを記録。さらに週末、いつものように大田区ー大宮間を約90km往復したところ、最初の40kmは主に首都高を使って17.4km/L! 往復は途中撮影でゆっくり走ったこともあって、90km走って16.9km/Lとかなり良好な数字を残した。
この調子だと高速一定走行で、街中を含めなければ18km/L台も夢ではなさそう。確かに日産式1モーターハイブリッドは、高速燃費が自慢なのだ。それは2クラッチ方式からくる自由自在のエンジン切り離し技術にあり、高速でもアクセルをオフにすればすぐにエンジンを止めて、完全にモーター単独のEV走行になり、効率的に走れるところが功を奏していると思われる。(中略)
だが、率直に言わせていただくとハイブリッド最大の売りは燃費性能。今の日本全体のハイブリッドカテゴリーを考えると、高速燃費17km/Lはすごいが、街中で10km/L台はそれほど魅力的には感じなかった。
トヨタ勢をはじめ、ホンダ勢もそろった今、単に燃費が良くて、リーズナブルなハイブリッド車として考えると圧倒的とは言えない。
HVの方式的に燃費では勝てないのが分かってるから、エンジンもアトキンソンサイクルじゃないし。 富士重のHVと同じ方向性なんでしょうね。