興味深いデータがある。実はVW社とトヨタ、世界を見渡すと「真っ向からシェア争いをしている市場はない」(IHS Automotive日本・韓国ビークル・セールス・フォーキャストマネージャーの川野義昭氏)のである(図2)。世界最大市場の中国ではVW社がシェア16%を持つのに対してトヨタは5%。一方の北米市場ではトヨタが14%でVW社はわずか5%といった具合だ。
だが、均衡はまもなく崩れる。例えば中国では、トヨタは2017年末に中国・広州に工場を新設し、生産能力を高める計画を発表した。ついに、自動車業界の2強が正面から激突することになりそうだ。中国はVW社にとって最重要市場である。間もなく、地域別の販売台数でおひざ元の欧州を抜くと見られている(図3)。一方のトヨタは、各地域をバランスよく成長させながら、中国市場で攻勢をかける考えである。
日産もそうですが、リスクを取って中国を伸ばした決断は、今までは賭けに勝ってきましたね。
でも永遠に賭けに勝ち続けられる人はいないよね。
しかし、このお家騒動が収まってもまだ解決すべき問題は残っている。Piëch氏が発した警告が決して間違っていはいないからだ。北米市場における販売台数は富士重工業にも劣る。北米市場の戦略車である中型SUVの開発は遅れに遅れ、2016年にようやく生産が立ち上がる。
北米以上に、VW社にとって最も大きい案件は中国だ。VWグループの世界販売台数のうち、2020年には依存度は50%に達するといわれる。もし中国の自動車市場が20%減となったら、ドイツにおける8000人の従業員の職が危うくなるという試算もなされている。
ドイツ産業界としてはギリシャよりも中国のバブル崩壊の方が気が気じゃないでしょうね。