筆者は今、2005年に首相の座を追われたゲアハルト・シュレーダーのことを思い出している。彼は、2003年に労働市場と社会保障制度を大きく改革するためのプログラム「アゲンダ2010」を断行した。シュレーダーは、長期失業者のための給付金を生活保護と同じ水準に引き下げることによって、労働コストの伸びに歯止めをかけることに成功した。そして企業収益を拡大し価格競争力を強化することによって、2010年以降、就業者数を劇的に増やすことができた。
だが2003年から2年間にわたって、ドイツ全土で「アゲンダ2010」に対する抗議運動が吹き荒れた。彼が率いるSPDは、州議会選挙で連敗。SPDの地方支部には、シュレーダーに対して「有権者の評判が悪くなるから、応援演説に来ないでくれ」と言う者もあった。シュレーダーは2005年の連邦議会選挙でも敗北し、首相だけでなく議員も辞職して政界を去った。
おー。 これって「成長するにはまず実質賃金を下げることが必要」という説と一致していますね。