商品化に至らなかったのは「死の谷」よりも企画の甘さ

商品化に至らなかったEVベンチャーが見た死の谷:日経ビジネスオンライン

清水浩・慶應義塾大学名誉教授、e-Gle社長(以下、清水氏):クルマは、自動車会社じゃないと作れないというのは、必ずしも当たっていません。自動車会社にいた人が集まれば作れます。
 
私は2009年9月に設立したシムドライブで、大手自動車メーカーや、電機メーカーをリタイヤした人たちと若い連中の混成チームで開発に取り組んでいました。コンセプトがはっきりしていて、自動車メーカーや電機メーカーにいた人が集まれば、きっちりしたクルマを開発することはできます。これは私の経験上、明確に言えることです。

はっきり言って清水浩氏がやってきたことは、日本のEV普及に対して「百害あって一利なし」だったのではないかと思います。

そりゃ、テレビや雑誌は「日本のEVベンチャーの旗手!」とかいって持て囃したし、わざわざ勤めていた会社を辞めてまで清水氏の会社に参加した人も多いのだろうけど、冷静にみればどう考えても事業化できる(実際にEVが売れて事業として成り立つ)とは思えないようなEVばかりだったもの。

経営論で言えば、私は試作車を作ってナンバーまで取ったし、「魔の川」は渡りきりました。ですが、「死の谷」は越えられなかったのです。
 
どういうことかと言うと、アイデアを試作品に作り上げるまでが「魔の川」で、その試作品から製品に仕上げるのが「死の谷」です。製品化というのは、信頼性・耐久性・安全性の証明が必須です。ここが、EVにおける「死の谷」なんですね。
 
「死の谷」は一見すると分からない。だから試作品と「死の谷」を渡った後のクルマは、見た目は同じに見えるでしょう。けれども、商品になるのは信頼性、耐久性、安全性を証明できたものだけなのです。

そんなことは当たり前の話でね。 やる前から分かりきったことで、失敗した理由にはなりません。

モーター駆動は手段の一つでしかないのにEV自体が目的になってしまって、クルマを買う人のニーズを考えてないから売れそうなクルマにはならない。
その点、テスラはロータスの車体をEV化するところから始めて、高級車セダン、SUV、コンパクトカーと徐々に商品の幅を広げてきた。 清水氏のやり方は全然お話にもならないね。

清水氏:新しいモーターやインバーター、リチウムイオン電池の開発のほか、インドでEVを開発したいという企業家から声がかかっています。昨年12月には我々のEVをインドで展示しました。
 
私は、EVを開発してきた人生が今ここで終わってしまうか、終わらないかの瀬戸際のような状況にいるんです。再び、EVを開発したいですね。

早く引退された方が「世のため人のため」だと思います。