沈黙の Wave125i(前編)

6/27(月)の朝、出勤するために Wave125iで自宅出て 200mほど走った辺りで、エンジンが停まった。

前日に給油しているので、ガソリン残量は十分ある。 セルも回るのだが爆発しない。
埒が明かないので、坂道を惰性で下って帰宅する。 急いで Wave110iを引っ張り出して再出発。 この間のロスタイムは6分間程度。 職場での打刻は予定通りに出来た。

幸運だったのは幹線道路に下りるまえに故障が発生したこと。 自宅から数km離れたところで立ち往生したら、その日は有休にせざるを得なかっただろう。
もともと通勤は Wave110iで行っていたが、前週の木曜日に左ミラーブラケットが割れたので 125iと入れ替えていた。
Wave110iのミラーブラケットが割れなければ 125iに乗るのは次のキャンプツーリングのタイミングになったハズだ。
遠く離れた場所でエンジンが停まるなんてことにならなかったのは本当に幸運だった。


先週は 110iのハンドルバー交換作業を優先したので、今週末は Wave125iの故障原因を調査する。
エンジン故障を 2回起こした Wave110iと比べて、ウインカースイッチ不良くらいしか故障がなかった Wave125iだったが、今回は結構重症ではないか?という気がしている。

まずは現状把握からいこう。 IG-Onでメーターパネルの中の FI警告灯は数秒点灯して消える。 これは正常な動作だ。
もし FI-ECUに異常があれば、FI警告灯が点滅して知らせてくれる。

ちなみに IG-On時の「ミーーーン」という音は、シート下の燃料ポンプのインペラ(羽根)が回転する音だ。
FIのインジェクターまで燃料を圧送して、ある程度の燃圧になったところで停止する。

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シートごとメットインのボックスを外して作業を開始。

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FI-ECUは燃料タンクの右前方にある。 とりあえずコレが故障しているわけではなさそうだ。

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メットインボックスの前方にある赤いカプラが FI-ECUの診断に使用するサービスチェックカプラーだ。

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今回の調査のために用意した機器。

右端がサービスコネクター。 Honda純正だと 070PZ-ZY30100という品番になるが、モノは同じでキタコの方が安い。

左端は4Pサービスチェックカプラーから OBD DLCに変換するケーブル。 単なる変換ケーブルなのにこの値段は高く感じる。

真ん中は OBDを WiFiに飛ばすための I/F。 スマホにアプリを入れて、この I/Fの WiFiにアクセスすれば、スマホが OBDスキャンツールの代わりになるのだ。
安いスキャンツールは 5千円以下で買えるが、この I/Fは 2千円くらいで買えるので割安感がある。

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割高といえばサービスコネクターだって割高なのだが、自作しようとしたら面倒だし、千円くらいなら払ってもいいかなと思う。

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4Pサービスチェックカプラーはダミーのキャップが被されているので取り外す。

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IG-Off状態でサービスコネクターを被せる。

サービスコネクターを被せた状態で IG-Onする。 故障診断コード(DTC)が FI-ECUに記録されていれば、FI警告灯が点滅する。
今回はFI警告灯が点きっぱなしになった。 これは DTCが記録されていないことを意味する。

DTCの読み取り方はこのビデオを参考にするといいだろう。 読み取った DTCの内容はサービスマニュアルに記載されている。

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異常がないということだが、念のために FI-ECUのリセットを行う。
水冷エンジンの場合は、水温センサのカプラにサービスコネクター付属のジャンパ線を挿して IG-Onすることで FI-ECUをリセットできるらしい。

SP武川が公開している『FIコン TYPE-X 取扱説明書』によると、空冷エンジンの場合はサービスコネクターを挿した状態で、スロットル全開に IG-Onする。
撮影しながらだと難しいが、スロットアシストを付けているので、腰をスロットルに押し当てて全開状態にした。

IG-Onして FI警告灯が点いたあと、早い点滅になるので 5秒以内にスロットルを放す(全閉にする)。
ECUリセットが成功すれば、FI警告灯がゆっくりした点滅になる。
リセットは完了したが、残念ながら症状に変わりはなくエンジンは始動しなかった。

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念のため燃料タンクからポンプを引き出してみた。

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インペラを回すモーターの動作音もしているので、燃料はちゃんと送り出されているハズだ。
フィルター(16707-KZV-T01)は新品状態ではサーモンピンクだが、ガソリンに添加されている着色料によって活性炭みたいな色になっている。

このフィルターは GROMにも使われているので国内でも買える。 でも高いから次のタイミングで個人輸入しよう。

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ECUにも燃料にも問題ないなら点火系か? でもセルは回るしヒューズも切れていない。 点火系に問題が起きる確率は低いように思えるが...

プラグを外してみたが、電極の異常摩耗は見受けられない。
外したプラグをプラグキャップにセットして、シリンダーヘッドにアースさせながらセルを回すと火花が飛ばない!?
新しいイリジウムプラグを出してきてやってみてもやっぱり火花は見えない。
やっぱり厄介なことになったなあ。

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ここで OBDツールを試してみることに。

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スマホに入れるアプリは、I/Fの取説で推奨されている Torque Liteをインストール。
取説にも書いてあるが、Torque LiteはデフォルトI/Fが Bluetoothになっているので、設定を WiFiに変える必要がある。

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4Pサービスチェックカプラーに I/Fをセットして、スマホのWiFiを「WiFi_OBDII」に接続し、Torque Liteを起動する。

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プロトコルサーチが始まるが、いつまでたっても終わらない。 これは 15M Wave125iが OBDに対応していないからだ。
というわけでOBDに関しては無駄になってしまったが、いつか役に立つこともあるだろう。

どうやら点火系が怪しいと分かったところで今週はここまで。
果たして7月3連休のキャンプは Wave125iで行けるのか? それとも Wave110iで行くことになるのか?