APS-Cに近いセンサーでコンパクトな「PowerShot G1 X」

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インタビュー:キヤノンに訊く「PowerShot G1 X」の進化 - デジカメWatch

――すばりライバル機は?
 
石井:APS-Cサイズクラスのセンサーを持ったレンズ一体型のカメラは意識しています。ただそういったカメラは単焦点レンズの機種が多いのにたいしてPowerShot G1 Xは4倍のズームレンズを搭載した上でこのサイズを実現しています。ですから、単焦点レンズの機種よりもかなり使い勝手は良いのではないかと考えています。
 
宇田川:このサイズのセンサーを積みながらズームレンズ一体型でこの大きさという意味では、いまは直接のライバルはいないといえますね。
 
強いて言えばAPS-Cセンサーを使用しているミラーレス機ということになりますが、それにズームレンズを付けたときの大きさがどれくらいになるのかということを考えるとPowerShot G1 Xのボディサイズというのは大きなメリットだと考えています。

確かに A16 24-85mm F3.5-5.5と比べると、レンズのコンパクトさが際立っていますね。

ところで1.5型ってどれくらいの大きさなんだっけ?

――キヤノンで初めてとなる1.5型のセンサーを搭載しましたが、なぜこのサイズになったのでしょうか?
 
石井:EOSで使われているAPS-Cセンサーをコンパクトなボディに納めようという想いがありました。イメージとしては、APS-Cサイズ(3:2)の両端を切り落として4:3にしたものを採用しています。(中略)
 
――なぜ3:2にせずに4:3を採用したのでしょうか?
 
石井:コンパクトデジタルカメラとして4:3のセンサーは我々としても経験値が高いということがあります。また同じようなセンサーサイズとピクセルピッチで作った場合に、4:3の方がレンズの大きさの面で効率がよくボディ全体の小型化にも貢献するためです。

そうそう。 GXR MOUNT A12も、センサーとしては3:2なんですよね。 P10では4:3で使っていて慣れてもいるのですが、MOUNT A12では3:2で撮るようにしています。

ちなみにNIKON 1の1型センサーが、フォーサーズとほぼ同じくらいでしたね。

――今回センサーの対角長は従来比約2.5倍になりましたが、レンズの直径は約1.4倍に抑えています。
 
猿渡:今回は、大きなセンサーを使うけれどもレンズの大きさは従来のPowerShot Gシリーズと大きく差が出ないようにするという目標がありました。そのために、従来機では使用していなかったような大きな非球面レンズや高屈折率のレンズを使用することによって、主に厚み方向の大きさを抑えています。
 
加熱した硝材をプレスするモールド非球面レンズは、大きいほど成形の難易度が上がります。レンズが小さいほど熱の回りが良く均一に冷えるのですが、大きいとそうはいかないからです。今回大きなハードルの1つでしたが、生産技術面のサポートもあってクリアできました。
 
それからレンズ鏡胴にはモーターなどの部材が入りますので、それらをどうやって小さく収めるかも腐心しました。これは一例ですが、レンズエレメントの一部を切り落とすことでスペースを作るといった工夫をしています。絞りの近傍はレンズが丸くなければなりませんが、絞りから離れているレンズは一部を切り落としても問題ありません。

なるほど。 苦労しているんだね。
GXRの場合は、コンパクトさが重要なら(センサーサイズは小さくなりますが)S10やP10もあるということで、A16ではサイズのプライオリティが低かったのだろうと思います。
その分、画質は素晴らしいですね。 ヨドバシGR BLOGまわりぶろぐさんの作例をご覧下さい。

さてここから結構厳しいツッコミが続きます。

――今回のレンズは28-112mm相当(35mm判換算)でF2.8-5.8ですが、なぜこのズームレンジに決まったのですか?
 
猿渡:センサーサイズが大きくなると光学系も大きくなりますので、そのバランスということになります。ズーム倍率だけではなく、F値も含めてユーザーに一番フィットしたサイズになるように仕様を決めていきました。
 
――例えば広角端を24mm相当にすることは難しいのでしょうか?
 
和田:それですと、どうしてもレンズが大きくなってしまいます。今回は焦点距離、F値、サイズの関係と使いやすさという点で現在の仕様に決めています。
 
――では、ズーム全域でF4固定にした場合もレンズは大きくなってしまいますか?
 
猿渡:そうなります。設計上は実現不可能なことではありませんが、今回目標としたPowerShot Gシリーズとしての大きさに納めることは難しくなります。
 
――最短撮影距離が広角端で20cm、望遠端で85cmと従来機より長くなってしまいました。もう少し短くできませんでしたか?
 
猿渡:一眼レフカメラを見るとわかるとおり、センサーサイズが大きくなりますとコンパクト機に比べて最短撮影距離が長くなる傾向にあります。それなりの仕組みを入れれば最短撮影距離を短くすることは可能ですが、どうしても機構的に複雑になってしまいます。今回は機動性とのバランスを重視した結果、そうした機構の搭載を見送ることにしました。(中略)
 
――従来はレンズバリア式でしたが、今回はキャップ式になっています。レンズバリアの搭載は難しかったのでしょうか?
 
和田:バリア式にするとどうしても大きくなってしまいます。最後までバリア式の機構を入れるか悩んだのですが、最終的にサイズを優先しました。

A16は広角端が 24mmからスタートですから、そこはアドバンテージと言えますね。 最短撮影距離は25cmですが、確か望遠端でも同じと聞いたことがあります。
自動開閉式レンズキャップLC-3が使えるのもアドバンテージです。 

という訳でG1 Xにかこつけて、A16 24-85mm F3.5-5.5マンセーな記事になってしまいましたが、1台で完結するという点でG1 Xは高いレベルに凝縮された1台ですね。 今後キャノンがミラーレスを出すとしても、身内の強力なライバルになることでしょう。
ちなみに自分はまた貯金してA16を買おうと思っています。