藤本健のソーラーリポート:なぜ8万円で太陽光発電システムが導入できるのか? 「DMMソーラー」の秘密に迫る-家電Watch
――その按分のところがDMMソーラーのポイントだと思うのですが、基本的なモデルをもう一度確認させてください。DMMソーラーでは、パネルを設置した家庭で作った電気を、ユーザーを2割、DMMが8割がシェアするということになっています。これは、電力会社に売電した金額を2:8に按分するということですか?
いいえ、売電量ではなく、発電量をシェアします。たとえば、100kWhを発電する家庭では、そのうち30kWhを使おうが、100kWhすべてを使おうが、とにかく100kWhを元に計算します。
実は発表当初は、発電量を7:3で按分し、その単価を42円にするとしていました。しかしこの場合だと、お客様が30%を超えて電気を使った場合、本来、電力会社から購入するよりも高い42円という単価で、当社が請求することになり、リスクが発生してしまいます。
そこで、単価はあくまでもお客様が電力会社と契約している電気の購入単価に設定するようにし、比率を2:8という設定に変更させていただきました。これによって、従来より多くの電気代を請求されるということはなくなったわけです。
――なるほど、これであれば太陽光発電システムを設置していても、設置していなくても電気代そのものに違いはなくなるはずですね。その上で2割だけとはいえ、電気を得られると
そのため、お客様にとってリスクがないうえに、発電した20%分はユーザーメリットとして残る。それを8万円で提供するわけなので、平均的には3年半で(投資額の8万円は)ほぼ回収でき、それ以降は利益になるはずです。
また契約は10年となっており、11年目以降はシステムはユーザーのものとなるので、ご自由にお使いください、と。シンプルでカジュアルに、エネルギーに携わってもらえるという基本理念に合致するだろうと考えています。
「屋根貸し」みたいなものですね。 例えば高齢者など、今の家には10年程度しか住まないだろうという人でも、導入しやすいと言えます。
最近の太陽光パネルは、普及品でも20年は使えそうなので、耐久性は大丈夫でしょう。 むしろDMMソーラーが10年やっていけるのかどうかが心配です。
ウマい話には裏があることが多いですが、本当におトクなんでしょうか?
――とはいえ、8割分についてはDMM側から毎月請求が来るとなると、価格が一定でないローンを払っているような感じにもなりそうですが
いいえ、実際には多くの場合で、当社からお客様へお金をお支払いする形になるだろうと考えています。
――え? それはどうしてですか?
売電による収益の振込先は当社の口座になるためです。電力会社との契約自体はお客様個人となるのですが、売電金額の振込み先は、契約者が指定する口座にすることになっています。できるだけ昼間、電力を使わないようにして売電していけば、多くの収入が生まれるので、そこから80%分を差し引いても、お釣りが出るという計算になります。
とはいえ、売電金額が少なかった場合には、お客様にその分の請求が行く形にはなりますが。
これなら「節電しよう」というインセンティブが働くことになりますね。
でもやっぱり心配なのは、設置後に按分比率や電気の買取金額などを一方的に変更されないかどうかです。
――よく訪問販売などでは、まともに日が当たらないのに強引に売ってしまったり、ひどいと北面の屋根に設置するという詐欺のようなケースがあると聞きます
DMMソーラーでは、実際にお金を出すのは我々ですから、そこは慎重に審査します。間違っても北面に設置するようなことはありえませんね(笑)。お客様にデメリットなことは、我々にとってはもっとデメリットになるわけですから。
このようなシミュレーションをした上で、設置できるそうであれば、お客様と連絡をした上で、現地調査をさせていただきます。やはり図面だけではわからないこともありますから、現地にいって、より正確な数値を出し、本当によく発電できるのかをチェックするわけです。その上で、ようやく契約ということになります。結局、申し込んでから設置まで1カ月半程度を要する形にはなります。
――屋根の大きさなどによって、設置するパネルの大きさ、容量も変わってくるわけですよね?
そのとおりです。やはり大きい屋根のほうがより有利になり、その分、合格の可能性も上がるわけです。(中略)
――気になるのは、先ほどおっしゃっていた合否判定における合格率がどのくらいなのか、ということなのですが
これまでのところは約3割です。逆に言うと、いままでいかに多くの販売業者が無理やり売っていたか、ということではないでしょうか? だから、いろいろなトラブルやクレームが出ていた。無理なものは無理という必要があるだろうと思うのです。
手元資金はないけれど今すぐ取り付けたい、という人には良いシステムかな?
実際に設置するかどうかは別として、調査依頼をしてみるのも面白いかもしれませんね。