時刻は13:31。 予定よりずいぶん遅くなってしまった。 五所川原に向けて出発する。

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竜飛岬から見ていたときに、「あんなところに道路があるなぁ」と思ったのだが、それが龍飛から小泊へと至る「龍泊ライン」だった。

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13:39 振り返って竜飛岬を望む。 小泊方向から走ってきて竜飛岬が見えたなら、テンション上がるだろう。

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この「龍泊ライン」。 最高点は標高500m程度なのだが、上りもくだりもかなりの急坂で、まさに龍の背中に乗っているかのよう。 特に小泊側の下りは強烈だった。 エンジンブレーキを掛けながら急激に下る。

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13:57 道の駅 こどまりの前には海水浴場があって賑わっていた。 折腰内オートキャンプ場にもテントがたくさん並んでいる。

クルマが多くなってきたので淡々と走るが、だんだんと眠くなってきた。
14:04 小泊を過ぎたところにサークルKがあったので、早めにリポDを補給する。 今回のツーリングでは初日以外は余裕のある行程だったが、今日はちょっと大変なことになりそうだ。

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14:20 県道12号との分岐点で、前を行く2台のバイクが県道へ逸れて行った。 鰺ヶ沢へ向かうなら、こちらが最短コースなのだが、自分はそのままR339を進む。

14:48 野営地候補に考えたこともある芦野公園オートキャンプ場を通過。 

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なぜR339で下ってきたかというと、金木の斜陽館を見るためだ。
といっても時間はない。 14:51 向かいの銀行の駐車場から撮影したらすぐに出発する。
津島家は「金木の殿様」と呼ばれていたらしく、今でも周囲には津島姓の病院なんかがある。

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当初のプランでは、前日に竜飛岬と八甲田丸を見学して、本日は岩木山をぐるっと廻ってR101を南下、男鹿半島にて野営する予定だった。
行程が大幅に変更になってしまった訳だが、ワーストケースでも14時には五所川原を通過できるだろうと考えていたのだが甘かった。 すでに1時間以上遅れている。

岩木山に雲が掛かっている。 朝の予報通りなら、夜から秋田県境の白神山地あたりは雨になるはずだ。 夜半過ぎには青森県全域が雨になるとも言っていた。 秋田県に入って、どこまで南下出来るかが勝負だ。


15:10 五所川原市街でR101に入る。 岩木川を渡ってつがる市に入ると、ひどい渋滞だった。 道路工事中らしく、路肩に工事用バリケードが立っているので、すり抜けもできない。 

15:15 ナビで確認したら、左側に併行して県道154号が走っている。 そちらに回ろうと脇道に入ったら、そこはまだ建設中でひどい凸凹の砂利道だった。

ゆっくりと慎重に走ればよかったのだが、気が急いてたのでムリにスピードを上げてしまった。 とうとう振動に耐え切れず、バッグが落下してしまった。


こういうトラブルは後でネタになるので、ちゃんと現場写真を撮っておけばよかったのだが、「しまった!」という恥の意識が強くてそれどころではなかった。

慌ててバッグを拾い集める。 幸いホコリで白っぽくなっただけで、バッグ自体や内容物に損傷はなかった。 後続車や対向車がいなかったのが幸いだった。

ゴムバンドの張力が強くなるように調節して走りだす。 15:26 2kmほど迂回して、再びR101に戻った。


15:52 ようやく鰺ヶ沢で海沿いに出る。 長かった! ツーリングマップルにも載っているが、この辺りはいか焼きで有名で、店の駐車場に出入りするクルマでちょっとした渋滞になっていた。

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16:20 さすがに疲れて道の駅 ふかうらで休憩する。 せっかくだから、いか焼きでも喰っていこう。

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結構ボリュームがある。 焼きたてではなかったが、肉厚で柔らかくて美味しかった。

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道の駅の裏側はすぐ海だ。 あまり綺麗な海岸ではないけれど、海水浴に来ている子供がたくさんいた。 道の駅にはシャワールームもある。

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テントを張っている人達も。 クルマで来ているなら、風雨が強くなっても避難できるだろう。


そろそろ自分も今夜の野営地を決定しなければならない。 このペースで行くならば能代までは行けるか。
それでも日没になってしまうだろう。 管理人がいそうな有料キャンプ場はやめておこう。 それに海辺のキャンプ場は避けたい。

はちの巣」で調べると、能代にきみまち阪キャンプ場というところがあるらしい。 変わった名前だが、ツーリングマップルにも載っている。 ナビにセットして行ってみることにした。

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前方には海に落ち込む白神山地が横たわっている。 あれを海沿いに迂回するわけだ。
ここからはただひたすらに走る。 こういうときはペースメーカーが必要だ。 乱暴な追い越しをする秋田ナンバーのヴェルファイアに引っ張ってもらう。
十二湖にも寄りたかったが、断腸の思いでスルー。

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17:34 秋田県に入る。 ここまで来たら能代はもうすぐだ。

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18:02 米代川にかかる能代大橋を渡る。 ギリギリだが日没前だ。

R7は鼠ヶ関から日本海側をずっと北上してくるが、能代で90度向きを変えて内陸側へ進む。 R101はそのR7に直角にぶつかる。
18:06 ナビにしたがって左折するが、キャンプ場までまだ20分以上掛かるようだ。 能代市内だから遠くないと思っていたのだが、誤算だった。

嫌な予感がしたので引き返そうかと思ったが、例によってキャンプ場を求めて彷徨う事態になるのは避けたい。 とにかく行ってみることにした。

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18:36 道の駅 ふたついの前の交差点に到着。 向かいにヘルスセンターというのがあったらしいのだが、既に潰れてしまったのか見当たらない。

県道322号に入り、きみまち阪公園の方へ来たものの、入り口がわからなくてそのまま橋を渡ってきてしまった。 左手の山の上にあるはずなんだが。

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時刻は18:40 ここの河原でもキャンプ出来そうだが、人目につくのはやはり気になる。
スマホで確認すると、トンネルを出てすぐのところに登り口があったようだ。 入口を見つけて上がってみる。 

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少し登ったところで、駐車場に案内板があった。 どうやらキャンプ場は頂上にあるようだ。

再び登り始めると、砂利ぎみのダートになった。 しかも結構な急坂だ。
すっかり日が落ちて薄暗くなった中、深いわだちに注意しながら2速で延々と登る。 重いキャンプ道具を積んで、健気に悪路を登るWaveが頼もしい。 伊達にアジアの未舗装路で揉まれたバイクではない。


18:50 なんとか頂上までたどり着いたが、まったく整備されていないようで、草は伸び放題で照明などはない。 炊事場もあるが使う気になれない(飲料禁止の張り紙も)。
何より蚊がすごい。 「熊出没注意」とか書いてあるし、こんなところではとてもじゃないが野営などできない。
18:59 帰ろうとしたら、追い打ちをかけるように雨まで落ちてきた。 

2速でエンブレを効かせながら砂利道を降りていくが、それでもどんどん加速していく。 わだちの中には深い窪みもあるので、ハンドルで回避する。 フロントサスが底突きして跳ねると、ガードレールのない崖から転落してしまうだろう。

なんとか降り切って、19:05 R7に復帰。 能代市街へと戻る。 幸い、山を降りたら雨は降っていなかったが、いずれまた降りだしてくるだろう。

とりあえず今は何か「文明的」なものに浸って落ち着きたい。 19:26 マックが見えたのでここで晩飯にする。


ところで「きみまち阪」とはどういう意味なのか?

きみまち阪 - Wikipedia

地理
 
もともとは米代川の川岸にまで迫る険しい山で、「郭公坂」「馬上坂」「畜生坂」などと呼ばれ、羽州街道でも「徒歩道無し」として水上を正規の道に指定されるなど最大の難所とされていた。この距離は1km程度であるものの、1里(約4km)に匹敵する難儀な道と言われ、下流側の荷上場村と上流側の小繋村の間で行われた船渡しは「一里の渡し」と呼ばれた。渡し賃を払えなかったり増水していたりで船渡しを利用できない場合、藤琴川を徒歩で渡り絶壁をよじ登って越えなければならなかった。あるいは荷上場村から藤琴川を北上し、大沢村を通って大沢川を遡り、二の又村から峠を越え、田子ヶ沢村から綴子川を下り綴子村に到る、かなり遠回りの間道を通らなければいけなかった。弘前藩主の津軽氏が参勤交代で江戸まで移動する際にも、この間道を利用したことがある。また、藩主がこの地を無事に通り過ぎたことを伝えるだけのために弘前まで使者が遣わされたという。(中略)
 
歴史
 
1881年(明治14年)の明治天皇の東北巡幸のため、前年の1880年(明治13年)に山の先端を切り通して緩やかな坂道が作られた。翌年には藤琴川に橋が架けられ、明治天皇が渡り初めをした。巡幸の際に皇后は「大宮の うちにありても あつき日を いかなる山か 君はこゆらむ」という歌をしたためた手紙を出し、ここで天皇の到着を待ったと言い伝えられている。翌1882年(明治15年)、宮内省を通じて正式に「徯后阪」と明治天皇より命名された。

まあ、確かに難儀な道でしたよ。


ひと心地ついたところで、再び野営地を探す。 土地勘がないので気づかなかったが、思ったより八郎潟が近いことに気づく。
野営地候補になったこともある南の池記念公園キャンプ場に行ってみよう。 19:56 出発する。


20:02 R101との交差点を通過。 2時間をロスしたことになる。
ここからきみまち阪公園までは21.5km、南の池記念公園までは23.8kmでほとんど変わらない。 「たら・れば」だが、まっすぐ南の池記念公園に行っていれば、今頃は設営が終わって風呂にでも入っているだろう。 焦りは判断を誤らせる。

走りだすと雨がだんだんと降ってきたが、構わず走り続ける。
20:12 R7と別れR101へ。 さらにそのまま県道42号へと進み、八郎潟の中へ。 小学生の頃、教科書で習った八郎潟に来たんだな。 しかし暗いな。


先に入浴施設を確認してみる。 ツーリングマップルによると、大潟村温泉保養センターというのがあるらしい。
ナビで指定された場所に来たのだが、Google Mapsの地図が大雑把すぎてよくわからない。 街灯がなくて周囲は暗いし、どちらが正面なんだ?
サンルーラル大潟という立派なホテルがあるが、これじゃないよね?

だんだん腹が立ってきた。 とにかくキャンプ場へ行こう。 コンビニも無さそうだし、道の駅 おおがたの自販機で水とお茶を買って南の池記念公園に行く。


ここでもまた迷ったものの、20:40 に公園に到着。 誰もいないかと思ったら、結構利用者がいるようで驚く。
雨は断続的にパラついてくるので、タイミングを見計らってテントの設営を行う。

幸運にもあまり濡れずになんとかテントに潜り込む。 蒸し暑くて、しばらく畳んだクーラーバッグを団扇がわりに扇いでいた。 だいぶ汗をかいたが、面倒なので風呂はもういいや。

黒霧島をストレートでひと口飲んでは、チェイサーとして水を飲む。 こんな蒸し暑いときは、ビールより焼酎の方がいい。
大畑のローソンで買ったつまみが1つ残っていた。 缶詰もあればよかったが、腹は減ってないので問題ない。

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ラジオを聴きながら眠り込んでしまったようだ。 夜中に何度か雨の音で目が覚める。 雨雲レーダーで確認すると、白神山地の辺りは雨がひどい。 天気予報は当たったようだ。

そういえば友人Hからのメールが途絶えている。 どうしているだろう?

本日の走行距離 392.5km
Google Earth用KMZファイル(酸ヶ湯~八郎潟) → 20120815.kmz


5日目へ続く。