日本の家電メーカーに欠けているもの

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パナソニック津賀一宏社長「今は普通の会社でない状態」 :経営トーク :企業 :マーケット :日本経済新聞

――2期連続で巨額赤字になったのは企業体質に問題があるのではないか。
 
「3カ月前と大きく異なる赤字になったが、決して何かを隠したり嘘をついたりしたわけではない。無形資産やのれん代は将来の収益見通しに対する回収可能性を見ていた。前期は東日本大震災やタイ洪水など明確な原因があったが、今期はあまり明確な原因がないのに売上高が伸びない。それは当社が売上高ではなく、収益優先に転換したからだ。価格が下落したコモディティー(汎用品)の世界では売上高を追求すると収益をより悪化させる。方針転換した結果、売上高が伸ばせないという姿が見えたのであれば、ここで減損しなければならない」(中略)
 
――春に再参入した欧州の携帯事業は撤退し、太陽電池は年内にマレーシアで新工場が稼働するのに投資は凍結する。経営判断がちぐはぐなのでは。(中略)
 
「しかし、蓋を開けると日本のスマホは固有のスペックになる。相乗効果が見えない中で欧州の利益が非常に厳しい。こういう事態がみえてきたのであれば、ちぐはくといわれようと撤退になる。仮説が間違っていたと判明した段階で即座に手を打つという当たり前のことをやっているだけだ。ちぐはぐにみえるかもしれないが、きちんとマネジメントしているつもりだ」

単に行き当たりばったりに判断しているようにしか見えませんけど。

今年、我が家ではエアコンと冷蔵庫という比較的高額な家電製品を買い換えましたが、いずれもパナソニック製でした。

PC用のディスプレイとかスマホでは韓国メーカーの製品を買ったりしますが、やっぱり主要な家電製品では国産メーカーのものがいいです。 技術力はあるんですから。
いずれテレビを買い換えるときでも、まず間違いなくソニーの液晶を買うでしょう。

だからソニーやパナソニックだけでなく、シャープにも頑張ってほしいんですが、2期連続の大赤字となると先行き不安ですね。


パナソニックの大赤字は、三洋買収ののれん代減損が原因とのことですが、今年の2月には大坪前社長はこんなことを言っています。

パナソニック大坪社長、三洋とのシナジー効果「性急に求めるべきではない」 | レスポンス (ビジネス、企業動向のニュース)

パナソニックの大坪文雄社長は3日の2012年3月期第3四半期決算会見で、三洋電機買収のシナジー効果について聞かれ、「いま、性急に求めるべきではない」と憮然とした表情で答えた。
 
同社は12年3月期の当期純損が従来予想の4200億円から7800億円に拡大する。その大きな要因となったのが、09年に買収した三洋電機の“のれん代”で、その減損処理として新たに2500億円の損失を計上することになった。大坪社長によれば、新たな船出がうまく進むように、今回の決算で課題をすべて出したためだという。
 
「三洋電機を買収したことによって、2018年に向けて環境革新企業、あるいは丸ごと提案型企業になろうとしている。もし三洋を買収しなかったら、今のような経営環境のなかで、パナソニックとして大きな成長分野を見いだすことができたでしょうか。私はそうは思わない。三洋を買収することによって、太陽電池や車載用の電池などパナソニックにない技術を手にすることができた。したがって、三洋の買収はわれわれの将来に対する方向を明示するという意味においてきわめて有効だった」
 
大坪社長は今回の減損を見て、シナジーとか、ディスシナジーだというのは時期尚早で、「これからの歩みを見て判断していただきたい」と訴えていた。

で、やっぱりディスシナジーという結論になるんでしょうね。


日本の家電メーカーの苦境は構造的なもので、重電などブルーオーシャンを持たないところは大変なのだとは思います。

でも3社に共通する要因として、創業の志、ポリシーを忘れたり捨て去ったりしたことによる迷走も、業績不振の根にあるんじゃないかと思うんですよね。 もはや「自分たちが何者であるか」すら忘れてしまっているんじゃないでしょうか?

昔の日産がまさにそんな感じでしたね。 没落の直接的な原因は全く違いますが、本来は優秀な社員の集まりなのに、なぜか力を発揮できないという。

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マツダとかスバルをみてごらんよ。 本来なら生き残ってるのが不思議なくらいなのにしぶといよね。

「これだけは譲れない」というポリシーさえあれば、石に齧りついてでも頑張れるものです。
合理的な経営判断も大事ですが、「創業者ならどう考えたか」について頭を巡らせてみてほしいです。


ああ、そうそう。 もう一つあった。 「Only the paranoid survive」 アンディー・グローブの有名な言葉です。

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最近、節電に関しては自分もパラノイアじゃないかと思いはじめてきました。