Voyage MuBoxを試す(音質評価編)

MPD on Cubox(以下、MoCB)と一緒に評価します。

なんで評価に時間が掛かったのかというと、MoCBもMuBoxも最初に聴いた印象があまりにも悪かったからです。

あくまで教育用コンピュータであり、裸基板として売られている Rasberry Piと違って、CuBoxは「箱入り」の完成品です。
オーディオ用に購入する人も多く、高い評価を得ているということでハードルが上がっていたのも確かです。

最初に聴いたのはMoCBの梅雨入りバージョン。 rootfs、カーネルなどは全てデフォルトです。
一聴して「眠い、生気がない音」と感じました。 よく聴けば解像度の高さを感じるところもあるんですが、それ以外はAIMP3に完敗です。
正直「クラッシック好きの年寄りはこんなのがいいのか?」という猜疑心が頭に渦巻いたのを告白します(笑)。


ここで一旦 MoCBをペンディングして、MuBoxを試してみることにしました。
最初に聴いたのはリアルタイム(rt)カーネルの Devel版の方です。 MoCBよりは活きがいいかなと思いましたが、やっぱり何かヘンです。

「この曲のここではこんな音が鳴るはず」と思って聴いているのに、その音が出ていない。 特定の帯域なのかはわかりませんが、まるでマスキングされているように鳴るべき音が鳴っていない。

rtカーネルが不自然な演奏につながっているのだろうかと、v0.9.1をインストールし直してみたのですが、やっぱり余韻の消え方など明らかにおかしいです。

ここに至って、これはディストリビューション(S/W)の問題ではなく CuBoxのH/Wとしての問題なのかなと思い至りました。
Raspberry PiよりもH/W的に優れていると思って購入したので、あてが外れてしまいました。 やっぱり小さな筐体に押し込んだ障害なんでしょうかね?


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RaspyFiのときと同様、CuBoxも視聴するときはアンプの上に置き、0.5mのUSBケーブルでUSB DACと接続していました。
LANケーブルは長くても音質に影響はないだろうし、USBケーブルは出来るだけ短い方がいいだろうという判断です。

PCのAIMP3と聴き比べをする際に、USB DAC側でケーブルを差し替えるのが面倒だったので、CuBoxをPCの側に持ってきてそのケーブル(2m)で聴いてみました。

そのとき、スピーカーから低い「ヴー...」という音が聴こえました。 PCデスクはスピーカーのすぐ側にあります。
そういえば CuBoxは本体から出る不要輻射が大きいという話をどこかで読んだことがあります。 USBケーブルの長さに余裕があったので、スピーカーやアンプから離してみると、変にマスキングされた感じは無くなりました。

CuBoxのケースを開けたことはありませんが、プラスチックケースの内側にシールドの類はないのでしょう。
考えてみれば、Raspberry Piはアルミ削り出しのTuxCaseに入れてありました。 あくまで見た目で選んだケースですが、EMI対策にはなっていたのかもしれません。


ここでようやく音質を評価できるレベルになった訳ですが、ついでにCuBoxにまつわるもう一つの定説「電源によって音質が影響を受けやすい」を検証してみました。

とはいえ、よくCuBoxに使われるエルサウンドの汎用アナログ電源DC5V 4A(16,000円)やラトックシステムのオーディオ用ACアダプタ RAL-AC05-03(約9,000円)は試しに使うには高すぎます。

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使用したのは手持ちのモバイルバッテリー(5V/1A, 4500mA)USB-ACアダプタプラグ変換ケーブルです。

接続して聴いてみると、確かにスッキリくっきり見通しが良くなりました。 S/Nが改善されたことで、静寂感もよく表現できるようになっています。
付属のACアダプタが酷いというよりは、CuBox本体の電源周りがスペースの制約でイマイチな処理になっているんじゃないかという気がします。

この状態でMoCB、Mubox-0.9.1、Mubox-develを聴いてみました。 音が悪くて悩んでいたときから言えるのですが、中低音が力強いです。 ベースやドラムがゴリゴリ来るのが好きな人には堪らないかなと思います。 ただ重心が低めにいっているので、高音域の艶とかは表現はあまり得意でないですね。

解像感や音質自体は、AIMP3を確かに超えているのですが、個人的に好みかというと残念ながら違いました。
S/Wを差し替えても、サウンドの基本的なキャラクターは変わらないので、これはCuBoxというH/Wに起因するものなのかもしれません。
CuBoxにはSPDIF(光)出力もあるので、こちらだとまた違うのかもしれませんが、光端子の周りのカバーの開口部が小さ過ぎて、プラグがきちんと刺さりません。 こういうところも残念な部分です。

RaspyFiと比較した場合、好き嫌いは別として音質ではCuBoxの方が上かもしれません。 RaspyFiはバランスは取れていますがちょっとサウンドが薄口です。 CuBoxの方がリッチですが、そのぶんクセが耳につくように思います。


という訳で、CuBoxをメインオーディオに使用するのは断念することにしました。
今の自分には、好ましいと感じているAIMP3のサウンドがあり、このサウンドのままもっと解像感など突き詰められたら、と考えています。

そういう意味ではLinux+mpdのシステムよりは、IntelのNUCでも買ってきて音楽専用WindowsPCでも仕立てた方がいいのかもしれません(64bit版Windows7 Homeが1ライセンス余っているんだよね)。

でもまだ小型H/Wシリーズは続くのでありました。 次はコレ。

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