Wave110i 検死解剖(後編)

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2015年10月24日(土)

先週の続き。
まずはエンジンマウントボルトの先端を切り落とし、フランジだけになったナットの中心部をリューターでグリグリと削る。
先週から3時間も抵抗していたナットもようやく陥落。 エンジンを下ろすことができた。

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ストレーナーにゴミは少なかったが、遠心クラッチのオイルフィルタにはスラッジがびっしりと堆積していた。

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遠心クラッチのアウターは、摩擦で削れて0.2~0.3mmくらいの溝が掘れていた。 まだ使えそうだが、若干滑りを感じていることもあり、交換することにする。

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シューの方もまだ使用限界には達していないが、あと5万kmは持たないと思うので交換する。

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旧来の2次クラッチの横型エンジンだと、このボルト締めるのが結構大変だ。 でも新型はクラッチスプリングが皿ばねになっており、飛び出しがなくて作業がラクだ。

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ここでまたメインシャフトのナットが固くて緩まない。 電動インパクトでもダメで、専用工具のツメが負けて曲がってしまった。 仕方なくここでもリューターでナットを破壊。

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クラッチを外したらクランクケースの殻割り。 簡単に割れたのだが驚いたことにガスケットが入っていない。 液体ガスケットが塗ってあったようだ。 むしろこれが普通?
確かにパーツカタログを見ても、センターガスケットはなかった。

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新型のミッションギヤの実物を見るのは初めてだ。 キックギヤのスプリングはケース内にあるんだね。

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見たところ歯面に異常は見当たらない。 ミスシフトで「ギャァーン」とさせたことも何度もあるので心配だった。 せっかく開けたのでギヤ抜け対策部品に交換する予定。

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Lクランクケースの内側。 高いものではないので、ミッションベアリングも交換する。

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Rクランクケースのメインシャフトのベアリングは、抜け防止のためにボルトで押さえてある。

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オイルポンプの駆動シャフトを外してみたら、軸受け部がガリガリに削れていた。 金属粉はコレか?

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Lクランクケースの穴のほうも偏摩耗して広がっているように見える。 そのまま再利用できるかは微妙な感じ。 選択肢としては、

1.ケース交換
2.アルゴン溶接で埋めて穴あけ
3.穴を拡大してブッシュ打ち込み
4.そのまま再利用

のいずれかだな。

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クラッチ部品。 サプライヤーは2つあるが、これはF.C.C.だった。

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フリクションディスクが真ん中だけ違うハズだが、見た目では全く区別がつかない。 ライニングの厚みはまだあるが、クラッチプレート(金属板)も含めて交換する。

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ミッションの基本構成は従来と同様。

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ドグクラッチを噛みあわせた状態だが、なんかしっくりとこない。

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ドグの先端がピン角になっているのに対し、相手のドグの根本は0.5Rになっている。 駆動力が加わるとRによって軸方向に逃げるような動きをする気がする。
ギヤ抜け対策部品に組み替えるときは、軽くドグの先を面取りした方が良さそうだ。

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カウンターシャフトのドライブスプロケが当たるところが0.1mmくらい凹んでいた。 万全を期すならシャフト交換だが、まだ軽微なのでこれは再利用する。

とりあえず悪いところは分かったので、必要な部品を洗い出して発注する予定。

***

今回のエンジントラブルについての補足。

7月の「みちのくツーリング」でも書いたように、GWのツーリング後からエンジンから異音がするようになっていた。 嵐山でのキャンプでも友人Hから指摘を受けていた。
とはいえオイルレベルは正常だし、エンストするとかキックが軽いということもない。 若干クラッチが滑って遅い気がするが、エンジン自体はちゃんと吹け上がり最高速も100km/hを超える。

友人Hも回転系の音だと言っていたが、ヘッドカバーを開けてみてもカムチェーンの弛みは正常だった。 カムチェーンテンショナー先端のプラ部品を替えたが効果なし。

ヘッドでなければクランクシャフト(クランクベアリングorコンロッド大端部のニードルベアリング)が怪しいが、これを確認するには重整備が必要になる。 もしクランク交換が必要だと判明しても、そこから部品を取り寄せとなると不動期間が長期に及ぶ。 キャンプにも行きたいし、通勤はもとより毎週末に母のところに行かねばならないので、足がなくなるのは辛い。

出張でキャンプに行けなくなる10/24の週末から整備を始める予定だったのだが、あと少しというところで力尽きてしまったのだ。
嬬恋でエンジントラブルが起きた時に慌てなかったのは「壊れるのは覚悟の上」だったからで、「来るべきものが来た」なという感慨しか浮かばなかった。 むしろこの不定愁訴からようやく開放されるということでスッキリした気分だった。


ただここまで無理をさせた Wave110iに対しては申し訳ない気持ちでいる。

今回のトラブルの遠因は、2014年GWの山陰ツーリングでのオイル切れだろうと考えている。 あの後はシリンダー&ピストンを交換し、オイル漏れも完治してまめに交換してきたが、一度受けたダメージが徐々に悪化して今回の固着に至ったのだと思う。

元々は5万kmくらいで乗り換えようと思っていたが、北は北海道から南は鹿児島佐多岬まで一緒に走ったのだから愛着はある。
しっかり治してまた一緒に走りたいと思っている。