エンジンをオーバーホール → 排気量ダウン

いま思えば、あれが前兆だったのかもしれない。

確か3月の初めくらいだったと思う。 朝の通勤時、ガスが少ないのを忘れてて、いつものスタンドを通り過ぎてしまった。
帰りに入れるくらい(距離にして20kmくらい)は残ってるからいいやと走っていたら、信号待ちで止まったとたんにエンストした。
「ん?まだガスはあると思うけど??」と思ったが、この先にアンダーパスがあって再び止まると怖いので、携行缶から給油した。 その後は何事も無く通勤できた。

ヤバい」と云いつつだましだまし使っていたバッテリーがとうとう逝かれたか?(でもセルは回るんだが)と、3/8に交換してみた。 4/5にはオイル交換も実施した。

それからも通勤や大洗ツーリングなどでWaveに乗っていたが、ガーッと走ってきて信号待ちでキュっと停まった時に、ストンとエンストすることがあった。 ただ原因が分からないし、走っている間は問題はない。 気にはなっていたのだが、カブ110でもエンストし易いという話はよく聞くので、Waveも不治の病に掛かったのかなという程度の認識だった。

そしてGWの山陰ツーリング。 最終日の走行中にエンジンが吹けなくて失速しそうになる。 エンジンオイルが極端に減っていることに気がついて、慌ててオイルを足したのだった。
帰宅後5/5に再びオイル交換を実施。 5/11にプラグ交換したら電極がとんでもなく摩滅していた。 これが失速の原因だったか、とひと安心したのだが...

犬吠埼ツーリングに出た時に、再び走行中の失速と停止時のエンストが頻発。 シフトダウンしながらゆっくり停まるとマシなんだが、急停止した場合は高確率で止まる。 なので、スロットルで回転が落ちすぎないように調整しながら停止しなければならない。
帰宅後、オイルを足したら400mlくらい入った。 400km走って400mlのオイル消費ってなんやねん!?  これはマジでなんとかしないと。

ここでFACTを確認

1.オイル消費が激しい(でも白煙は見えず)
2.エンストし易い(特にオイル量が少なくなると)
3.プラグ、バッテリーは新品

さて、混合気の爆発の条件は何でしょう?

A. 適切な空燃比の混合気がシリンダー内に入り、
B. しっかり圧縮され、
C. 適切なタイミングで火花点火される

ですね。

A.についてはPGM-FIなので大丈夫だと思うが、燃料ポンプの可能性も全くないとは言えない。 以前にバイク屋に修理に出したら、燃料ポンプのカプラが半嵌合でツーリング中に立ち往生したこともあった。 あと排気ポート横のO2センサー(排気中の酸素量を調べて、PGM-FIにフィードバックしている)の異常というのもなくはない。
C.はプラグも新品に替えたし、アイドルの時だけ火花が飛ばないというのはあまり考えにくい。

残るはB。 確かにキックが軽いような気がする(ボアアップ前より軽いような?)。
オイル消費が多い場合に考えられるのは、オイル下がり(シリンダーヘッドのバルブステムガイドからオイルが流れて燃える)かオイル上がり(飛沫潤滑でシリンダー内壁に付着したオイルを、ピストンリングがちゃんと掻き出せないで燃える)のどちらか。
オイル下がりの場合は、排気から白煙が見えやすいことも考えると、オイル上がりの可能性が高い。

ウチのWaveは新車から100kmも走らないうちに125ccにボアアップしている。 補修部品としてピストンリングを発注することも可能だろうが、シリンダーにもダメージがあったらボーリング加工でもしない限り再使用は難しい。 ボアアップキット用のオーバーサイスピストンは無いと思うので、SP武川の旧カブ用54mmピストンでも流用するしかないだろう。

ボーリング加工するにしても時間が掛かるので、その間は乗れなくなって通勤に困る。 よって、ノーマル(110cc)のシリンダーとピストンに戻すことにする。

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部品は6/5(金)までに揃っていたのだが、土日が大雨で作業が出来ず。 大雪で倒壊したカーポートをまだ再建してないので。
楽しみにしていた振休による三連休をバイク整備に充てることになってしまった。 トホホ。

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もう一つトホホなことがあって、保管していたはずのノーマルシリンダーが見つからない。 どうやら金属ゴミのときに支那エンジンの部品と共に捨ててしまったらしい。 仕方なく新品を購入。 ピストンとピストンピンは流用。 ピストンリングは新品を使う。

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ジョルカブでは毎週のようにエンジン下ろして整備していたけど、Waveでは3年ぶりだ。 エンジンオイルを抜いて、Lクランクケースカバーとフライホイールを外す。

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カムチェーンの音がするのが気になって、テンショナーロッド先端のゴムを交換してみたけど、効果が無かった。 この状態でテンショナーはエンドまで押しているが、カムチェーンはゆるい。

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でも新品のカムチェーンと比べてみても、特に伸びているという感じでもない(ぶら下げても同様)。 カムチェーンテンショナーローラー(14502-086-000)も問題ないが、どちらも交換しておく。

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ピンぼけで申し訳ないが、シリンダー横にあるカムチェーンガイドローラー(14610-KWB-600)の摩耗が激しい。 カチャカチャ音の原因はこれか?

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脱脂したあとエンジンオイルを塗った110ccシリンダーとピストンを装着。 コンロッドを触ってみたが、大端部にガタはなかった。

そういえばエンジン左側のどこかからオイル滲みに悩まされていたのだが、その原因が判明。 なんとシリンダーヘッドのカムチェーントンネル内のM6ボルト2本がゆるゆるだった。 ボアアップした時にちゃんと締まってなかったのかな?

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シリンダーヘッドにはカーボンがかなり堆積していたので、灯油と竹ヘラでこそぎ落とす。 バルブも外して軽く磨き、タコ棒でバルブシートと摺り合わせをしたが、手間を考えると新品に交換した方がよかったな。
オーバーヒートでステムシールがイカれている可能性もあるので、それも交換する(発注してなかったので、在庫の部品を利用)。

この辺りで友人Hがベンリィ50に乗ってやってきた。 巾着田でキャンプするらしい。 サイレンサーの取り付けや、エンジンオイルの買い出しなど手伝ってもらって、16時ごろに作業が完了した。

ところがエンジンは掛かるものの、全くアイドリングせずにエンストしてしまう。 PGM-FIのECUが125ccの学習のままだから? それにしてもアイドリングする兆候すらなくエンジンが止まってしまう。 Hと一緒にスロットルボディ横のエアスクリューを弄ってみるが、何の変化もない。

それでも片付けが終わったあと、キャンプ道具を積んでだましだまし巾着田へ走り、先行したHと合流した。 ここでキャンプするのは昨年についで二回目だ。

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犬吠埼ツーリングでLEDライトが死亡してしまったので、今回は新しいランタンのデビュー。 EX-1977ISはHiとLoと点滅の3つのモードがあるが、Hiだと十分すぎるほどの明るさがある。 点灯時間も短いので、普段はLoで十分だと思う。

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翌朝は嫁を会社まで送らなければならなかったので、07:40には撤収した。

帰宅後、バッテリー端子を外してECUをリセットすると共に、バッテリーを補充電する。 あと、いつの間にかヒューズが飛んでいた「チョットイナズマ」も取り外した。
3時間後にバッテリーを繋いでみるが、やっぱりアイドリングしない。

ここで最初にエンストした時のことを思い出してみる。 あれはピストンの問題だったが、圧縮が十分でないとエンストするのだ。
シリンダーとピストンリングは新品。 リングの合口もちゃんとずらしてある。 となればシリンダーヘッド。 清掃のためにタペットボルトを緩めて分解しているので、その辺りか。 あとはバルブタイミングが狂っているか。

プラグを抜き(ちょっと黒い)、キックでフライホイールのTマーク(Tが横向きで見づらい)を出す。
シリンダーヘッドカバーを外してみたが、カムスプロケットは正常な位置にある。 そこからキックでクランクを回転させたが、ちゃんと圧縮上死点になっている。
ロッカーアームを触ってみると、ガタが全くない。 やっぱりこれか? 0.06mmのすきまゲージで調整し、ヘッドカバーを戻してエンジンを賭ける。

しかしやっぱりアイドリングしない。 でも諦めずに左手でスロットルを操作してアイドリングを維持したまま、右手でエアスクリューを締める。 するとエンジンの回転が下がったので、今度は開けていく。 エンジン回転が上がったところで左手を離すと、エンストしないでちゃんと回り続けている!
そこから適正な回転数になるまでエアスクリューを締め込んで、ついにアイドル不良を克服することができた。


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さて、外したシリンダーとピストンはどんな状態だったのか?

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元はWPC加工がされていたのだけど、見る影もないね。

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完全にピストンがカジってしまっている。 棚落ちしなくてよかった。

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シリンダーも無数の縦傷。 スカートの方でカジリが酷い。 バイクの進行方向に対して左上あたり。
見えづらいがガスケットの下側のボルト穴付近でオイルが染みこんでいる。 ここから滲んでいたらしい。


ほぼ3ヶ月毎にオイル交換していたのだが、こんな結果になってしまって残念ではある。 走行距離は3万6千km。
ただキャンプ道具を積んで長距離ツーリングしたり、山道を飛ばしたりしているので、たとえボアアップせずノーマルだったとしても3万kmくらいが限界だったのではないかと思う。 新聞や郵便配達でも3万kmくらいでピストンが終わる例があるようだが、普通の街乗りなら10万km程度は持つのだろうけど。

排気量だが、ボアアップはせずにこのまま110ccでいこうと思う。 +15ccのパワーの差は確かにあり、キャンプ道具を積んでの上り坂では顕著なのだが、エンジンの振動が大きくハンドルがブレて疲れるのだ。
これからまた3年間、頑張っておくれ。