車体編に引き続き、エンジンについても比較してみます。
C125(K0G)のバルブとカムシャフトです。 KPHはメットインになる前のWave125i、KYZは12M~15Mのメットイン。 K73が16M以降の現行メットインです。
Wave125i(K73)です。 C125のカムシャフト(K73-T30)は17M以降のWave125iと同じことが分かります。
IN/EXバルブ(#7, 8)も17MでK73-T30に変わっていますが、内容については不明です。
C125のRクランクケースカバーには、シフトスピンドルの軸受にニードルベアリング(#24)が入ります。
エンジンオイルの覗き窓があるので、オイルフィラーキャップ(#5)にレベルゲージがありません。
C125はモンキー125(K0F)と同じくキックギヤがありません。 マニュアルクラッチのモンキー125はC125と国内ではほぼ同時期に発売されましたが、シフトスピンドルにベアリングは入っていません。
自動遠心クラッチの場合、二次側クラッチのリフタープレートを押しながらシフトチェンジをしなければなりません。 その分、シフトスピンドルに掛かる力が強くなるので、軸受にベアリングが必要という判断なのでしょう。
でもWave125iは減速中のダウンシフトも容易だし、ギヤ抜けすることも少ないです。 なぜC125にニードルベアリングの追加が必要だったのでしょうか?
Wave125iにはニードルベアリングはありません。 将来的にC125と同様になるか注視したいと思います。
Lクランクケース(#3)にも、シフトスピンドルの軸受にニードルベアリング(#13)が入っています。 スピードセンサー(#8)はこんなところにあるんですね。
Waveの方は16MからLクランクケース(#3)がKYZ-T11になっていますが、他の部品に変化はありません。
ワンウェイクラッチ(一次側)です。
C125(K0G)独自部品としては、プライマリークラッチアウターASSY.(#11)およびサブギヤーセット(22T)(#13)が挙げられます。
「クラッチダンパーラバー素材の最適化」というのは#12の部品かな?
この部品はクラッチウェイト(#3)の動きにフリクションを与えて、遠心クラッチの断続が唐突にならないようにするためのものです。
Wave125iでは、サブギヤー(#13)が18Mまでは20TのKPH-900、19MからK73-T61に変わっています。
でもクラッチダンパーラバー(#12)はこちらもKPH-880で、昔から変わっていません。 素材の最適化とは一体...?
二次側クラッチでは、C125はクラッチアウターCOMP.(#1)が74Tになっています(絵もちゃんとヘリカルギヤになっていますね)。 クラッチプレート関係はWave125iと変わってないようです。
Wave125iでは、やはり18Mまでは67TのKYZ-901、19MからK73-T31になっています。
18MまでのWave125iの一次減速比は、20:67=1:3.35
C125の一次減速比は、22:74=1:3.3636
一次減速比がほぼ同じなら、なぜ部品を変更する必要があったのでしょうか?
Honda | 上質感を追求したパーソナルコミューター「スーパーカブ C125」を発売
■エンジン
・プライマリーギアをヘリカルギアとしたほか、より精度の高いクランクジャーナルベアリングを採用することで、エンジン音の静粛性をより高めるとともに、クラッチダンパーラバー素材の最適化を図るなど、より質感の高いスムーズな変速フィーリングを実現
クランクシャフトとミッションのメインシャフトの距離が同じで、ギヤの歯数が増えているということは、歯車のモジュールが小さくなっていることを意味します。 ヘリカルギアにした関係でしょうか?
ただ疑問なのは、ヘリカルギヤになったあともサブギヤが残っていることです。 バックラッシュを減らすためのサブギヤは、ヘリカルギヤには必要ないんじゃないかと思うのですが。
さらに19M Wave125iもプライマリーギアがヘリカルギアになっているのか? 一次減速比はどうなっているのか?
C125ではクランクシャフト(#1)が専用品です。 R側のベアリング(#8)もK0G-901になっていますが、これが「より精度の高いクランクジャーナルベアリング」なのでしょう。
Wave125iでもクランクシャフト(#1)は18MからK73-T30になっていますが、変化点は不明です。
ベアリング(#8)はKWS-901で昔から変わっていません。
トランスミッションでC125専用品はドライブスプロケット(#11)のみです。 変速比もWave125iと同じです。
Wave125iの方もメットイン時代以降は変化はありません。
シフトドラムは多くの部品が変更になっています。
シフトフォーク(#1, 2)のK26というのはGROM(MSX125)のことです。 GROMも17Mから同じシフトフォーク(K26-C00)を使っています。 単に部品の共用化の為に合わせたのか、仕様が異なるのかは不明です。
JA44と違って、シフトドラムにはベアリングは入っていません。
シフトドラム(#4)、ストッパープレート(#5)とスピンドル(#9)、シフトアーム(#10)が変更になっているのも気になります。
推測ですが、C125はWave125iに比べてシフトペダルのストローク(作動角)を小さくしているのかもしれません。 Wave125iはシフトペダルの踏み込み量が大きくて、素早いシフトチェンジがやり辛いので。
単純に作動角を小さくすると、ペダルの踏力が大きくなってしまいます。 そこでフリクションを減らすためにスピンドルの支持穴にニードルベアリングを追加したのではないでしょうか?
C125のFACT BOOKによると、「シフト音低減のためシフトアームラバー採用」とあるのですが、そんな部品は見当たりませんね。 まさかシフトペダルの踏面に付いていたあのラバーのことじゃないよね!?
Wave125iはまったく変化なしです。
C125のスロットルボディです。 インジェクター(#9)がK76-T61になっていますが、K76とは 17M~19M 角目スーパーカブ110(海外モデル)のようです。
C125の最高出力は 7.1kW [9.7PS]/7,500rpm、最大トルクは 10N・m[1.0kgf・m]/5,000rpmとなっています。
Wave125iは非公表なんですが、点火マップやインジェクションの違いはあっても、だいたい同レベルなんでしょうね。
Wave125iのインジェクター(#6)も、19MからK76-T61に変更になっています。 その前のK03は 11M~15M Wave110iです。
ちなみにインジェクターがK03-T11になったのは、メットインになった14Mからです。 GROMやモンキー125もまだK03-T11を使っています。
最後にC125のガスケットキットです。 こちらがAキット。
そしてBキットです。 旧にエンジン開けて点検をしなければならなくなったときに、純正のガスケットが国内で入手できるのは有り難いですね。