さらば支那エンジン

というわけで、ジョルカブのエンジンは(まだ一部に支那製部品を使っていますが)HM製ベースに戻りました。
ここで支那エンジンについて、自分なりの総括をしておきたいと思います。

自分が購入した2年前はオークションで流れているのは、110ccが主流で125cc(実際は120cc)がチラホラという状況でした。 150ccや160ccなんてのが売られている現在とは隔世の感がありますね。


元々、「エンジンが故障して直すのに時間が掛かりそうだから」と手を出した支那エンジンでしたが、入手したのは変速ギヤなしの無変速エンジン。 とてもポン付けで乗せられる代物ではありませんでした。 仕方なくもう一台買ったものの、セルなし・手動クラッチというのがやっぱりネックとなりました。

結局、ジョルカブのエンジンと無変速エンジンのニコイチで復活させた訳なんですが、ここからさらなる深みにはまっていった訳です。
クランクシャフト折損で二次側クラッチ化したり、動弁系を全部HM純正に変えてみたり。 シリンダーをボーリングしたり、はたまたビッグバルブ化&ポート研磨してみたり。

フライホイールと点火時期の関係や、カムプロフィールとバルブクリアランス二次側クラッチスプリングの強化PE24張り付き対策などもありました。
支那エンジンのおかげで、本当に横型エンジンについて勉強させてもらいました。


もしJUNのヘッドが焼きついた時に、支那ヘッドを移植するという手段を思いついていたら(せっかく買った支那エンジンをムダにしたくない一心だったので、選択肢になかったです)と考えると、ずいぶんとしなくてもいい苦労をしたもんだと思います。
授業料も高くつきました。 たぶんWave125iを新車で買えるくらいは掛かったんじゃないかな?

でもこの2年間で、横型についての知識、スキルが上がったのは事実です。 支那ヘッドの流用が可能と判断できるのも、互換性についての考察のおかげとも言えます。


支那エンジンの品質は、以前よりは良くなっているという話ですが、個人的な経験から言えばやっぱり材質、熱処理、加工精度、はめあいや公差設定など、HM純正に劣る部分は多々あります。

それでも購入した状態のまま乗っていれば、(ハズレでなければ)2,3万kmは乗れるでしょう。 でもビッグキャブ付けて、抜けのいいマフラーつけて、カム変えて...とやっていくと、やっぱりあちこち壊れてきます。

異論もあるでしょうが、公道走行車両のチューニングの素材としては、私は支那エンジンは向いていないと思います。 ミニモトなどのレース用で、走行距離やメンテ間隔が短いならば、問題ないのかもしれませんね。


私が支那エンジンを買うことはもうないと思いますが、だからといって支那エンジンを否定的に考えているわけではありません。

「遊び」と割り切るなら面白いですし、日本のカブと違うタイカブのテイストですとか、KSRとの”あいのこ”的エンジンなど、HM純正にはないユニークさも魅力です。 箱庭的に行き詰った日本の横型エンジンのチューニングとはまた違った文脈が楽しめます。

人それぞれなので、「純正原理主義」で純潔を守るのも結構だとは思いますが、知らないで一つのものに固執するよりも、いろいろ経験して良いと思ったものを選んだ方がいいんじゃないかと。
仕事じゃないんだから、失敗や回り道あってこその趣味なんじゃないかな。 苦労は買ってでもするものです。


暫定エンジンでジョルカブが復活しても、Wave110ベースの125ccエンジンは必ず完成させます。 やっぱりあの動力性能は、96ccの比ではないですからね。 ビッグバルブヘッドの準備も整ったし、キャブもPE26にしてみたいし。 できればカブのような17インチの車体に乗せたいですね(一次減速比が低いので)。

まだまだ授業料は払わなくてはならないようです。