ダイムラー、三菱自への増資に参加せず 「撤退」報道も

  • 投稿日:
  • by

ダイムラー、三菱自への増資に参加せず 「撤退」報道も - asahi.com : 経済

独自動車大手ダイムラークライスラーは22日深夜(日本時間23日早朝)、経営再建中の三菱自動車の増資計画に参加せず、今後新たな金融支援もしないことを決めた、との声明を発表した。ロイター通信は、ダイムラーが現在保有している三菱自の株式(発行済み株式の約37%)をすべて売却し、三菱自の支援から撤退することになると報じた。

なんてことでしょう! 信じられない・・・
ダイムラーの株式総会をなんとか乗り切ったので、大丈夫だと思ったのですが。 臨時の監査役会が開かれると聞きましたが、このことだったのですね。

当blogでは,これまでも三菱自動車関連のニュースを追ってきました。

 三菱自動車、エクロート社長退任へ
 車輪脱落で事故、ハブの欠陥認めリコールへ 三菱ふそう 
 三菱ふそう会長:「タイヤ脱落事故続発、知らなかった」
 三菱自動車、経営陣総退陣へ
 三菱自動車、軽自動車でタイヤ脱落・8万台リコール
 三菱自、ダイムラーが子会社化の方向

三菱ふそうトラック・バスとの資本提携継続は継続するとのことですが、もともとダイムラーは三菱の商用車部門のアジア太平洋地域でのプレゼンスを評価して、分社前の三菱自動車と提携したのですから当然ですね。


これまでの話では、30日にも7000億円近い増融資を含む再建計画が発表になるということでしたが、完全に白紙になったようです。

三菱グループ4社、30日発表予定の再建策を先送り - asahi.com : 経済

ダイムラークライスラーが三菱自動車の支援を中止したのを受け、三菱自動車は23日、三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行の三菱グループ主要3社と「事業再生特別チーム」を設置する、と発表した。30日に予定していた再建計画の発表は先送りし、改めて必要な増資額やリストラ策などを練り直す。1カ月以内に新たな再建計画をまとめる、としている。

これは本当に大変なことです。 下手すると、三菱自動車は消滅するかもしれません。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 三菱自:ダイムラーの支援打ち切り 関係省庁にも衝撃

ダイムラーに代わる新たな支援先が見つからなければ、三菱グループだけの力で再建を進めるのは難しい。それだけに、三菱グループの主要3社が「事業再生に向けて最善の努力をする」とのコメントを発表した後も、政府内に安堵(あんど)感は広がらず、「中国、韓国系メーカーの傘下に入るという選択肢もあり得る」(同省幹部)との見方も出ている。

考えられるパターンは、

  1) ダイムラーの(資金以外の)協力を得ながら、三菱グループ主導で再建
  2) 韓国の現代自動車が資本参加する
  3) トヨタが資本参加し、事実上の救済合併
  4) 産業再生機構への売却(事実上の倒産)

1)は、しばらくは持ちこたえられるでしょうが、相当厳しい道となるでしょう。
2)の現代自動車は、世界生産台数でホンダを抜く規模を持ちます。 以前は三菱自の技術協力を仰いでいたこともあり、関係は深いです。 ただ、通貨危機から立ち直ったとはいえ、財務基盤は磐石とはいえないので、三菱自へ数千億円規模で投資するのは難しいのではないでしょうか。
3)は日本経団連会長を出している手前、トヨタとしても見てみぬ振りは出来ないという予想ですが、M&Aに消極的な会社なので可能性は低いでしょう。
4)については、自動車産業は裾野が広いビックビジネスであり、カネボウ化粧品の再建と違って、再生機構もおいそれとは手を出せないと思います。 この場合でも、トヨタに経営陣を出してもらうなど、支援を要請する可能性は高いです。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 三菱自:崩れた甘いシナリオ 残すか手放すかの決断は?

三菱自動車はもともと三菱重工内の一事業部門で、1970年に独立。国内大手メーカーではもっとも歴史が浅い。このため、三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行などグループの中核企業から見ると「弟分的存在」(グループ幹部)で、アジアや欧州での販売は三菱商事のネットワークに頼るなど、グループへの依存傾向が強かった。
 
三菱グループにとって「なくても困るほどの存在ではないが、スリーダイヤ(三菱のマーク)を掲げている以上、つぶすわけにもいかない」(三菱自関係者)という微妙な存在。その位置付けが「一定のカネは出すが、再建策作りは事実上、ダイムラーにゲタを預けっぱなし」(BNPパリバ証券の松本康宏シニアアナリスト)という脇の甘さにもつながった。
 
再建策づくりの過程で独経済紙が「ダイムラーが三菱自からの撤退も検討」と報じるなど、ダイムラーが手を引くとの観測は何度か浮上した。だが、三菱グループ首脳はそろって「あり得ない」と完全否定。ダイムラーが手を引くとの想定は全くなかった。

昔は、「三菱自動車は三菱グループの社員相手の商売だけで食っていける」という話がありました。 三菱重工下関造船所の社宅駐車場は、三菱のクルマばかりでした。 今は違いますけどね。

三菱自への支援問題で、ダイムラー側が電話記者会見 - asahi.com : 経済

また、次期社長含みで三菱自に派遣し、再建策作りを陣頭指揮してきたダイムラーの乗用車部門の副社長、レンシュラー氏について「もはや候補ではない」と断言、次期社長を派遣しない考えを明確にした。ただ、三菱自と共同で進めている世界市場向けの小型車エンジン開発などのプロジェクトについては「契約通りに続けたい」と発言、従来通りに進める考えを示した。

社長も出さないということは、保有株式についてもいつ売却しても不思議ではないですね。

ダイムラー増資拒否で三菱自、単独での生き残り至難に - asahi.com : 経済

三菱グループは、ダイムラーの増資を前提に、三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行など主要3社で約1000億円、その他の三菱グループ会社を合わせ、1200億~1500億円程度は支援する方針でいた。
だが、再建の必要額として7000億円という数字が示されたあとでは、三菱グループが予定していた支援額では、市場などが三菱自動車に持っている先行き懸念をとうてい払拭(ふっしょく)することはできそうもない。
新しい提携相手を探すにしても、ダイムラーが追加支援打ち切りの理由として「株主に責任が果たせない」と説明したことが悪い影響を与える可能性がある。

そう。 最初に三菱グループが策定した1500億円規模の再建案をダイムラーが蹴って、「5000億円は必要だ。これが出来なければ潰れますよ」と言ったという記事を読みました(ニュースソース失念。毎日新聞か経済週刊誌)。

ダイムラー増資拒否で三菱自、単独での生き残り至難に - asahi.com : 経済

三菱グループ関係者によると、ダイムラーのシュレンプ会長は今月18日、日本国内で極秘に三菱グループ首脳と会談した。その翌日から三菱グループの複数の幹部が「どうしても一致できない点がある」「ダイムラーから高い球を投げられた」と漏らし、表情が険しくなった。
それでも、三菱グループ内では「ダイムラーの条件闘争だろう」との見方が大勢だった。ところが、ダイムラーは22日の臨時監査役会で「支援打ち切り」を決定、交渉は決裂に追い込まれた。

何が問題だったのだろう? 債権放棄かな?

Sankei Web:グループで当面2500億円支援へ 三菱自再生で特別チーム

グループ内で2000億円程度の増資を引き受けるほか、三菱自が保有する三菱ふそうトラック・バス株をグループ企業へ売却し500億円程度を確保する。再建策では、株式売却なども想定し、ほかの自動車メーカーとの提携や投資会社などからの出資受け入れも視野に入れる。

とりあえずグループ内で出来る最大限の額でしょうね。
三菱グループは国に支援を仰がない(東京三菱銀行は強制的に注入された公的資金を真っ先に返還した)らしいですが、今度ばかりはそうもいってられないかも。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 三菱自:次期社長は三菱グループから起用へ

三菱グループ首脳は同夜、「7500億円規模の資金支援を柱にした再建計画は白紙に戻し、規模を相当縮小せざるを得ない」と述べ、同グループとして新しい再建策を策定する考えを示した。また「現在は産業再生機構の活用はまったく考えていない」と強調した。

やっぱヤなんだろうね。 でも他にどうするんだろう? 株式交換方式で三菱重工へ吸収合併とか?

MSN-Mainichi INTERACTIVE 三菱自支援停止:ダイムラーまさかの方針転換

今年3月期に多額の赤字を計上する三菱自は「すでに04年度分の開発資金は底をついている」(グループ幹部)。そのうえ、三菱ふそうトラック・バスのリコール問題の余波が国内販売の足かせになりそうで、ダイムラーに代わる新たなスポンサー探しが難航するのは間違いない。
業界内には、「業界最大手のトヨタ自動車や主取引銀行が同じ東京三菱銀行のホンダに支援を仰ぐのではないか」といった見方も浮上。さらに、産業再生機構への支援要請もありうるとの指摘も出ている。ただ、再生機構の下で再建を目指すには、多額の債権を保有する金融機関などに大きな負担がかかるだけに、反発も予想される。

メインバンクなんて今や全く意味を持たないのに、いまだに「ホンダは三菱系」とか勘違いしている人が多いね。 過去にもそんな事実はないです。 商用車部門を失った三菱自とは補完関係も期待できないので、ホンダが支援することは残念ながら考えられません。 第一、トラック事業が欲しかったら、数年前のいすずの経営危機の時に買収してます。

Sankei Web:社長の進退を討議へ ダイムラーが監査役会で

25日発売予定のドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ日曜版は、ドイツ・米国の自動車大手ダイムラークライスラーが、29日にニューヨークで開催する監査役会で、シュレンプ社長の進退問題について討議すると報じた。

まあ当然だろうね。
そもそもクライスラーを合併したことすら成功なのか疑問符がついているのだから。
2008年まで任期延長したらしいけど、やっぱり解任になるかも。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 三菱自支援:ダイムラー、債権放棄拒否で決裂

三菱グループ幹部によると、ダイムラーのユルゲン・シュレンプ会長が18日に極秘来日し、三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀のグループ主要3社首脳と会談。総額7500億円規模の再建資金のうちダイムラーが拠出できるのは、それまで合意していた4500億円でなく3500億円前後だと説明。残る4500億円は三菱側の増資引き受けのほか、東京三菱銀などによる債権放棄も打診したという。
東京三菱銀の首脳は「債務超過でもない会社に債権放棄はできない」と拒否、シュレンプ会長は、ダイムラー株主と再調整すると約束して帰国したが、取締役会の上部機関である監査役会の理解は得られなかったという。

”高いハードル”は、予想通り債権放棄でした。
三菱グループは、本当に呑気としか言えませんね。

工場移転と債権放棄で決裂 三菱自支援打ち切り、独紙 - 共同通信

報道によると、三菱自の再建をめぐりダイムラーと三菱グループは、三菱自の日本国内工場を「アジア大陸」に移転する問題で対立した。どの工場をどの国に移すかなどには触れていない。工場移転は生産コスト削減のためダイムラー側が要求したとみられる。

子会社のパジェロ製造の生産を中国へ移転するという話がありましたが、それとは別にということでしょうか。

生産集約、人員削減が柱に 三菱自再建へ始動 - 共同通信

三菱自の会長には三菱重工業の岡崎洋一郎取締役(61)の就任が内定しており、岡崎氏が当面社長を兼務する可能性もありそうだ。
新再建策は、これまでの再建策と骨格は同じでも、ダイムラーによる4000億円規模の資金支援がなくなる分、計画縮小は避けられず、大規模なリストラが中途半端に終わる公算がある。三菱自が新たな提携先を探す場合は、提携先の意向次第で合理化策が大きく変わると予想され、流動的要素も抱える。

とにかく6月の株式総会までにはなんとかしないとね。

FujiSankei Business i. / 三菱自動車がグループで再生チーム

再建計画が白紙に戻った三菱自動車にとって今後想定される再生へのシナリオは3つ。
 
第1は、三菱重工業など三菱グループの全面支援を受けながら時間をかけて再生を図るソフトランディング策だ。三菱自の財務基盤は脆弱(ぜいじやく)なものの、大幅なリストラ損失の計上などがなければ当面、債務超過といった最悪の事態に陥る心配はない。
緊急を要する北米事業の立て直しにグループからの限られた支援金を充当し、残る課題は時間をかけて解決していくという案だ。
 
第2はダイムラーが三菱自の保有株式37%をすべて売却し、資本提携を解消した場合。こうなると三菱自は、産業再生機構による国の支援と三菱グループの協力で再建を進めることが考えられる。ただこの場合、再生機構が数千億円の税金を投入する必要があり、三菱グループ各社も株主責任を厳しく問われる。
 
残る選択肢は、三菱グループが投資ファンドなど経営再建の資金パートナーを見つけて、新たな再建チームを組むシナリオだ。この場合、投資採算性が厳格に求められるため、軽自動車のような収益部門を切り売りするなど三菱自は解体される可能性が高い。

なるほどね。 最後の投資ファンドという可能性もなくはないね。
でも、どうだろう? 自動車会社の事業規模って、関連会社を含めると本当に大きいしねー。 成長性も新車が当たるかどうかなので、投資案件としてはリスクが大きすぎるんじゃないかと。