「ナノ」と「ミゼット」

やはり厳しいタタ「28万円カー」の前途 (池原照雄の「最強業界探訪--自動車プラスα」):NBonline(日経ビジネス オンライン)

しかし、モータリゼーションの進展パターンを当てはめると、このクルマは過渡期の比較的短い間に役目を終えるような気がする。微少単位(10億分の1)を示す「ナノ」から連想したのは、英語で「超小型」(=midget)を意味したダイハツ工業の「ミゼット」との相似性である。
 
(中 略)
 
もっともミゼットのブームは長くなかった。60年代後半になると多くのモデルが投入された軽4輪がマイカーやライトバンの主役となったからだ。ダイハツ自身も「フェロー」や「ハイゼット」に軽の主体を移していった。

自分が小さい頃は、まだミゼットをよく見かけたものです。 父がダイハツに勤めていたこともあって、身近な存在でしたね。

ただミゼットが失速したのは、安全性に問題があったからです。 前輪が1つなので急制動してハンドルを切ると、リヤタイヤがジャッキアップしてひっくり返ります。 そもそも前輪が1つだと、制動力自体が高くすることができません。

モータリゼーションについても、インドは人口が多くて貧富の差が激しいので、インド人がナノを必要としなくなるまでは相当な時間が掛かることでしょう。
そしてマルチ・スズキに対する価格圧力という面でも意義は大きいでしょうね。


一方、トヨタも低価格車へチャレンジしているようです。

トヨタ、低価格車は脱常識 (時流超流):NBonline(日経ビジネス オンライン)

同国でトヨタは、「カローラ」を250万円以上、ミニバンの「イノーバ」を200万円以上の価格で投入しているものの、約60万円のクルマなどを販売するスズキが乗用車市場の半分を占めている。現地でトヨタ車は高級車と位置づけられ、乗用車でのシェアは4~5%程度と低い。そこで、従来の半額以下の価格のEFCで10億人を有する巨大市場に切り込んでいく。
 
トヨタは、この新型車の投入に当たり「脱常識」の施策を取った。現在、世界170カ国で販売しているラインアップに、80万円という低価格の車両はないからだ。トヨタとしては非常識とも言えるこの価格を実現するために、開発や生産の面で革新を強いられた。

これまでは低価格車はダイハツに任せるなど住み分けていましたが、残された成長市場が低価格車になると、そうも言っていられなくなりますからね。