土俵際の国内クルマ販売

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土俵際の国内クルマ販売 (時流超流):NBonline(日経ビジネス オンライン)

実はこの春闘で隠れた論点がある。販売店の営業担当者の勤務体系改革だ。外回りが多いため、従来は残業代ではなく「手当」として支払われるケースがほとんどだった。顧客の元へ直行や直帰する営業担当者が多く、勤務時間を完全に把握することが難しかったからだ。
 
ところが、顧客の生活時間の多様化などにより勤務実態と支払われる手当とに乖離が生まれていた。1990年代以降は労働基準局などの指導を受けるケースもあり、こうした実態の改善に向けての意識は労使の枠を超えて広がりつつある。出勤と退勤の時間を記録して残業代を支払うという、一般的な時間管理方式への転換が徐々に始まっている。

非常に示唆に富んだ記事です。

マクドナルド店長の残業代訴訟が話題になりましたが、営業担当者の残業代についても、今後はより厳密な取り扱いが必要となってくるでしょうね。

既にこの制度を一部で導入している首都圏の営業担当者の勤務実態の一例はこうだ。通常、午前9時20分に出社し、退社は午後9時ぐらい。週休2日制ではあるが、顧客の都合で休日に働くこともある。従来の手当は勤務日1日当たり1時間分というケースが多いことから考えても、時間管理制になれば毎日 2~3時間は勤務時間が長くなる。これが人件費負担となって、販売台数の低迷に苦しむ販社の経営にさらに重くのしかかる。
 
この販社では、一部の社員からこの新制度を導入した。一方で、導入済みの社員に対しては、販売台数に応じて支払う報奨金が一定の額を超えると、上昇率を抑えるという。人件費アップを防ぐための苦肉の策というわけだ。

一方で、国内の自動車市場の現状は、もはや池の水が干上がってきて同種の魚同士で共食いしているようなものです。

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事実、各社の1販売拠点当たりの販売台数も下がっている。日経ビジネスが、日本自動車工業会が公表しているデータを基に新車の販売拠点1店舗当たりの新車販売台数(軽自動車、商用車を含む)を計算してみたところ、2005年をピークに下降していることが分かった。
 
2007年では、前年に販売店の整理統合に着手したホンダは反転した。一方、2006年まで首位だったトヨタ(レクサスを除く)は、減少に歯止めがかかっていない。各社の動きと逆に、トヨタだけが販売拠点を積み増した影響だ。この結果、「トヨタ対トヨタ」の争いが激化している。

ホンダは元々、販売拠点の大半が規模の小さなプリモ店でしたから、ホンダカーズへの販売系列統合で一気に整理されちゃったのでしょうか。

トヨタもビスタ店をネッツ店に統合しましたが、看板を架け替えただけで拠点数はほとんど減ってません。 埼玉でもネッツトヨタ埼玉(旧オート店)とネッツトヨタウエスト埼玉(旧ビスタ店)があって、会社は別々だし。 トヨタは地場資本のディーラーが強いので、メーカー主導で経営統合は難しいのかもしれませんね。

鶴ヶ島市脚折周辺なんか、R407を挟んで500mしか離れていない場所に、ネッツトヨタ埼玉の鶴ヶ島店とネッツトヨタウエスト埼玉の鶴ヶ島脚折店鶴ヶ島インター店が密集しています。 入間市藤沢など、他の地域でも同様です。

他メーカーが国内市場に諦念を抱きつつあるのに対し、トヨタだけが相次ぐ新車投入で気を吐いているのは、そうしないと巨体を維持できないからです。 シェアが大きい分、他メーカーと同じ%で販売が減れば、台数ベースでの減少幅は大きいですから。 インタビューなどを読んでも、トヨタの首脳陣が一番危機意識が高いです。

でも、じゃあ「業界全体で盛り上げていきましょう!」という機運があるかといえば、全くないように思います。
トヨタは他社が成功したモデルの2番煎じを出してばかりで、ホンネは自分のところさえ良ければいいという会社ですから、いくらトヨタが国内市場の活性化を叫んでも、他メーカーはシラケるだけです。

どこまで国内市場がシュリンクするかわかりませんが、そのうち船井電機みたいに「海外では有名だけど国内では存在感がない」自動車メーカーが出てくるのかもしれませんね。